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二十四章 切り裂きジャックの真の狙い

アメリカの天才ハッカー少年、対、平凡な日本の大人の技術者の戦い!

 

「今、来ているのはイギリスとロシアだけか」 

 園山がモニターをチェックしていると、 

「・・侵入されました、アメリカ、ダラス、ニューヨーク、ブルックリン地区、OF2540027、YKD53049です・・」

「あいつか?」 

「何をしている?」 

 続けて林田が聞いた、 

「・・私のROMを書き換えています・・」

「ROMを?」 

「しまった、可変ROMだった!」 

「どうしよう?」 

「まずいな~!」 

「明日香、どう書き換えられたんだ?」 

「・・ハードディスクへのアクセスアドレスを書き換えられたので、再起動する事があれば、ハードディスクにアクセス出来なくなりました・・」 

「そんな手があったのか!」 

   

 今すぐに駄目になるというわけではないが、再起動が許されないというのは、いつも

時限爆弾を抱えているようなものだ。  

                 

 林田はジャックの新しいアドレスに、メールを送った。 

   

┌───────────┐ 

            

 何をやるつもりなんだ?

                  

└───────────┘ 

    

 待っていたかのように、すぐに返信メールが来た。 

    

┌───────────┐ 

 

  本物の明日香は、

  どこにある? 

 

└───────────┘ 

   

「ちょっと来て、どうしようか?」 

 ジャックからの返信メールを見て、林田は園山と平方を呼んで、相談し始めた。 

 

「・・・・・・・・・」 

「うまくいくかな?」 

「・・・・・・・・・」  

「だから、私は危険だと言ったんだ!」 

「・・・・・・・・・」 

「気付かれないようにしないとな」 

「・・・・・・・・・」 

「天才少年対凡才の大人か、頑張るぞ!」 

   

 林田は、ジャックにメールを送る。 

   

┌───────────┐ 

 

 これが本物の明日香だ、

 お前の目的は、何だ? 

            

└───────────┘ 

              

 ジャックからのメールは、 

   

┌───────────┐ 


 本物の明日香だという

 証拠は?  

 俺のアドレスを,F.B.Iや

 C.I.A に通告するな、

 しばらくは、この勝負 

 を楽しみたい。


└───────────┘

   

 林田は、ジャックにメールを送る。 

   

┌───────────┐ 


 アクセスしているのだか

 ら、そのくらい、分かる

 だろう。 

 しばらくは通告はしない

 かわり、ROM書き換えの

 コマンドを教えてくれ。

 

└───────────┘ 

   

「さあ、次は何を要求してくるんだ?」 

 林田は揉み手をすると、落ち着かない風にコーヒーを入れに立った。 

「だけどさあ明日香はROMの書き換えコマンドを撃たれた時に、なんで俺達に聞いてこなかったんだろう?」 

 コーヒーを入れながら不思議そうな林田に、園山が、

「ROMの書き換えコマンドに続けて、確認の応答に合わせてジャックが承諾のコマンドを送って来たとしか考えられないなあ、

 明日香の問題じゃなくてROMのプログラムの問題だね、..コンピューターの天才かあ~、どんな子供なんだろう?!」

 と宙を見ながら答えている。

   

「・・アメリカ、ロサンゼルス、侵入しました・・」 

 明日香が落ち着いた声で答えている。 

「新顔か?」 

「アメリカグループの誰かかな?、気を付けろよ明日香!」 

「・・私のハードディスクを読んでいますわ・・」 

「う~ん、破壊屋ではなさそうだな」 

  

┌───────────┐


 本物かどうか確かめる為

 に、明日香を使わせろ。


└───────────┘ 

  

 ジャックからのメールだ、 

 

┌───────────┐ 

     

 明日香を何に使うんだ、

 金融ネットワークにでも

 侵入して、また脅迫でも

 やる気か? 


└───────────┘

   

 と、返信メールを打つ。

  

「金融ネットワークを支配出来れば、好きなだけ金を引き落とせますな」 

 平方が心配そうに顎を揉んだ。 

「いや、金融ネットワークを自由に操作出来ると脅すだけでも、全世界の経済はパニックに陥ってしまう」 

 林田も心配そうだ、

   

 ジャックからメールが届いた、 

   

┌────────────┐ 

       

 私は金には困っていない、

 金だけを欲しがるのは、

 三流の人間さ、  

  それに、長い人生を裏

の社会で生きていくつも

りはないから心配するな。

  私の要求は、明日香に

 知的な仕事をしてもらう

 ものだ、いらぬ心配は

 するな。 

    

└────────────┘

   

「何様のつもりだ、こいつは!」 

 メールを読み終えると、林田が振り向いて、 

「知的な仕事だとさ、本当かな?」  

「そう~か、」 

 園山が考えながら言葉を続けた、  

「確かに、噂どうり彼が少年なら、裏社会で生きていくつもりはないというのは、本当の気持ちだろうな、その為に何かが必要なのか?」

「こんな奴の相手になる事はない、もう止めましょう!」 

 平方が少し興奮し、命令するような口調で言った。 

  

 林田と園山は顔を見合わせ、お互いに同じ事を考えているのを察知した。それはジャックの言う、知的な仕事とは何かという事に興味が引かれているという事だった。

「そうですね~、止めたいんですが、再起動出来ないという問題が、....」 

 わざとゆっくりとした口調で言うと、園山が、 

「明日香、どうする?」 

 と呼びかけた。 

「・・いいですわ、まずジャックさんは、どんな要求をしているのか聞いてみないと・・」 

 

┌───────────┐


 切り裂きジャックさん、

 初めまして、  

  私が明日香です、

     

  私にさせたい仕事とは、

 いったいどんな事なので

 すか? 


└───────────┘ 

           

「このまま、こんな馬鹿げたゲームを続ける気ですか?」 

「我々より、明日香の方が賢いのですよ、たぶん」 

 園山がそう応えると、平方は黙ったまま部屋を出て行った。

 ドアの向こう側から、平方がどこかに連絡している声が聞こえている。首相に状況を報告しているのかもしれない。 

       

 しばらくして、ジャックからのメールが届いた。 

   

┌───────────┐ 


 ありがとう明日香、

    

 歴史上初めての本物の

 人工頭脳とコンタクトが

 とれて、とても興奮して

 いるのさ。

 

 尊敬する明日香にやって

 欲しいというのは、新し

 いCPUとそれ用のOSを

 作る事なんだ、詳しい仕

 様については、添付書類

 にして送ってある。  

  楽しみにしているよ。


└───────────┘

   

「クッソー、ふざけた事を...!」


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