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契約

[契約]


「やあ」

誰もいないはずの屋敷。

そんな所に高いとも低いともいえない掴みどころのない声が響いた。

光がないはずの屋敷を、ランタンの光がボワッと照らす。

その光の先には茶色の瞳を持つ金髪の青年。

頭にかぶる灰色の帽子には、可愛らしい赤の花のブローチが付いていた。


「誰だ?」


とても低く、地を張ったような声。冷たさまで感じさせる声で俺は返事をした。


「キミを倒す使命をもらった者だよ」


と軽く会釈をする青年。その会釈はきっと上級貴族と同じくらいしなやかでキレイなのだろう。

それにしても、なんとも回りくどい言い方だろうか。

楽しそうだがどこか淡々としている男。

初めて見た印象は、“気持ち悪い”だった。何がって全てを見透かしているかのような狐色の瞳が。

未来を全て知っているかのようなその瞳が、とてつもなく気持ち悪かった。

俺はその気持ちを悟られぬように、こう言った。


「嗚呼、勇者 ルーキ ハンナか。

お前の顔はいつでもそんなに、ヘラヘラとしているのか?」

「えっ、自覚なかったなー。

それにキミも、黒髪に緑の瞳。血色の悪い肌……側から見たらお化けだよ。」


「…それで俺に何のようだ。今ココでお前を殺せと?」

「物騒だね。その話だけどさ、

私を殺すのを一週間だけ待ってくれないか?」

「ほぉ」

「勿論対価は用意しているよ」

「一週間経ったら私を殺す権利を与えよう。」


手を大きく広げで、ニコニコとわらう男。俺はこれまた不思議な奴が来たと思うと同時に、言葉を失った。なぜこんなにも楽しそうなんだと。自分の命がかかっているのに、どこか他人事のような態度がより気味が悪い。まるで死んでも未来を生きれるかのような言いぶりだった。


「………」

「だからキミの一週間を私にくれないかい。」

「はぁ?」

「間抜けな声だな〜。勿論その一週間で、キミを殺さない。ほらコレ契約書」

「見せてもらおうか?」


差し出された契約書を荒々しく奪い取る。

少し厚めの紙に書かれた契約。俺は、契約書に目を通した。

契約の内容はこうだ。


①お互いに一週間をの事を傷つけられない。

②お互いに一週間、一緒に行動すること。

③一週間終了時点でローガン キャスパーは、ルーキ ハンナを己の手で殺すかどうか選べる。

④ローガン キャスパーは契約内容を一つ追加できる。


一番下には名前を書く欄があり、既にハンナの名前は記入されていた。……本気という事か。


「ほぉ、コレは唆る契約だな」

「だろ?」


と手を広げてハンナは頷いた。全てを司る神のように。


「受けて立とうではないか。」

「おっと契約成立かな?」

「嗚呼。では俺は

一週間終わった後、俺の言うことを一つ聞く。という内容を追加しようか。」

「へー、その理由は?」

「単純な事だ。何かこの契約に穴があっても、俺がその契約を覆す事が出るようにな。

認めたくないが、お前はとてつもなく強いそして、ずる賢いからな。」

「成程……保険ってとこだね。」

「そうだな」


そう言い、ローガンは契約書を差し出した。

スラリと伸びる筆記体の文字で書かれた名前。

二人の魔法使いがサインをした契約は必ず実行される。

魔法使いがいう契約とは、とても大きな意味を持つのだ。因みに契約は番号が若い方が、重視される事が多い。


「これからよろしくね。ローガン」

「そうだなハンナ。

残り一週間の命を俺と共にいなければいけない事を、とても不遇に思うぞ」

「自分で言うか?それ」

「嗚呼。俺は俺のことをよく理解している」

「へー、でも私の方が理解していることもあると思うよ。」

「ハッ馬鹿なことを言うな。」


コレは一週の間だけ、夜と昼の象徴である二人の魔法使いが友達となる物語である。



「ところで私の部屋はあるかい?」

「は?」


何を言い出すのだろうかこの男は。

今日契約したばっかで、俺が用意していると思うほどの鳥頭なのだろうか。


「いや、私はキミと過ごそうかなって。毎日くるのも面倒だしね。」

「……箒があるだろ」

「フフッ私は生憎飛ぶのが苦手でね。ゼツボウ的なセンスだよ、きっとね」

「転移魔法」

「あれは、すごい魔力消費するじゃん」


いや勇者サマの魔力は多いだろう。


「歩けばよい」

「えー、めんどくさいじゃん。ここ街から何百キロ離れていると思ってるのさ、私過労死しちゃうよ!

いいでしょう?誰も居ないのにこの屋敷めっちゃ広いし! ルームシェアだよ!」

「ここは俺の屋敷だ!……チッ、好きにしろ」

「やったー!実はね、荷物もしっかり持ってきたんだよ!」

「そうか」


もう俺は反論すらしなくなっていた。

大きなバックを手に持ったハンナを見て、深くため息をつく。まるでこの展開になると分かっていたかなようなハンナに……。


俺は知らなかった。

この一週間で、自分でも知らない自分の事があると思い知ると、知る術もなかった。


「ところでさ、キミにお願いがあるんだよ」

「次はなんだ?」

「私のお友達一号になってくれないかい?」

「はぁ?」

「勇者の友達が魔王って、唆るでしょ」


俺はこいつのことがよくわからない。理解するのを諦めたほうが早いのかもしれない。

馬鹿か、宇宙人だコイツは。



「おお! 凄い埃っぽいね」

「まぁそうだな。このドアが開いたのが、何十年ぶりだ。下手したら俺が屋敷を建ててから初めて開いたかもしれん」

「キミが建てたのかい? この大きな屋敷」

「嗚呼」

「そうなんだ。ありがたく使わせてもらうね」


ハンナはにこりと笑い部屋の中へと消えていった。

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