第14-03話
……次の日。
目が覚めると同時にまず舌打ちしてしまうのは、我が家のふかふかベッドと比べると明らかにクッションの少ない煎餅布団で眠ることに起因する背中の痛みだ。
それは一日の活動を開始すればすぐに忘れてしまう事が出来るが、そうなったらそうなったで次に不満なのが何かというと……言うまでも無い、美少女が朝起こしに来てくれないことだ。この安宿では目が覚めれば回りに転がっているのはむさ苦しい男ども。こうしてみると、つくづく俺という人間は恵まれた環境で暮らしていたのだと再認識せざるを得ない。
気になる体調はというと、これが良くなったんだか大して代わり映えがしないんだか良く分からん。一度本格的に投げ込みをしてみないことには判別が付かないが、未だ全快という確証も持てないものだから、不用意な投げ込みで風邪がぶり返したらどうしようと恐くなってもいる。
ちなみに、こんなほとんど合宿の空気の中では、俺の惰眠貪り癖……要するにお寝坊は全く顔を出さない。それどころか、畳敷きの大部屋に眠っているチームメイトの誰もが目を覚ましてないのに俺だけ起床してしまっていたりする。やれやれ、と回りを見回すと……一つだけ蛻の殻の布団がある。畳まれていないのは、その床の主がそう遠くない内にそこに戻ってくるという証しなのかどうなのか。むろん、主というのはカベの事だ。
試しにトイレに行って(無論用も足したが)確認してみるがカベの姿は見あたらない。となると、何処に行っているのだろうかと首を捻りつつ大部屋に戻り、世界早寝チャンピオン……つまり枕元に立った状態から布団を被るまでの早さを決める競技があったら間違いなくいいセンまで行く勢いで横になってタオルケットを被る。
しかし、カベの行方の疑問はすぐに氷解した。
部屋の襖がそろそろと開くと、カベの無骨そうな表情が僅かな隙間からにゅっと突き出されて部屋の中を窺っている。誰も起きてない事を確認してから俺の隣にある空の布団に潜り込み、エラの張った顔が俺の真横を向いた時点で
「わっ」
と驚かしてみる。
「……起きてたのか」
案の定、カベは何の反応も示さずに目を閉じた。ひょっとしたら驚かないんじゃないかなとも思ったけど、それどころか眉一つ動かさないと来ては全く面白くない。一体、こいつは何が起これば驚くんだろうか。そういえば、俺は中学から今までの付き合いでカベの驚き顔というものを拝んだ記憶がない。
「何処へ行ってたんだよ」
「なに、ちょっと散歩へな」
「俺が想像するに、かなり速いペースの散歩なんだろうな。多分一時間で15キロは進んじゃうような」
つまり『マラソンをしてきたんじゃないか?』と言ってるわけだ、この俺は。
「野球選手のたしなみみたいなもんだ、長距離走ってのは。そうだとは思わないか?」
そういわれてみれば、野球選手の体力の指針として長距離走のタイムが比較対象にされるケースは多い。しかし、本来野球選手に求められるのは瞬発力であって、決してマラソンランナーの様な体力が要るわけではないとの意見もある。
野球というのはワンシーンワンシーンのカットで進む競技であって、如何に投手といえども連続して一時間から二時間半も投球を続けている訳じゃない。一球投て何かしらの結果が起きた後は一時試合の進行がストップするし、スリーアウトになったら取りあえずは休憩が出来るのだ。
「確かに……な」
納得すると、
「ウソだよ。今日は本当に散歩をしてただけだ。近所の辺りをゆっくり歩いて景色を楽しんだのさ。悪くないぞ、知らない土地の朝の景色をゆっくり楽しみながら歩くって言うのも」
「そうかも、な」
あまり遠出をすると迷子になる危険性を除けば、確かにちょっとはわくわくしてくる。これから過酷な多闘いに身を投じなければならない俺たちにはうってつけの気分転換なのかも知れない。
でも、何故かその台詞からはカベの焦燥の様なものも同時に感じてしまったのだ。何故そう感じたかというと……俺の直感、としか言えない。それまでにも、カベに風景や景色の織り成す自然の営みを愛でる余裕があることくらいは気付いていたけど、その時だけは……どうしてかそう思ってしまったのだ。俺の勝手な思い込みであることは百も承知だ。
しかし……何だろう、この胸のざわめきは。カベと濃密な時間を過ごしてきたからこそ感じる一種の感覚の共有……といったらスピリチュアルな方向に走りすぎかな。そう思いたい、思い込んでいたかった。
しかし、本日の本当のサプライズは、部屋に届けられたスポーツ新聞に目を通してからだった。先に読んでいたカベは、俺に見せたくないような素振りはしていたが……活字を目で追って初めてその意味に気がついた。
某在阪大手のスポーツ新聞の一面曰く、
「伊東光、三下扱い」
と随分誇張された表現ででかでかと活字が踊っていた。カベが見せたがらない訳だ。しかし、紙面の中央でデカデカと踊るその紅い文字を見た瞬間、目が眩みそうになったね。噂には聞いていたが、新聞などのマスコミのやり口はこういうものか、と。
揚げ足取って、火がないところからもちろん煙も出ていないのに自分で火をおこし、挙げ句の果てには人の言うことは拡大解釈。そりゃ、俺だって少しは口を滑らせたって自覚はあるさ。だけど、ここまで悪意に満ちた筆跡で来るとは思わなかった、ここで俺は考えたわけだ、マスコミは公平なんかじゃないって、改めてね。そして、素の言動がどうあれ伊東は完全にマスコミを味方に付けている。その境遇、実力、外見……その全てが取りあえずは俺よりは上だ。そして、有力プロ野球選手が続々と海外移籍を果たして空洞化が進む日本プロ野球界を盛り上げるという名目の、新聞含む売上高をアップさせたいが為の思惑もそれを後押ししてやがる。
そう結論づけると、事情が分っていてもむかっ腹が立って仕方がない。そーかいそーかい、イヤでも俺とカベを日向にやる気はないというんだな。それだったら実力行使あるのみだぜ。少なくとも決勝までは勝ち進んでやろうじゃないか。そうすれば、大多数は伊東を担ぎ上げども俺たちの活躍に目を留める人間だって出てくるはずだ。それを否定するほどマスコミを見放しちゃいない。とにかく、それまで俺たちは絶対に負ける訳には行かなくなった。
正直なところ、甲子園まで来たことにある種の満足感と達成感を感じていた事実を否定することは出来ない。チームメイトには悪いが、ここまで来れば各種方面の人間も流石にカベから目を背ける事は無いと思っていたから、初戦で負けてもいいと少しだけ思っていた。
……だけどな。
ここまでコケにされたまんまで地元に帰ったら、俺の反骨心がむせび泣きやがるのが目に見えていたからな。ここは一つ、俺が出来る最大限の努力をして勝ち進んでやろう。
はっきり言って、自分がここまで勝ちを意識したことは無かったかも。県大会の決勝戦でさえもこれだけの闘志を燃やしていたかというと自信がない。
また新たに目標が出来た、その意味は大きかった。こりゃあ伊東に少しは感謝しなくちゃならんかな、俺を燃えさせてくれてありがとよ、と。もちろんグラウンドの上で感謝を表現するつもりだが。
「……聖、後でちゃんとシワを伸ばしておけよ」
カベの言葉で我に帰る。一瞬何のことを言っているのか分らなかったが、
「あ」
見れば、スポーツ新聞がくしゃくしゃになっていた。新聞を持つ手の辺りが特に念入りに。少々破けてしまってもいる。いつの間にか力が入っちまったらしい。
「アイロン……借りられるかな」
その方法で新聞のしわ伸ばしが出来るかどうかかなり不安だが、浮ついた頭で立ち上がる。とにかく……決意、決意。そして自信に誓うのだ、カベを必ず世に知らしめるという、俺が野球をやっているという大元の理由を!
その日は、近場のグラウンドで練習をする前に甲子園その地で開会式の予行演習もこなさなけりゃならんらしかった。どうしてわざわざそんな事をしなけりゃいけないのか理解に苦しむ。学芸会じゃないんだから、足並みが揃っていなくて何だというんだ。
オマケに、この演習の日もとてつもない猛暑な上にクラウンド上の人口密度が高いから試合をする前に疲れてしまうではないか。明後日にはもう試合が控えているというのに……ま、自分の体調不良を誰が聞いてくれるわけもないから、只ひたすら行進の練習に付き合っていなくちゃならんのは言うまでもないが。
で、退屈なお遊戯の練習もようやく終わって……みんなが球場外でぺちゃくちゃと話し合っている団欒の場に、無神経に土足でズカズカ上がり込んでくる招かれざる客はもちろんあいつだ。唇の片隅に常に張り付く緊張感のない下卑た笑みは遠くからでも容易に判別が付く。仮にも注目されてる存在なんだから、もうちょっとは締まった顔をしろって言うんだ。見ているこっちが苛々してくるぜ。
しかも、伊東は自信の金魚のフンのようなマスコミが辺りにあまり見あたらないのを良いことに
「やあ、加藤『クン』」
と、いつもよりかなり派手にそしてイヤミに話しかけてきた。こいつ、他にする事無いんかな。無いんだろうな。見たところチームメイト達にもロクに相手にされてないみたいだし。何故って、あいつがマスコミ以外の人間と会話してるところを見たこと無いからだ。チーム内で浮いているかも知れないというのは去年から抱いてきた感想なんだが、どうやら真実らしい。
「やあ、佐藤『クン』」
「どうだい?加藤クン、その後の調子は」
俺のボケをあっさりとスルーしやがった。この芸人殺しめ。
「さあな。決勝まで行けば自ずと判るだろうによ……っていうか、前にも同じ事を聞かれたような気がするが。可愛そうに、若いのにアルツハイマーでも発症してるのか?それとも俺の記憶違いかな?」
「な……」
伊東もそう指摘されてようやく自分の行動がワンパターンなのを自覚したらしい。本来なら盤石の信頼関係で結ばれていなけりゃならない横浜学院のチームメイトもくすくす苦笑を漏らしてる。伊東はそっちを思いっきり睨み付けた。逆恨みもほどほどにな。でないと寝首をかかれるぞ。
「とにかく」
俺に向き直った伊東は、表情を拍手してやりたくなるくらい瞬間的に抑制し、いつものニヤけ面に戻っていた。こういった自分を欺く技術は見習いたいもんだね。
「せいぜい」
そしてそのまま俺の耳元に口を寄せる。うう、止めてくれ。俺にはそのテの趣味は一切無い。これを真理がやってくれるんだったら何でもお願いを聞いちゃうんだけどな、お兄ちゃんは。
「決勝で待ってるぞ。そこで引導を渡すのをこの三年間、ずっと待っていたんだからな」
どこまでも芝居が好きな奴だ。俺だけにしか聞こえていないんだから、もっと悪意に満ちた言葉を吐いたって良いんだぜ?どうせ、俺が『伊東はこんな事を言うヤツだ』などと喧伝したところで誰も信じるわけはないんだから。
「三年間もかい。暇なヤツだね」
ぼそ、と聞こえるように呟いてやると、伊東の顔色がみるみる……変わ……らない。肩眉をぴくりと動かしただけだ。もはや、精神的なイニシアティヴは自分が持っているものと思い込んでいるんだろう。ま、好きにすればいいさ。前口上や何かで野球をする訳じゃ無いんだからな。いわんや、演技に於いておや。
ふん、と鼻で笑って伊東の後ろ姿を見送る……筈が、伊東はウチのチームの背の高い人物に目を留め、話しかけている。……あれは藤間か。今少しだけ思い出してみると、伊東を近くにしたときの藤間の怯え方には尋常ならざるものがあった。何か嫌なことでも言われたのかと思い、行きたくはないが可愛い後輩を救うべくそっちへ向かう。
近寄ると、チームメイト達は『メディアの申し子』たる伊東をどう扱っていいものか戸惑っているようで、藤間と伊東が話し込んでいるのを遠巻きに見ているだけだ。情けない……などと言うなかれ。あいつの瞳に宿った狂気の光は、それに気付く人間こそ少いだろうが、気付いたら気付いたでこっちの心まで腐らされてしまうような強烈なものだ。伊東め、磨いたのは野球の腕じゃなくて、南方の呪術の腕じゃなかろうな。
「おい、伊東『クン』よぉ」
俺が声を掛けると、二人のやり取りをおろおろしながら見ていたチームメイトの輪が解けた。まるで、誰かの救いを待っていたかのように……事実、そうなんだろうな。こんな時にカベは何処に行ってしまったんだ。お得意の『キャプテンの責務』とかいうのに手が掛かっているのか。
ともかくヤツの肩に手を掛けて制止しようとしたが……止めた。こういう止め方をしてサマになるのは、相手が自分よりも背の低かった場合に限る。手を掛けられて振り向くと、そこには胸板が。おそるおそる視線を上に持ってゆくと頭一つ分高いところに厳めしい顔が……という筋書きじゃなきゃね。……笑わば笑え。ある程度の速球を投げる身になっても、自分の背の低さはコンプレックスなんだ。
振り向いた伊東は、予想に反して複雑そうな表情だった。寂しそうな、それでいてやや微笑んでいるような。意外だった。いつものニヤけた薄ら寒い偽善の仮面を被っている姿ばかりが印象に残っているからな。つまり、俺には伊東の表情に関してロクな記憶がないって事だ。
「やあ、加藤『クン』」
しかしそんな貌かおを見せたのはほんの一瞬。気持ちの切り替えは早いようだ。でも俺はしっかり見てしまったからな。
「……俺の可愛い可愛い後輩に何の用だよ」
『可愛い』と自分で宣言できるほど先輩らしいことをしてやっている覚えはないから、藤間にしてみれば噴飯ものかも知れないが……だったら、大切なチームメイトと言い換えても良い。とにかく、何となくカベに似て余計なことを喋らないこの大男を、俺は気に入っていた。後輩だからというわけではなく、ましてや自分のチームメイトとして優秀だからでもない。
「いやね、何でもないよ。旧交を温めていただけさ」
俺の形相があまりにも凄すぎたのか、伊東はやや怯みながらもそう言った。
「急拵えの理由を用意するにしても、もうちっとばかりマシな言い分を用意した方が良かったんじゃないのか?頬が引きつってるぜ」
「急なんかかじゃじゃ」
微妙にハモった藤間と伊東の否定に、今度はこちらがたじろぐ番だ。
「急なんかじゃないです」
代わりに、藤間が代表して言った。
「決して、急なんかじゃないんです」
「……どういう意味だよ」
「……」
「……」
「……」
三人してその後の言葉が出てこない。一体何だって言うんだ……と考えているヒマもなく、
「ヤス、言ってやったらどうだ?僕らは旧知の仲だって事を」
と、伊東が殊の外親しみをアピールするように馴れ馴れしくそう言った。
「藤間がヤスならお前はロンか?」
俺は分りにくいボケを挟みつつ……多分に照れ隠しもあったんだけど……吐き捨てた。
「旧知の仲だったら、どうして藤間がこんなにおどおどしてるんだよ。昔はどうあれ、今は俺の後輩だ。関わり合いにならないで貰おうか。しかも、今は敵味方の間柄なんだからよ」
自分でも不思議だが、伊東のあの表情を見て動揺しているのも確かだった。そのまま憎まれ口を叩く悪党であってくれればよいものを、変な風に人間臭くなるから……ともかく、これ以上ヤツと関わりあいになりたくない。
「いいんです、加藤さん。自分は伊東さんの」
「いいから」
藤間の言葉を制した。
「言ったろ?今はそんなことどうでもいいって。過去の事なんてどうでもいいんだよ。だから藤間、お前も伊東の事を何ら気にする必要なんて無いんだ」
俺の言葉がどう届くかはもちろん分らない。でも、今伊東が介入することによって藤間の精神を乱されたくはなかった。悪意なら俺が引き受ける。
「……随分と後輩想いの先輩を持って良かったな、ヤス?それがお前の最大の狙いかな?まあ彼が本当に後輩を大事に思っているかどうかは別にして、だけど」
今日の伊東は大分突っかかってくる。この前の甲子園での練習時はそれほどではなかったけど、マスコミが少ない分地を出しやすかったか。
「慕われる後輩もいない、可愛がる後輩もいない誰かさんよりはよっぽど良いだろうけどな」
「し、失礼な……ボクにだって後輩くらいいるっ」
「そりゃ居るだろうよ、性格に『下級生』って意味での後輩ならな。それに俺は誰のことって名指しで言って無ぇぞ」
見る間に伊東の頬が紅潮してゆく。からかわれたのがようやく分ったか。今まで俺が散々コケと目の敵にされてたからな。今度はお前の番でも罰は当たるまい。本当の人格者なら、多少の諍いさかいがあっても笑顔で許すものだろうが……生憎と俺はそこまで人格者じゃないんでね。
「し、失礼するっ」
顔面の紅潮を通り過ぎて真っ青に近くなった、しかしどこか余裕を残す伊東の後ろ姿を見送りながら、そっと藤間の俯く顔を覗き込む。どちらかというと淡泊な顔つきだけど、こうして脅えた素振りを見ているとずっと幼く見えるな。二歳下という年齢以上に……何故そう見えるのかは分らないけど、俺が勝手に思うに……過去に伊東にかなりの部分で依存していた事実があるのかも。まあ、過去を詮索しないとい大見得を切ったそばから思うのもなんだけど。
「……」
「……」
藤間は巨体を屈め、両手で顔を押さえていた。
「大丈夫……そうじゃないな」
直接殴る蹴るされるよりよっぽどの恐怖を与えられて脅えてる。こりゃ重傷だ。
「……何と申しましょうか」
掛ける言葉が見つからねえな。ここで顔を覆っているのが例え可愛い女の子でも掛ける言葉を全く知らない俺だが、ましてや男相手なんて……
「加藤さん……」
「何だ」
見ると、藤間は手を下ろし、相変わらず何かにすがるような瞳で俺を見つめている。唇が震えていて、何かを言いたいが言うことが出来ない……そんな表情。
「……何か言いたいことがあるんだったら今の内に言っておけよ、後悔を残さないようにな」
俺は本当は何も分かっちゃいない。でも、何かを感づいているかのようにカマを掛けてみるが
「いえ……本当に何でもないんです……」
まあ、このカマ掛けたくらいで何か零すとは思っちゃいない。
「まあいいさ。お前はお前、そして俺たちの大切な仲間だということだけ覚えていてくれれば他に何も要らねぇ」
本心からそう言ったつもりだ。でも、藤間は何も語らなかった。俺もそれ以上は何も聞かずに……というか聞く気になれない……項垂れる藤間の背中をそっと叩く。
「行くぞ」
と促して。
藤間は、そんな俺の考えをどう受け止めたかは分らないが、ともかく顔を真っ直ぐに向け、
「はい」
短く、しかしはっきりと頷いたのだった。
藤間がどんな存在であろうと、俺たちの大切な仲間。それはこの先変わらない。だって、今の俺にはそう信じ込むしか選択肢がなかったのだから。




