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忽那賢志のマスクに関する記事に対しての意見、合わせて読者への返答の回①

作者: 天乃川シン

私の読者からこんな感想を頂いた。


「コロナウィルスの感染に対してマスクがある程度有効であるといったデータを私は知ってしまいました」


どんなデータだろそれはと思って調べたんですが、多分この読者の方がおっしゃているだろう記事を見つけました。以下、その方に対する返答も兼ねて該当するであろう記事を紹介します。


あなたのマスクについての考え方を咎めるつもりは一切ありません。他者に強要するつもりもないようですし。熱中症にだけはお気をつけ下さい。


あなたがおっしゃっていたマスクに関する記事は、感染症専門医の忽那賢志による「新型コロナ マスク着用による感染予防の最新エビデンス」――ですか? この記事でしたら私も拝見させていただきました。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200723-00189530


まず、①新型コロナウイルスは発症する1日前に感染性のピークがあるという事ですね(インフルエンザは発症した次の日あたりが感染性のピークだと)。


そして、②新型コロナウイルスの感染伝播の総量を100とした場合、発症前の無症状者からの伝播が45%、無症候性感染者からの伝播が5%、計50%だと(※有症状期40%、環境(?)10%、計50%)。


①に関してはnature medicineの「COVID-19のウイルス流出と透過性における時間的ダイナミズム」という研究にて「感染性が症状発症前または発症前にピークに達したと推測した」と紹介されていて、忽那氏はこれを根拠としています。

https://www.nature.com/articles/s41591-020-0869-5


しかし、同じくnature medicineの「症状前の広がりはCOVID-19トランスミッションの主要な要因ですか?(※英文の自動翻訳の為、日本語ヘンですね)」という記事によれば、「SARS-CoV-2ウイルス負荷が症状発症日(0日目)で最も高く、その後低下したことを示した」として紹介されています。ウイルス排出量のピークは発症前ではなく、発症した当日との事です(データの解釈に問題がある可能性もあるらしいですが)。

https://www.nature.com/articles/s41591-020-1046-6


また、九州大学、京都大学、東京大学、科学技術振興機構、日本医療研究開発機構の5者による共同研究によると、「新型コロナのウイルス排出量のピークは発症後2日程度」として紹介されています。

https://news.mynavi.jp/article/20210323-1829417/


従って忽那氏は、新型コロナウイルスは発症する前にウイルス排出量がピークを迎えるからマスクが必要だとしているようですが、研究によってウイルス排出量のピークは発症当日だったり発症後2日程度だったりとして異なっています。


ちなみにインフルエンザウイルスは、発症1日前から発症7日の約9日間は感染力があり、ウイルスの感染力がもっとも強いのは発症2~3日の間だそうです。

(minacolor 2018.9.26記事「インフルエンザの潜伏期間と感染力は?いつからうつる?」)


②に関しても、上記にもあるnature medicineの「症状前の広がりはCOVID-19トランスミッションの主要な要因ですか?」という研究にて、「中国の468のCOVID-19症例を調べた研究では、感染の12.6%が症状発症前に起こったことがわかりました」と紹介されていますので、87.4%は発症してから感染したと考えられます。


さらに同研究では「シンガポールで局所的に取得した157例のコンタクトトレース研究は、無症候性COVID-19感染の10例を同定したが、これは送信イベントの6.4%しか占めなかった」とも紹介されていますので、93.6%は発症してから感染したと考えられます。


以上の事から忽那氏のおっしゃる、「発症前+無症候性感染者が感染伝播の50%を占める」というデータを無条件で信頼する事はできません。忽那氏が根拠とするデータと矛盾する研究結果が存在しているのですから。もしかしたら、己に都合の良いデータを引っ張ってきただけのような気がしています。言い過ぎでしょうか?


さて、忽那氏はさらにNew England Journal of Medicineに掲載された動画を紹介しています。この動画は、マスクなしで会話した場合とマスクをつけた状態で会話した場合の飛沫の拡散を比べる為に、発生する飛沫にレーザー光をあてて確認しています。


マスクなしで会話をした際には飛び散る飛沫が「目視」できるのですが、マスクをつけた状態では「目視」にて飛沫は確認できません。忽那氏はこの実験結果をもとにしてマスクの有効性を訴えたいようですが、申し訳ありませんが私はこの実験に大笑いしてしまいました。


確かにマスクを着けていた場合に飛沫を「目視」できないのですが、飛沫というのはウイルスに水分や埃等が付着した5マイクロメートル以上のものを言います。1マイクロメートルって0.001mmです。目視にて確認できる飛沫の差を比べてみて何の意味があるのでしょうか? 目視できる世界の話しなんて大して重要ではないです。マスクをしていたって目視できない微細な飛沫が大量に放出されている筈なのです。


理化学研究所の実験結果によると

「マスクを着用することで上気道に入る飛沫核を三分の一にすることができる。特に大きな飛沫については侵入をブロックする効果は高い。ただし20ミクロン(=マイクロメートル:筆者注)以下の小さな飛沫に対する効果は限定的であり、マスクをしていない場合とほぼ同数の飛沫が、気管奥にまで達する」

このように記されています。


ですので、目に見える飛沫を比べる実験に何の意味もないと思います。即座にツッコミを入れるようでなければならないくらいの、申し訳ないですが酷い実験だと思います。


――長くなりそうなので続きます。


よろしければ、私のエッセイ「新型コロナウイルスについて」もお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4219gq/

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