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想い出2

一、彼の部屋


6月に入って雨が続いたある日、今日はうちに来ないか、と瑛大に誘われた。

単純に、瑛大の部屋とか興味があったし、雨ですることがなかったから、誘われるままに、彼の家に付いていった。

彼の家は、高級住宅街にあって、うちよりも一回りも二回りも大きな家だった。

「おじゃまします…」

緊張していると

「ははっ笑。そんな堅くなんなくていいよ。いま、誰もいないし。そこ、座ってて。」

瑛大は荷物をおろすと、キッチンに立ち、お湯を沸かし始めた。

「ご家族は…?」

「両親は事務所。ぁあ、俺んち、両親、建築家なの。2人で事務所やってる。姉貴は、もう働いてるから。」

「そうなんだ。」

「はい、どうぞ。」

「ありがとう。」

優しい香りだな。紅茶は、あんまり飲まないけど、こうやって丁寧にいれると、ちょっとリッチな気分になる。

ふふっ。なんか、上品なものばかりに囲まれて、まるでお茶会の貴婦人みたいで、おもわず笑ってしまった。私には場ちがーい。

「ん?美味しい?」

「あぁ、うん。」

しとしとと、雨音が響く。たわいない話をして、ふと会話が途切れた。

「俺の部屋、行く?」

「いいの?」

「…新しい曲とかも作ってるから、聴いてよ」


瑛大の部屋は、さっぱりとしていて、色調はモノトーンで揃えられていた。ベッドとデスクと音響設備があった。彼は、今では珍しいレコード盤を取り出し、流し始めた。彼は、お姉ちゃんと同じ、音大生で、ピアノが専門で、それもお姉ちゃんと一緒だ。彼は2年、お姉ちゃんは3年生。

「ぼーとして、どうしたの?」

彼は、私に近づいてきて、手から荷物をとり、そっと私を抱きよせて、キスをした。

「まゆ、お前、可愛いな。」

瑛大が耳元で囁く。

「くすぐったぁ…笑…ねぇねぇ、これ、なんて曲?」

「曲?あぁ…お前、クラッシック興味あるの?」瑛大が私の背中に腕をまわして、身体をよせてくる。

「え、ないけど…」

私は、瑛大のしようとしていることが何となくわかり、離れたくて、曲の話でもして、瑛大の気を変えようしていた。

けれど、その思惑は瑛大にすぐに見破られ、ベッドに押し倒された。

「ちょ、瑛大。わたし…」

「お前、彼氏の家、来といて、逃げるわけ?」

「その、まだ、気持ちが…」

「大丈夫だって、ほら、この音楽きいてりゃ、すぐ終わるからさ。クラッシックを愛するものはsexも愛するんだぜ」

そう言って、私に、馬乗りになり、ボタンに手をかけてきた。

いつもは優しい瑛大のあまりの強引さと、は?クラッシックを愛するものはsexも愛する?だと??

なんか、アホらしくなって、私は、おもいっきり瑛大をビンタして押し退けた。

「瑛大のバカッ!」

私は瑛大の家を飛び出した。雨は相変わらず降り続いていたけれど、傘を瑛大ん家に置いてきてしまって、家に着くまでにびしょ濡れになってしまった。でも、恥ずかしさと、瑛大をビンタしてしまった申し訳なさで、早く、その場から去りたくて、傘を取りにもどらなかった。



ニ、ビンタ


家に帰ると、びしょ濡れのわたしを見て、姉がすごく心配してくれた。黙ったままで、ムスッと膨れっ面のままの私。たまたま、母が出掛けていて、姉がすぐにお風呂を沸かし、髪を乾かしてくれた。

「なぁに?まゆ、何があったの?」

私の髪をとかしながら、姉がニヤニヤときいてきた。

姉は、瑛大と私のことを知っているから、今日の出来事を話した。

一部始終をきいた姉は、大笑いした。

「あは、は、は。あは。あー、面白すぎてお腹痛い。」

「もぅ、お姉ちゃん」

「あー、ごめんごめん。たまに、いるんだよね~。うちの大学、音楽ばっかやってて、音楽は愛だ!とか。クスクスクス 笑 あ~、もう、あの瑛大くんも、そんなこと言うんだぁ 笑」

お姉ちゃんがおもっいり笑い飛ばしてくれたおかげで、私のモヤモヤした気持ちも、なぜだか軽くなった。

深夜、瑛大から「悪かった」とLINEが入った。

わたしも「ホッペ、大丈夫?ごめんなさい」と返事をした。

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