4話 :不穏の始まり
だいぶ開きましたね。まあ読んでくださいこれから面白くなるんで((
僕は死んだ、殺された。かつて僕を愛した、最も近しい存在によって。
ボクは死んだ、殺された。かつてボクと歩んだ、最も近しかった存在によって。
僕は生まれ変わった、見知らぬ世界で。そして君と出会った、同じ境遇を感じる君と。
ボクは生まれ変わった、見知った世界で。そしてキミと出会えた、彼と同じ匂いのするキミと。
僕は芽生言ノ葉、かつての敗北者であり新たな道を目指すもの。
ボクはアルティマ、かつての勝利者であり敗北者でもあり新たな道を示すもの。
この旅は始まり、紡がれるはずのなかった白紙の頁の物語。
この旅は後日談、紡がれるはずのなかった塗り潰された頁の物語。
今僕達は、件の男達を放置し森を進んでいる。静寂が取り戻され、豊かな自然が生い茂る森を2人で歩いている。
どこを目指しているのかは分からない。アルティマはただ一言「ついてきて」とだけ言ったきりだ。
改めて状況を整理しようとあたりを見る。森と称して差支えのない木々の集まり、けもの道。しかし草木や葉っぱの色は針葉樹でも広葉樹でもない。小学生の絵のような黄緑だ、害となる虫も見当たらないし、危ない地形…崖や穴どころか緩急も見つからない。
理想的な森と呼ぶに相応しい風景だ。
そして僕の前を歩くアルティマという少女。ワンピースのような服の、ストラップのないものを身につけているが、着ているというよりは身体に張り付いている感じがする。素材も化学繊維のような薄さも天然素材の質感も感じられない。植物を象った装飾と、胸部に宝石と思える石がつけられている。
それに加えて青髪というのも現実離れしているのを感じさせる。目の錯覚か、空の光に反射して光沢を放っている気がする。染めた髪ではこのような質感は出ないはずだ。
そんなふうにジロジロと見ていると視線に気づいたのか、振り向いてこちらを見てきた。流石に率直に言うのもどうかしていると思ったので、適当に頭に浮かんだ質問をする。
「なぁアルティマ」
「どうしたの?」
「どこに向かってるんだ?あと、この世界について教えて欲しい」
「それはまだだよ、コノハには最大限の驚きで世界を知ってほしいし。それでボクに最高の感情を見せて欲しいからね!」
クルクルとバレリーナのように回りながら変わらぬ元気さで答える。無念無想なのか天空海闊なのか、思考の底が見えない少女だとつくづく思う。
「そっか、わかった」
それから歩くこと半刻ほど、森を抜け開けた草原のような場所に出る。
「……!」
「どう?驚いた?」
「う、うん…」
確かに驚きはした。しかしそれは広大かつ美しい草原にでも、やはり明るいのに太陽がないということでもない。
「なぁ、あれ…………なんなんだ?」
そう言い指を指す。その先は草原の遠く、薄く見える。がしかし圧倒的な存在感を持つ。
ドーム状の巨大な「何か」、目を凝らして見ると時々バチバチと電気のようなものが走っている。
しかし最も異様なのはやはりその巨大さだ。天井こそ見えるが、横幅奥行共に終わりが見えない。
広大な草原…つまりは地平線の先まで続いている巨大な壁、美しい自然の中に佇むそれは恐怖とも違和感ともつかない不思議な感情を湧かせる。
「永遠の向こうさ、神秘の輝きを捨てた作られた世界だよ」
「………」
そう話すアルティマは無表情で内容もよく分からない。たまに見せるこの表情はどこか普段とは違う空気を感じる。
手放しで僕を受け入れてはいるが、気がかりなことも多いのも事実だ。
そもそも神秘や永遠、エトセトラ。色々と聞かないといけないこともまだたくさんある。
まずはやっぱり目の前のあの"何か"について深く
「コノハ!伏せて!」
「!?」
そう言いながらも頭を掴んで強引に地面に伏せさせる。地面に頭を打つ、突然の頭部の衝撃に驚くがそれ以上に驚いたのは
「!!!!」
植物の焼ける匂い、音、そして辺りの温度を一瞬で上昇させた何か。
ほんと少しの間だけ視界が明るくなったことから、攻撃されたのだろうか。
銃火器かもっと遠距離からの兵器か、聞くためのアルティマの方を見る。
「クソッ!もう見つけやがった!しかもこの距離から神秘を穢すなんて!!コノハ!二発目が来る、キミは生きたいかい?」
「あ、ああ…」
わけも分からず返事をする。血走った眼で叫ぶアルティマからは強い憎悪の念を感じる。対象はどこか遠くの誰かに語りかけているようで、その気迫からえも言えぬ恐怖を感じる。
「よし!さあ神秘よ!これ以上の侵略を許すな、有限の光に真実の守りを!!」
今度ははっきり目に見える。遠くの方で薄く赤い光が輝き、次の瞬間には目の前にその光が差し掛かり僕らを焼き払わんとし…………
白い光に包まれて消える。
「アルティマ、今のは君が…?」
「うん、キミにもいずれこれくらいはできるようになってもらうよ」
僕がこれを…?疑問に思う暇もなく間髪入れずに3回目の光が来る。
「だから無駄だって…」
圧倒的熱量の光線が真っ直ぐに飛んでくる。
「言ってるだろう!」
今度は荒々しく手で弾き、跳ね返された光線は綺麗に180°反射される。
「さあコノハ!一旦逃げるよ、予定変更だ。大丈夫ちゃんと事情は話すよ、さあボクについてきて!」
「あ、ああ」
わけも分からぬまま、言葉に促され手を引かれついて行く。
心做しか、その手は最初に取った時よりも暖かく感じた。
暖かいのは光線のせいじゃないです、あといい意味でもないです。流石に書かないと分からないと思ったので補足でした。
ぼくもキンキンキンキンキンキンキンだけでレビューのばしてぇ〜