[プロローグ]LIGHT=RIGHT
正義とは何か?
弱いものを守ること、悪を倒すこと、これらは万人が首を縦に振る正義かもしれない。
だが、弱いものを弾圧する強き者には正義はないのか? 世間に悪と言われる者は正義を持っていないのか?
そのような事はない。強き者にも正義はあるし、悪にも正義という言葉を掲げることはできる。
このことからすると、正義とは実に曖昧なものである。
曖昧なものであるが故、歴史上、正義と言われるものは個人の見解ではなく、大多数の見解が反映されてきた。戦争などがいい例だと思う。勝った国が正義と称し、負けた国は自国が敵国にした行為を悪だという。その勝った国のやったことが全て良いことかと言うと、そのような事はない。
(中略)
この世界は、絶えず「強者」が支配している、弱肉強食の世界である。昔も、「今」も。
「生きる」と言う作業に精一杯で、支配されていることも分からない「通常者」はそれでいいかもしれない。だが、支配されていると分かっている「異常者」は、弱肉強食という言葉を信じない。
今は「異常者」なんていない。いるわけがない。そう公言している「通常者」もいる。だが、一度目を見開いてもらいたい。現にいるではないか。「強者」へ反発する「異常者」が。「強者」が塞ごうとする自由の光を必死に開けようとする「異常者」が。
私達はこの「異常者」に続き、「通常者」という、「強者」に下げられた名札を投げ捨て、本当の名、「異常者」という名前を「強者」に見せつけるべきである。
それが、毎日の「本当の光」を掴める希望となるのだから。
「LIGHT=RIGHT」より 一部抜粋
著者 ウィリアムズ・P・アンダーソン
この本を執筆2ヶ月後に自殺