2.病院へ
既に校長室にいた危篤の意味もまだわからない小3の妹、雅琵雅琵とすぐに小学校にやってきた中3の兄、韻と一緒にタクシーに乗り込んだ。どうして?今朝までは寝込んではいたけれど普段と変わりなかったのに。
「碧音はもうわかっているかもしれない。雅琵、よく聞くんだよ」
韻が動揺していることを隠すようなー震えた声で話し始めた。
「うん、お兄ちゃん」
雅琵はまるで何も分かっていないかのような、無邪気な声で答えた。
「母さんがね、今朝、原因の分からない重い貧血ー血が足りなくなることだよになって床に 倒れていたのをお裾分けに来たお隣の鈴木さんが発見したらしいんだ。それで母さんは病院に救急車で運ばれて、もしかしたら父さんがお空からお迎えに来るかもしれないんだ」
とうとう韻は肩を震わせ始めてしまった。雅琵もようやく何が起きているのか分かったようで顔を真っ青にした。ママはただ「体が弱いだけ」なはず。なのにどうして貧血に?私達に食べさせようと無理をしていたのかも。ママの血液型はA-。輸血ができる確率は低い。そうしたらママはー
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一台の黒いタクシーが病院の前に止まる。中から三人の子供が焦った様子で降りてくる。五分後、三人は真っ白な病室に通された。中にあるベッドには一人の女性が横たわっていた。ミルクティー色の髪を持つ痩せこけた彼女に、子供達が駆け寄る。目を閉じて意識がないかのように見えた彼女の目がゆっくりと開き、美しい紫の瞳が姿を現した。




