○助け○
○后也side○
....ため息?
何気ない仕草だけど、えらく深いため息だった。
そして、こちらを見ている。またため息。
きっと、他人からしたら何気ないかもしれない、でも俺や吉昭にはわかる。愛沙の癖が。
両足を、少し内に向ける。
それは、嫌だとか....苦しいとかの愛沙なりの感情表現。
しばらく留まってしまったせいか、騒がしい声が聞こえる。
『また』だ。いつもの話だが。
「えーと....ぉ。あ....その....」
微コミュ障の飛悟が女子に絡まれてる。
外周で、飛悟は基本はタイムだ何だの作業をしている。その際、ちょこちょこ希に見る女子の集団....
「じゃ、后也、外周いこーぜ。もう飛悟置いといて」
「あ?うん」
「えぇぇぇぇぇぇ!!!?」
「ま、誰かに助けでも求めるんだな」
うぅ....と今にも泣きそうな飛悟をほって外周の方へ....なんてのは嘘で。
飛悟らの位置から死角の所に隠れる。
様子を伺ってると、いきなり。
「あ....愛沙、た....たす....助けてくれ....」
言ってしまった。
「は?僕?」という愛沙。うんうん、と飛悟が首を振ると愛沙は全速力で逃げた。
....そんなに、嫌いか。大稀が呟いた。
「....え」
と飛悟も言うと、いいわけ....をして逃げてきた。
「また愛沙に避けられた....」
はぁ....と悲しそうに言う。
避けられた....というか、女子と関わりたくないだけじゃないか?と言いたくなる。
外周から戻っても吹奏楽部は居たが、愛沙は見当たらなかった。
....帰りには、忘れてるよな?と思った。
まぁ、こんなのは、一年より日常茶飯事になっている。
「あ、....なんか痛い。」
飛悟が足を見て呟いた。
結構深い傷に血が足を伝って白い靴に....
きょとん顔で見つめてたら、状況判断が出来て。
「い....いいから!はやく保健室行ってこい!!」
「え、あ、うん」
何事もなかったような、顔で飛悟は校舎の方へ向かった。