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エアポート
飛行機はどのようにして飛ぶか僕は知らない。でもそんなことを知ったとて実際に乗っている時のガタガタとした恐怖から免れることにはならない。
僕はたびたび一人で飛行機に乗る。単純に、愛する人々に会いに行くために。
元いた場所と、今いる場所には500kmの隔たりがある。もちろん僕の生活はその2つの場所で完結しているから、500kmはどれくらい遠い、と聞かれたら、京都から東京までと答えるし、東京と京都はどれくらい離れているの?と問われたらもちろん500kmほど、と短く答える。トートロジーだと言われれば、それはそうだ。でもその500kmの感じ方は様々で、東海道線を9時間乗り通したっていいし、夜行の高速バスに乗ってもいい。というかそもそも新幹線の方が便利だ。きっと速いし、その方が2つの場所での生活が“繋がって”いる。
でも僕はあえて、町と“分離された”エアポートに降り立つことを選ぶ。タラップを降りるたび、生が仕切り直される。地に足を“付ける”という動作には一旦ジャンプする必要がある。