○懐かしさ○
〇愛沙side〇
今日は先生不在の為に、吹奏楽は外練。....普通、休みになるのに。
まだ、イマイチ寒いから私は石垣の上でフルートをあっためながらぽけーとしていた。日差しが暖かく、眠い。
一つ上の先輩は生徒会とか体調不良とかであまり部活にはいないため、私は一人だ。
他のクラリネットやサックス、トランペットと言った有名な楽器たちには見学者が沢山くるけど、フルートはあんまりいない。
「暇だぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
思いっきり声を出す。
すると、石垣の下から「おーい!」と声がする。
どこからかわからない。でも、また「おーい!下!下だよ、愛沙ー!」と言われるから下を見る。
三人、テニス。つまり。
「こうちゃんに大稀に飛悟?」
疑問に返事をした。下を見た。
ぐらっと視界が揺れる。
そうだ、忘れきってたけど....私
高所恐怖症なんだった....
前のめりに転ける。力が入らない製でふらっと落ちる。
「よいしょっと。大丈夫?愛沙ちゃん」
その声は聞きなれた。声。
抱えられてそう聞かれる。
「あ、うん。ありがと....吉昭」
「にしても、愛沙ちゃん、軽いね」
「....ほんと、プライバシーの欠片もないわね」
「あはは、許してよ?助けたんだし」
にこにこ笑いながらそう言った。
なんなんだ。....吉昭とはほんとわからない奴だ。
そういや、吉昭は、バド....だっけ?
「部活は?」
「いやぁ、2年生は追い出されちゃって....」
「てゆーか。降ろしてよ。いつまでこうしてる気?」
「さぁね♪まぁいいじゃん」
「よかねぇよ。」
なんてやり取りを続けてたら何だか懐かしい感じがした。
不思議....だった。
........石垣下からの、視線まで。
「ひ....ひさ....睨むな!わ....笑うなぁぁぁぁぁあ!!」
つい叫んだ。
にこぉ、と綾さんがする様な不器用な....いや、怖い笑でこちらを見る。滅多と笑わないから怖い。
部活の時間にもこんな事....してたら....1人、謎のナレーションをしながら後ろを向いた。
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....そして一つため息を付いた。