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閑話休題:女神エレン、転生業務中(?)


 


──神界、女神エレン私室。

神の住処とは思えないほどの散らかった空間には、ポテチの袋と炭酸の空き缶が転がり、

ベッドの上では、金髪の女神が毛布にくるまってスマホサイズの神具をポチポチしていた。


 


「……んぁ……ユウくん……スケベ……ナイスぅ……ふふ……」


 


寝ぼけたまま笑うその顔は、まさに推し活オタクのそれ。


 


──画面には、ロザリオの地下墓標を攻略中のユウの姿。

エレンお気に入りの異世界転生者である。


 


「はっ……やっば、もう昼じゃん!? いやでも神様だからセーフ……むしろ時空の概念超越してるからノーカンだよねっ?」


 


のそのそと起きてまず開いたのは、

神具内のソシャゲアプリ《神界演舞:アルティメットリセマラ篇》。


 


「無料ガチャっと……うわ、ハズレ。もう10連! つーかこれSSR出なさすぎじゃない!?」


 


光が爆発──けど爆死。

追加で神力(物理)投入。


 


「くっそ……もうユウくん見て癒されよ。

……おっ、クロエに添い寝されてるぅぅぅ!? うおおおおおおお!!」


 


ベッドを転がりながら大絶叫。

その拍子にポテチをぶちまけ、布団の上がカオスになるが、気にしてない。


 


 


──そこへ、管理端末から通知が届く。


 


【転生希望者・田中たなか みのる・享年45、到着しました】


 


「あー、めんど……今いいとこなのに~……」


 


しかし仕事は仕事だと、一応転生業務用の面談室へ向かう。


※ポテチ持参で。


 


 



 


──転生面談室。


 


エレンは神の玉座にドサッと腰掛け、手元には神具とポテチ。

足元には課金レシートの山。完全に人間界のオタクムーブである。


 


「うぃーっす。転生希望者の田中さ~ん?」


 


「えっ、は、はい! よろしくお願いします!」


 


「えーと、トラックに轢かれて、ブラック企業勤務、趣味はラノベと美少女ゲー……

はい、テンプレ乙。こちとら百戦錬磨なんで、そういうのは5秒で処理できます」


 


「え、えっと……異世界に転生とか……できたり……?」


 


「うんうん。できるよ~。

はい、惑星ブラックダストα。職業は~……鉱山奴隷。スキルなし。チートもなし。エンジョイ☆」


 


「いや待って!? なんでそんな適当なんですか!? 俺の人生が──!!」


 


「いや~ユウくんがね~、今すっごくいいとこなのよ! 新魔法習得してバトル無双して、

クロエちゃんにくっつかれてて、添い寝してて、指輪交換してて、はぁ~~~癒し……」


 


「フザケんなああああああああああ!!!」


 


 



 


──神界、夜。

布団にくるまりながら、神具の画面に映るユウとクロエを見つめるエレン。


 


「ふふ……今日もユウくんかわいかったな~……

ちゃんと指輪つけて寝てるの尊いし、寝ぼけてクロエにギュッてされててさ~……

はぁ~~~……今日も神界に生きる意味を得た……」


 


 


【管理端末:「本日の転生業務、未処理案件残ってますけど?」】


 


「うっさい! 明日やる!! 女神だもん!!」


 


 


──こうして今日も、

ユウの“推し活”に命をかける(?)女神は、

だらけきった神界ライフを満喫しているのであった。


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