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信用ならん

作者: 黄昏
掲載日:2026/04/24

靴紐を結んで玄関を出るとき

自転車の鍵を回して漕ぎ出すとき

スマホをかざして改札を通るとき

そんな日々の生活に感染した病を直すため

様々な薬が処方された


処方される前に説明もあらかた

特効薬はないこと

副作用がでるかもしれないこと

はっきりと期間は決められないこと

飲み続けても直るか分からないこと


でも飲む以外に選択肢はないから

来る日も来る日も薬を飲み続けた

ちゃんと効くって信じて

今日も飲むことが大切

そういうことにした


最初の一年はまるで効果はなかった

次の一年も分かるほどはなかった

そのつぎも そのつぎも

症状も少しだけ重くなっていった

ちょっとずつ副作用も出てきた

何十種類もの薬をためした

どれをどれだけ飲んだか忘れるほど


10年目にしてようやく症状が収まってきた

こうなるともうはやい

どんどん病は快方にむかい

半年後には薬を飲まなくて良いようになった

最後に飲んでた薬の瓶を

記念に取って置いた

まだ見慣れない瓶だけど


ある日

似た境遇の人に出会った

どうにも辛くて悩んでるらしい

家に招いて話を聞くことにした


その人は薬の効き目も分からないから

断念しようと思うらしい

「それは、」と言いかけて

ふいにあの瓶が目に入った

急にゾッとして

言葉と一緒にゴミ箱に投げた

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