○友人と他人○
○唯子side○
舞夏と綾と亜利と話してると部室のドアが開く。
『また』、かなぁ....?と外を何気なく見る。吹奏楽部の姿はあったけど、1人、いなかった。
「愛沙ーぁ。またぁ?」
「........だって」
愛沙はある意味、人一倍強がりで天性の弱虫なんだよ、って吉昭が言ってたよね....。
言いたいことはわかる。愛沙は感情表現が上手くはない。それできっと、誤解されたりするんだ。
「....女子が、怖かったから」
「本当にもー....またか。」
「ちゃ....ちゃんと理由ある....って....!」
愛沙が珍しく必死に口を開く。話してた亜利も、私達も驚いた。
ここまで来たらもう話さなくなる筈の愛沙が話した。
「もう....世話焼かせるよね。ほら、降りるわよ!」
綾が愛沙の襟首を掴んで階段の方へ向かった。
きっと、部活のとこに戻そうとしてるのだ。
「あ、綾ぁ....」
舞夏がはぁとため息気味に言った。
「女子が怖いって?じゃあ、俺らも怖いのか?違うだろ。『他人』と『友人』は違うだろ。『他人』を怖がるのはわかるさ。でもな、『友』を怖がるな!友人には何でも言ったら良いんだよ。怖い理由も。」
その時の綾の声は鋭くて、力強かった。
まぁ、まさに愛沙にピッタリな言葉だった。
「....目。」
「は?」
「目線........」
目線?女子の、目線?
愛沙の話では、殺気というか、嫉妬....というかな目線を感じるそうだ。実際そうなんだろうけど....
私達のメンバーでも、吉昭や飛悟が良く話すのは愛沙。そのせいかも知れない。
「あの二人に迷惑もかけたくないし....」
「あ。愛沙」
保健室から出てきた飛悟が声をかける。
なんだか気まずそう....と思ってたら綾が、「さ、後は自分でなんとかしな。」と言ってその場にほっていった。 ○助け○