○出会い○
○飛悟side○
桜の香りが一層と増した春のある日。
俺達の、今の仲間に人が加わる日。
それは、ある舞夏の一声から始まる出会いだ。
「ねぇ、皆に紹介したい人がいるんだけど…」
何気ない一言だった。
「誰?」
舞夏の紹介とあっちゃ、綾華も実に食いつきが早い。
同じクラスの人でさ、と舞夏は話し出した。
その人を呼ぶと、愛沙の顔から表情と色が無くなった。
「え、なんであんたらが…」
やはり、そうだ。
入学式の日に見かけ、愛沙が名前を呟いた少年少女。
『亜利に、吉昭に、こう…ちゃん…?』
ぼやいた名前が蘇り、脳内を行き来する。
やはり、あの三人だ。
黒髪の長い少年は、こちらを見てぱぁっと表情を明るくした。
「愛沙ちゃーん」
少年は雰囲気とは全くの正反対な笑顔でこちらに来る。
すると、愛沙は今まで以上に嫌がった。
片手で額あたりを抑え、少年は約45度くらいに首が背中の方に曲がる。
「い、痛いよ愛紗ちゃん…」
「お、おい。愛紗…」
俺が声を掛けるとはっと我に帰り、手を離した。
綾華が落ち着こうか、と話しを進める。
「痛いたた…申し遅れましたー、僕は宮技吉昭ですー」
首元を撫でながらあはは、と笑って呟いた。
これが、愛沙の幼馴染み…か。
そして、后也という吉昭と全く正反対の少年(正直身長が低すぎてどうしたらいいかわからないが。)、綾華と雰囲気が似ている亜利。
「........」
暫く続いた沈黙。
その沈黙を破ったのは、意外にも大稀だった。
「はは、まぁ、なんとかなるだろ」
「大稀....お前なぁ」