○大貧民と大富豪○
〇亜利side〇
放課後、皆で愛沙の家へ....
トランプをがさつに広げ、人数分に分ける。
「ダウト、やろっか!」
舞夏が声をあげた。
ダウト、トランプゲームでも皆の性格や嘘の付きようがわかる。
素直な人ほど、ダウトは負けやすい。言えば、何処までポーカーフェイスがなってるかでほとんど勝敗がわかる。
「じゃ。最初、唯ね。」
綾が指さす。唯は実に正直ものだ。
唯から右....どうにせよ、次だ。
「1〜」
「ダウト」
....暫しの沈黙。この声は....そう。
無論、綾だった。
「素直過ぎるよ、唯」
綾が告げるとにこにことした笑顔が消え、暫し俯いた。
「ほら、次」と愛沙に声をかけられカードを探す。
2か....。私の手の中には、6、3、8、J....
「....2」
仕方なく、手札の3を出す。
「3....?」
その後すぐに、隣の吉昭が苦笑い気味に出す。
すかさず、私は「ダウト!」という。
「どうだと思う?」
にこりと笑い聞いてくる。
「ふふ。亜利ちゃん、ごめんね☆」
吉昭がひっくり返すと、そこにはハートの3があった。
....あら....ら。と先程のカードを全て受け取った。
紛らわす様に、「ほら!次飛悟!」という。
....まぁ、ゲームは淡々と進み...
負けたのは、
「なんでこうも嘘が通じないのぉー」
唯だった。
因みに、ワースト2位は大稀で3位が私だ。
唯は素直過ぎるからだと、愛沙が冷たく言う。
逆に綾と愛沙はポーカーフェイス過ぎてなんとも言えない。ダウト、と言われようと顔色をひとつも変えない。
「なら、次は....『大貧民』でもするか?」
后也が言う。その隣の愛沙はあら、と言いたげな顔をして、吉昭は「后也....君....?」と薄ら声を出す。
なんのことか、さっぱりだ。
「それって....『大富豪』の事か....?」
飛悟が微妙な顔をしたながらそう伝える。
あー!と皆、声を上げる。
大富豪は地域により名前の呼び方が違ったりする。この辺では、『大富豪』と呼ぶ者も多いが....
「つーか、なんで飛悟わかったの?」
舞夏が聞く。
確かに。わからなくても可笑しくないはずなのに....
そうだなぁ、と飛悟は口を開く。
「うーん、前に住んでた地域が『大富豪』と『大貧民』て呼び方を....してたから、かなぁ?」
「だから....だなぁ。志摩ノ江の所も....そういう感じなんだよ....」
飛悟に続いて后也も話す。
志摩ノ江は、后也と吉昭と愛沙が育った地域。
少し、こちらとは違う文化も根強い地域だ。まず、この滋賀という県は東西南北で文化も方言も違う。世界観も、勿論違うのだ。