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○夕暮昔話○
○后也side○
「愛沙ちゃん、変わらないね」
吉昭が笑っていう。
そうだ。愛沙は、変わらない。
飛悟はえ。と驚いた表情をした。
たんたんと階段を登ってくる足音がした。
「おかえり」
と綾華が迎えた。
すると、大稀がポツリと「物好きめ」とぼやいた。
あぁ?とガラの悪い声....つまり、愛沙の声がした。
「なにしてんだよー」
と笑いながら亜利が言った。
平和か。そう感じた。
まだ中学に入って1ヶ月も経っていない。
そう思うと、何だか短く感じた。
夕暮れ。
愛沙の家を後にした俺達は帰り道に少し話をした。
「愛沙が昔どうだったかは知らないが変わらないのか?」
綾華が聞いてきた。
少し答えに迷う。どう答えようか
「変わらない、かな」
吉昭が答える。
そうか、と綾華はめをほそめた。
少しだけ昔話をして。時間がやってきた。
「さて、帰るか。」
「じゃ、また明日ね」
そう言って皆と別れた。