第四話
第三話に引き続き連続投稿です。
「そんで精霊だけが持ち去られていた…と」
目を覚ましたガイナール達は、今回のことを報告するためにギルドマスターの部屋に来ていた。
「はい、申し訳ありません。精霊の重要性は把握していたのですが…」
申し訳なさそうに頭を下げるのはリーシャ。
「いや、仕方ないさ。お前らのチームで失敗したら、他のチームでも成功確率は低かっただろう。」
答えるのは、ギルドマスターであるフィリップ。
背は高く、紺色で短髪の若い男だ。
「んてことはなんだ、ガイナール。お前はティアと2人がかりでその男に負けたのか」
フィリップが面白そうに言うと、ガイナールがくってかかる。
「う、うるせぇよ兄貴、油断しただけだ!次会ったらぜってぇブッ飛ばしてやる!!」
そしてこのフィリップという男は、ガイナールの兄でもある。
ガイナールが強気に出れない、珍しい人物の1人でもある。
「ははっ、そうでなくちゃ困る。さて、ここから少し真面目な話だ。実は、盗人どもの荷物から精霊が見つかったのは今回だけじゃないんだ」
「と言うと…、最近他にも精霊が売買されそうになっていたことがあるんですか?」
精霊が売買されることは昔からある。
だが精霊が強力な力を持っていること、売買ルートが少なく買い手が限られていることから、件数としては非常に少なかった。
ガイナールたちも、直接捕獲されている精霊を見たのはこれが初めてだ。
「あぁ本来こんなことは1年に1度あるかないかだ。だがここ1カ月以内ですでにこちらで保護した精霊は2人。お前らが逃したのも含めると3人目だ」
「ふむ、私としては複雑な話じゃな」
精霊であるサラマンドがつぶやく。
今は武器精霊としてガイナールに仕えているとはいえ、同じ精霊の仲間が売買されているなんて話は面白い話ではないだろう。
「おっと、サラがいたんだったな。少し無神経に話しすぎたか、悪い」
「いや、構わん。続けてくれ」
「そうか、なら続けさせてもらおう。さて精霊の連続売買とこのチームを1人でのしちまう犯罪者の出現。なんとなく俺は嫌な臭いを感じる。そこで、今度の戦いに備えてギルド内で模擬戦を行おうと思う。」
模擬戦とは、戦闘訓練の一環として不定期で行われる個人戦、もしくはチーム戦のトーナメント式大会のことだ。
目的は戦力増強の他に、一般開放し市民のギルドへの信頼を高めることもある。
「個人戦とチーム戦、どちらを行うおつもりですか?私はチーム戦を推しますが…」
リーシャは模擬戦自体には反対ではないようで、フィリップに前向きな質問をする。
「正直悩んだんだがな、今回は個人戦で行こうと思う。結構な期間大規模なチームメンバー変更を行ってないからな。仕事に支障も出てないようだし、どこのチームもチームプレイ自体に問題はないだろうと言うことで個人戦にさせてもらった」
「模擬戦なんて久しぶりだな、前回はチーム戦でしたっけ?マスター」
ニックが苦笑いでフィリップに尋ねる。
「あぁガイナールが大暴れして大変なことになったやつだな」
「ったくありゃ死ぬかと思ったぜ」
「う、うるせぇな…」
前回の模擬戦で、ガイナールはチームメンバーどころか観客まで巻き込むほどの一撃を放ち、模擬戦を一時中止させたという過去を持っていた。
「今回は個人戦だし、ステージも前回の反省を生かして補強してあるからな。好きなだけ暴れるといいさ」
「言われなくてもそうするさ、おれぁ今むしゃくしゃしてんだ…」
昨日の謎の男との戦闘。
一方的にやられたガイナールの心には、怒りと悔しさのまじった炎がともっていた。
「適当に期待しておくさ。話はこんなもんかな。他になんかあるか?」
「…ないよ、早く帰ろ…」
さっきまで黙っていたティアが、もう飽きたとばかりにつぶやく。
「オーケー、じゃあ解散だな。模擬戦のことは明日ぐらいには正式に発表するつもりだ。しっかり準備しとけよ」
フィリップの言葉で、その場は解散となった。
「さぁ始まりました!キャッツハウス内トーナメント式個人模擬戦!!第1戦目は…」
形式的な開会式を終え、実況ともナレーターとも判別しづらい男の声で第1戦目が始まる。
観客席は、魔法使い同士の戦闘を見に来た一般客で満席になっていた。
「ガイは何戦目だ?」
「俺はまだ結構先だな。そういうニックははやいのか?」
ガイナールとニックは、ギルドメンバー用に用意された席から、試合を観戦していた。
人数が人数なので、AブロックからDブロックまで分かれており同時に試合が進行している。
ニックとガイナールは、2人とも同じAブロックに割り振られていた。
「そうだな、確か4戦目くらいだったはずだ。人数が絞られてくるまでは暇な時間が多くて困るな」
「なんだったら俺は連戦でもかまわねぇよのによ…」
「ははっそれじゃあトーナメントにならねぇじゃねぇかよ、それに俺らのためだけの模擬戦でもないんだ。我慢するしかないさ。」
ここで働いているときは、確実にこなせると判断された仕事が基本的に回ってくる。
まだまだ戦闘経験が少ない者からすれば、自分より実力のある者と戦える貴重な場でもあるのだ。
「素直に観戦を楽しんでりゃいいのさ…。お、1戦目が終わったみたいだぜ」
「雑魚どもの試合なんて見ても楽しくもなんともねぇよ…」
「おいおい、同じ職場の人間にひどい言いようだな」
「事実だからしょうがねぇだろうが」
「まったくお前ってやつは…っと。でも次の試合は見たほうがいいかもだぜ。A
ブロックの優勝候補者の1人だかんな」
ニックが指差した先にいたのは、ガイナールのチームと並ぶと言われているチームのメンバーだった。
「人形使いだったな。名前は…モニカだったか?」
桃色の長髪を翻し、ステージの中央へと進む凛とした姿が見える。
「よく覚えてんなぁ、まさかギルド内全員の名前おぼえてるわけじゃあねぇよな?」
「まさか、女性限定だよ。むさい男の名前なんて覚えたところでどうにもなんねぇしな」
「女の名前も覚えてもどうにもならねぇと思うがな」
「ガイ~、お前はバカだなぁ…。こういう些細なことからだなぁ…」
「あぁわかったわかった!ほら、試合が始まったぞ」
話がめんどくさくなりそうだと感じたガイナールは、話を試合に戻す。
「我が契約に従い、我をよるべとし顕現せよ!不死身の騎士、スケルトンナイト!!」
モニカの詠唱に合わせ、骸骨の兵士が同時に5体出現する。
「可愛らしい見た目の割に趣味の悪いもん召喚すんなぁ。しかもあんなにずらずらと…」
「雑魚ども並べただけじゃねぇか、そもそも自分は後ろで見てるだけってあたり召喚士ってのは気に食わねぇ」
「そういうなって。あれだって立派な魔法だぜ?ぶん殴ってるだけのお前にゃあわかりにくいかもしんねぇがな」
話しているうちに骸骨兵士たちは見た目より俊敏な動きで、対戦相手を取り囲む。
対戦相手も剣と魔法を巧みに使い分け抵抗をして見せたが、何度も立ち上がる骸骨達の耐久力と数に押しつぶされる形で試合は終了した。
「けっ、見ててもつまんねぇや。あいつはぜってぇ俺がぶっつぶす」
「へいへい、頑張ってくだせぇ。さて俺はそろそろ待機してなきゃならねぇ、ちょっくら行ってくるぜ」
「おう、負けて恥晒すんじゃねぇぞ」
「おいおい、あんま見くびられるのは困るぜ。お前こそしっかり勝ち残ってこいよ?」
「ったりめぇだ。ほら、さっさと行けよ」
ガイナールのぶっきらぼうなセリフに送られ、ニックは待機室へと降りて行った。
3試合目を適当に流し見し、次は4試合目。
あぁは言ったものの、ニックの実力を知っているだけあってほとんどガイナールに心配はなかったが
「普段は俺が前であんまあいつの戦闘も見れてねぇからな、たまには見といてやるか」
興味なさげにしていたガイナールが、体を起こす。
対戦相手は、見たことも聞いたこともないがぱっと見た感じだと剣士だろう。
「個人戦第4回戦、開始!」
コールが入り、試合が始まる。
対戦相手の武器はやはり片手で扱うタイプの剣、ニックはいつも通りのスナイパーライフル。
「遠距離型…なら距離を詰める!」
スナイパーライフルを見た相手は、空いている片手で牽制の魔法を放ちながら複雑な動きでニックに接近する。
「ありゃ遊んでやがんな…」
順調に接近を許しているニックを見て、ガイナールはつぶやく。
ガイナールは知っている。
あの程度の速度なら、ニックからすればむしろ的だ。
でなければスナイパーライフルなどというピーキーな武器で、ギルド内トップ候補のチームにいることなどできない。
ニックとの対戦相手は、対戦開始時にお互いの距離が離れている状態で試合が始まる時点で、一定以上の速度での戦闘ができなければ負けが決定してしまうのだ。
もちろん他にあの魔弾を防ぐ手段があるならば話は別だが、その場合後手に回ってしまわざるを得なくなるだろう。
などとガイナールが考えているうちに、とうとう対戦相手は剣の攻撃範囲内にまでニックに接近する。
「この距離ならそのデカ物は使えない!とった!!」
「一般客も見てるんだぜ?試合はしっかり盛り上げねぇと…なぁ!」
一見、絶体絶命のニック。
しかしニックはまったく焦った様子を見せず、振り下ろされた剣の側面を"蹴り"飛ばした。
「何!?」
予想外のアクションにひるむ対戦相手。
「あのチームに居続けるにはちょっとばっかし器用なくらいじゃなきゃいけんのよ」
そのままニックはスナイパーライフルを、片手に持ち変える。
相手のひるみで空いた距離を、短いモーションのジャンプでつめる。
慣性を乗せた一発目の跳び蹴りで、剣を蹴り落とす。
そのまま体をひねり、回し蹴りの要領で左足のかかとを相手の腹部に叩き込む。
倒れた相手に、両手に持ちかえたスナイパーライフルをゼロ距離で構える。
「これで…ゲームセットだ」
流れるような動きで相手を無力化したニックは、キザなセリフを残し銃口を外す。
「どこまでもかっこつけな野郎だぜ…」
いつものことではあるが。
「さて俺もそろそろ待機室に向かわなきゃいけない時間か…」
「ようやく私の出番じゃな」
ちなみに過去に精霊武器は禁止にしたほうが良いのではないかという話もあったが、犯罪者に精霊武器を使われる可能性もあるということで結局制限は設けられなかった。
精霊状態になったサラマンドが、ガイナールの隣を歩く。
未だに残るむしゃくしゃを振り払うため、ガイナールは待機室へと向かった。
「個人戦第7回戦、開始!」
待機室で退屈な時間を過ごし、とうとうガイナールの1戦目が始まった。
「おれぁわりぃがニックみたいな真似はしねぇぞ、おらぁ!!」
「精霊武器サラマンド!いざ参る!!」
試合開始のコールが出た瞬間に、サラマンドを展開。
相手の準備など待たずに、まっすぐ相手に突進する。
「まずは一発目ぇ!!」
「くっ、聞いてはいたがやはり速い…!」
問題児としても、精霊武器の持ち主としても有名なガイナールは、話だけならギルド内の誰でも知っている存在だった。
もちろん、ガイナール本人は気にも留めていないが。
「だが、こちらも何も考えずここに来たわけじゃない!」
ガイナールの対戦相手は、右手に剣、左手に盾というRPGの主人公のような装備をしていた。
「魔力障壁展開!!」
ガイナールの拳に合わせ盾を構え、さらに盾の正面に何重もの魔力障壁を発生させる。
「俺の拳を受け止める気か?いい度胸じゃねぇかぁぁ!!」
言葉だけで相手をひるませるような迫力とともに、その迫力をも上回る質量をもつ拳を盾に正面から放つ。
放たれる炎が障壁によりはじかれ、ステージが二分される。
が、拮抗を保てていたのは数瞬のみ。
盾を構えた姿勢のまま、対戦相手は斜め上に吹き飛ばされる。
「予想以上の威力…だが受けきった!」
一発目をしのぎ、一瞬安堵した対戦相手の目に映ったのは、左手で追撃を仕掛けようと猛追してくるガイナールの姿だった。
「今のはちょっと楽しかったぜぇ!まさかこのまま一旦休憩なんてわけはねぇよなぁ!!」
「こいつ!?」
まだ空中で吹き飛ばされている最中の相手に、ガイナールはブーストをフル稼働し追いつく。
「ほぅら2発目だぁ!!」
さっきとは反対側の腕からの一撃。
空中にいたということと、さっきの一撃で魔力障壁をほとんど突破されていた盾はあっけなく粉砕される。
「くそっ!」
相手の苦悶にゆがむ表情を一瞥することもせず、ガイナールは叫ぶ。
「とどめの3発目だぁ!!」
振り切った左手はそのままに、すでに引き戻していた右腕を振りかぶる。
「おい我が主よ!本気で殴り飛ばすでないぞ!?」
「わぁってるよ、おらぁ!」
手加減をした、だが鍛えている大人の男が意識を失うほどの一撃を放り込む。
抵抗らしい抵抗もできず、ノーガードでガイナールの拳をくらい個人戦第8回戦は幕を閉じた。
「ふぅ、二戦目からは割と連戦であったな。疲れたりしてはおるまいな?我が主よ」
一試合ごとに残っている人数が半分になっていくトーナメント戦では、勝ち残れば勝ち残るほど試合密度は高くなっていく。
さらに、Cブロックが早めに終わったようで試合進行が遅れていたAブロックはCブロックのステージも使って試合を行ったため、ガイナール達は他の試合を観戦する余裕もなく試合をこなしていたのだ。
「冗談はやめろよ、あんな雑魚ども相手で俺が疲れたりするわけねぇだろうが」
「それもそうじゃな、もう疲れたなどと弱音を吐かれても私としては困ってしまうところだったわ」
「じゃあ余計なことを言うんじゃねぇよ、さて今Aブロックのステージのほうで、ニックとモニカとかいうやつの準決勝だったな」
「そうじゃな、勝ったほうが主とAブロック決勝戦。その後、ブロックごとの優勝者4人でのトーナメント戦じゃな」
対戦ブロックもすでに決まっており、Aブロック優勝者VSBブロック優勝者、Cブロック優勝者VSDブロック優勝者で試合を行う。
そして最後に、その勝者同士による決勝戦という流れだ。
「ニックの野郎、女相手だからって手ぇぬいたりしてねぇだろうな」
「どうじゃろうな。まだ試合の途中のようじゃし見てみればよかろう」
「あぁそうだな、いくか」
観戦席に着いたガイナール達の視界にまず入ったのは、30メートルはあろうかというほどの巨大なゴーレムだった。
「なんだこりゃ…。これは人形の範疇をこえちゃいねぇか…」
「人形使いというのは二つ名みたいなもので、正式には召喚士じゃからな。だがこれほどのものを召喚するとは…」
30メートルの岩でできた巨人、これだけで圧倒されてしまいそうになる。
よく見るとそのゴーレム肩に、モニカがいた。
「そういやニックはどこだ、まだ負けちゃいねぇだろぁな」
視線を巡らせると、スナイパーライフルを構えたニックがいた。
どうやら地上から、モニカを直接狙っているらしい。
狙いをつけ、一射。
だがそれは、ゴーレムの巨体に阻まれる。
「こりゃ時間がかかりそうだな…」
どうやらモニカはこのゴーレム以外には、今は召喚を行えないようだ。
ニックがモニカを撃つか、集中力を切らしたニックにゴーレムの攻撃が当たるか。
そう考えていたガイナールに、サラマンドが答える。
「いや、主。これはニックに不利な戦況かもしれんよ…」
「あ?そりゃどういう…」
ガイナールが言葉を発し終わる前に、モニカのゴーレムが動いた。
「なっ!?」
その瞬間、ガイナールは驚愕の声を上げる。
動いたこと自体は驚くようなことではない。
ガイナールを驚かせたのは、その速度だ。
30メートル以上の巨体を持っているにも関わらず、その動きのスピードは普通の人間と大差のないものだった。
巨大生物の動きがスローモーションに見える理由は簡単だ。
同じ速度で動かしても、体が大きいので相対的に遅く見えるというだけの話だ。
人間が高速で10歩走るのと、巨人がゆっくり1歩踏み出すのを時速換算すると同じになるのと同じだ。
しかし、このゴーレムは普通の人間のように動き、戦闘をしている。
「こりゃニックが手こずるわけだ…」
もとよりスナイパーライフルという対人に特化している武器を使っている時点で、ニックとは相性が悪いのだ。
それに加えてゴーレムのこのスペックだ。
さっさと勝てというのは、きつい話だろう。
ガイナールが驚いている間にも、試合は進む。
ゴーレムの足払いを、ニックは跳躍でかわす。
というより跳躍以外ではかわせない。
あたり一帯を足で薙ぎ払われているからだ。
ニックはそのまま、ゴーレムの体に飛び乗る。
ゴーレムを登ってモニカの元まで行くつもりの様だ。
嫌がるゴーレムの抵抗をいなし、凹凸だらけの体を足場にし、跳び跳び跳ぶ。
そしてとうとう、モニカの元までたどり着く。
「よう、お嬢ちゃん。ようやくあえて俺はうれしいぜ」
試合中にも関わらず軽口を叩くニック。
「おあいにく様です。私はここであなたには会いたくありませんでしたわ、また別の機会にお願いします」
モニカが言い終わると同時に、すでに組んであったモニカの術式が発動する。
「詠唱術式グラビティゾーン、発動!」
詠唱術式とは、事前に詠唱をすませておかなければいけない魔法で、威力や効果は大きいが使いにくさゆえに場面を選ぶ魔法だ。
「ちょっとそりゃあ冷たいんじゃあないの、モニカちゃん」
「登山お疲れ様です、またのご来場をお待ちしておりますわ」
ステージの上方に、黒く円状の渦のようなものが発生する。
次の瞬間、周囲の重力が倍加した。
ゴーレムの肩にしっかり乗っているモニカには、そこまで大きな影響はない。
だが、まだ足場を確保していなかったニックにとって、これは致命的な状況だ。
当然踏ん張ることなどできず、高さ30メートルから地上にまっすぐ落ちる。
「ぐっ!?」
地上に叩きつけられ、一時的に呼吸困難に陥り大きな隙ができたニックに、ゴーレムの蹴りが直撃した。
「Aブロック準決勝は、モニカの勝利!それでは準備ができ次第、いよいよAブロック決勝戦に移ります!」
試合終了のコールがはいり、ニックの敗北が決定した。
「けっ、こりゃあニックの仇をしっかり取ってやんねぇとなぁ」
「主、無茶はするではないぞ?もちろんモニカのほうもわきまえてはいるとは思うが、無理をすればあの巨体じゃ。万が一ということもある」
「いらねぇ心配すんじゃねぇよ、ほらいくぞ」
久しぶりに、心の中に高揚感を覚えながらガイナールは待機室へと向かった。