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第十六話 マドリンとの対決  (イレーナサイド)

「いったい、どういうつもりなんですか!」


わたしは、戻ってきた殿下に怒りの言葉を浴びせる。


「さっきも言ったじゃないか。きみが婚約者だから、安心して浮気ができるって」


「わたしは、殿下に、わたしだけを愛してほしいんです」


「イレーナ、わたしはきみを愛してる」


殿下は、わたしの唇に唇を重ねる。


わたしは甘い気持ちになり、何も言う気力がなくなっていった。


殿下は唇を離すと、


「わたしの一番はきみだ。それは変わらない」


と言った。


「本当ですか? わたしのこと好きですよね」


「もちろんだよ。きみはわたしの婚約者なんだ」


「うれしい」


「俺もうれしいよ」


再び唇を重ね合う。


そして、殿下の寝室に行き、二人だけの世界に入っていった。




この日は、殿下の甘さに包まれ、それ以上の強いことは言えなかった。


あれは一過性のものだろうと思い、また浮気をすることはないだろうと淡い期待を持っていたのだけど……。


わたしは、ラフォンラーヌ公爵家の用事があり、数日ほど殿下のもとを訪れることができなかった。


すると、その間に、またあの女性と会っていたという情報が入ってきた。


わたしはいてもてってもいられない。


ようやく、殿下のもとに行くことができたのだったが……、


またもやあの女性が殿下と口づけをかわしていた。


「いい加減にしてください!」


わたしは二人に対して怒る。


「何を怒っているのかね。前も言った通り、婚約者はいるからこうしてこの人と会えるのだ。なぜわかってくれないのかね」


「わかるはずありません!」


「イレーナさん、あなたに言ってあげましょうか」


その女性は笑う。


「何を言うと言うのです?」


「殿下の心がわたしに傾き始めるということを。あなただって、それは思わないことはないでしょう?」


「何を言っているのです。無礼な」


「無礼なとはこれまた。わたしはフィッツストーン公爵家令嬢マドリン。今後はよろしくお願いします」


わたしに向かって頭は下げるものの、その声は冷たい。


「フィッツストーン公爵家令嬢ですって?」


「今までは残念ながら、ラフォンリーヌ公爵家との家格の違いもあって、婚約者候補にあげていただいたものの、婚約者にはなれませんでした。それがいかにくやしいことだったか、あなたにはわからないでしょう。しかし、わたしはその魅力で殿下の婚約者になってみせます」


「言わせておけば!」


唇が震えてくる。


「殿下はこの人を選ぶんですか?」


「婚約者はイレーナだ。それは変わらない」


「殿下」


マドリンは口をとんがらせる。


「もうそろそろ婚約者を変えてもいいのではないですか?」


「そういうわけにはいかない。俺はイレーナのことを愛してるんだ。好きなんだ」


わたしはちょっとホッとする。


しかし。


「まあいいわ。でもその内、殿下はわたしと婚約することになる」


マドリンは全く動じる様子はない。


「わたしはきみのことも好きだ。それは理解してくれ」


と殿下が言うと、


「理解してますよ」


とマドリンは微笑みながら言う。


「じゃあ、殿下。わたしはこれで」


マドリンは殿下に抱きつくと、唇と唇を重ね合わせる。


「なんでわたしのいるところで……。いい加減にしてください!」


わたしは怒るのだが、この二人には届かない。


唇を離すと、わたしのことなどを忘れたように、


「それでは殿下。またお会いしましょう。次に会うのが楽しみでなりません」


と言って、笑いながら手を振るマドリン。


殿下も、


「きみと会えてうれしかった。また今度。もっと高いプレゼントを持って待っている」


と手を振って応えていた。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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