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1、いきなり勇者と言われましても

コメディーベースのお話なので、気楽に読んでいただけたら嬉しいです。

はじめのうちは、異世界の説明的な内容が続きますので、読んでいてちょっと退屈かもしれません。

でも、もし自分が異世界に突然来てしまったら?

この異世界について、どんなことが知りたいのか、どんなことを知っていないといけないのか、登場人物と同じ視点で見守っていただけると嬉しいです。

俺の名前は山田太郎。

めちゃくちゃありふれた名前だ。

この名前で「見本で書かれる名前だ~。」などと学生時代同級生にからかわれもしたので、両親に「なんで山田って苗字なのに太郎なんて名前にしたんだよ!」と文句を言ったこともある。

そんな俺も今年で22歳。

中間レベルの大学を無難に卒業し、中小企業に入社が決まり勤務から3ヶ月。

なかなか順調な滑り出しだったのに・・・・。


今、目の前に広がるこの大平原はなんだろうか。

「え・・・仕事終わって帰宅してる途中・・・だよな?!」

一瞬前まで、空は暗く街のネオンが煌めく中を、疲れた体を引きずってトボトボと歩いたはずだ。

明日の打ち合わせに憂鬱を感じながら、ため息をつき項垂れて足元に落としていた視点を上げた途端、景色が明るい大平原に早変わり・・・。

「って、変わるわけねぇだろ!!なんだ?何が起きてる???夢か?夢みてんのか??!」

え?え?何があった?何が起きてる?

ラノベでありがちな、トラックに轢かれて転生とか?

いや歩いていた場所は都心のど真ん中で、車は渋滞でのろのろ走行、車両が突っ込んで来たとしてもそんなにスピードが出てるとは思えないし、そもそもスピードが出せる状況じゃなかった。

足元に魔法陣が浮かんで~・・・とかも全く無かった。

本当に、瞬きする間に大平原。

俺はその場にガクリと膝をつき、愕然としながらどこまでも広がる平原を見つめた。

暫く茫然としていると、突然目の前にゲーム画面の情報ボード・・・???みたいな物が現れた。

そこにはこう書かれている。


『ようこそ!異世界アルベルタへ!!

 あなたはこの世界に勇者として召喚されました!

 この世界を冒険し、世界を支配せんとする大魔王を

 討ち倒し、世界に平和をもたらしましょう!』


「は?勇者・・・?俺が?」


『そうです!あなたは勇者です!!』


「え、俺の言葉に返事した??!!」


『気のせいです』


「いや返事してるじゃねぇか!」


『気のせいです』


「いやだから返事・・・」


『気のせいです。


 さぁ!新たな冒険の始まりです!

 どのコースにしますか?


 ①超最短コース!

  必要最低限のクエストだけをこなし

  魔王討伐に向かう。


 ②普通コース!

  必要クエストに加え、いくつかの

  メインクエストをこなしながら、

  仲間と一緒に成長し、武具やアイテム

  を揃えて魔王討伐に向かう。


 ③ガッツリ鍛錬コース!

  必要クエストや全てのメインクエストに

  加え、いくつかのサブクエストもこなし、

  沢山のアイテムや武具を手に入れて、

  ガッツリ鍛えて強化してから魔王討伐!


 ④最長最難関コース!

  詳しくは選択した後で!


 この中からあなたの望む道を選んでください。』


「無理やり話し進めやがったな・・・てか、え?コ・・・コースとかあんの?」


『一度コースを選択すると、変更は出来ません。

 よく考えてコースを選びましょう!』


「え~・・・そうなんだ・・・。ってか世界を自由気ままに冒険ってコースはねぇのかよ・・・。」

俺の呟きに、この情報ボードのような画面??は何も答えなかった。

「う~ん、この世界の大魔王を討ち倒したら、俺は元の世界に帰れるのか?」


『大魔王を討伐すれば、1つだけどんな願いも

 叶えることが出来ます。

 そこで元の世界への帰還を願えば帰れます。』


またボードがそう答えてきた。

「へぇ~、そうなんだ?時間の経過とかはどうなるんだ??こっちで大魔王討伐まで30年もかかった後、元の世界に戻っても、俺のこと誰も知らないとか、すっかりオッサンになってるから再就職できないとか、嫌なんだけど・・・。」


『元の世界への帰還を願う場合、あなたは召喚

 された時間に戻されます。』


「オッサンのまま?」


『召喚された時の時間軸に当時の状態で戻ることになります。』


「そうなんだ・・・。それなら多少時間かかっても大丈夫ってことだな。う~ん・・・どのコースがいいのかなぁ。」

俺は選択画面を見つめながら、暫く顎に手を当て唸りながら考えた。

「まぁ、サクっと終わらせるのが一番だよな。じゃ、①の最短コースで!」

俺がそういうと、ボードが輝きだし、光が収まった後新たな文字が表示された。


『最短コースで大魔王討伐!が選択されました!

 これからあなたがすべきことは以下の通りです。


 ①ここから一番近くのペイル村へ向かう

 ②冒険の仲間を3人以上見つける

 ③必要最低限のクエスト17をこなす

 ④レベルを20まで上げる

 ⑤大魔王を討伐する


 まずはここから一番近い村ペイルへ向かいましょう!

 徒歩で3時間ほどの場所です。

 マップを表示しますか?』


「はぁ~?!徒歩で3時間もかかるのかよ!もっと近くに村とか町とかねぇのか!」


『一番近い村がペイルです。』


「マジか・・・・。」

仕事終わりで疲れた体を引きずって帰路についていた俺に、ここからさらに3時間歩けってか・・・。

鬼すぎる・・・。

しかし、こんな何もない大平原でボーっとしていても仕方ない。

俺は地図を表示してもらいながら、ペイル村を目指して歩き始めた。

「なぁ・・・この大平原を移動してる最中に、モンスターとか魔物とか出てきたりするのか?」


『・・・・・。』


「なんで直近で一番聞きたい肝心なことは答えないんだよ!!」

どんなRPGや物語でも、いきなり強敵のいるところからスタートというのはあまりない。

チート能力を持っている主人公が、その能力に気づき、チート能力を活かしながら脱出!なんてのはあるが。

多分・・・大丈夫だろ、何もなく見晴らし良いし、何か近づいてくれば見えるはず。


「ところで・・・俺は勇者なんだよな?俺の強さとかステータス?とか見れるのか?」


『ステータス


 名前:山田 太郎

 メイン職業:勇者

 サブ職業:無し

 年齢:22歳

 性別:男

 種族:人族

 出身地:異世界・日本

 LV:0 (レベル)

 HP:20 (生命力)

 MP:0 (魔力量)

 STR:2 (筋力)

 ATK:1 (攻撃力)

 VIT:2 (体力)

 DEF:1 (防御力)

 INT:1 (知力)

 WIS:1 (知恵)

 MGR:0 (魔防力)

 LER:1 (学習力)

 SPD:1 (俊敏性)

 DEX:1 (器用さ)

 HIT:0 (命中力)

 MA:0 (魔素力)

 SPI:1 (精神力)

 WIL:1 (気力・意志力)

 LUK:2 (幸運)

 MRL:2 (道徳)

 PIE:0  (信仰心)

 KRM:2 (カルマ・業)

 AP:0 (容姿)

 BE:0 (美貌)

 CHA:0 (魅力・カリスマ性)


 固有スキル:無し

 特殊スキル:無し

 通常スキル:無し

 隠しスキル:言語理解(ポルタ語)

 備考:異世界から召喚されし者、女好き、エロい、ものぐさ

 

 経験値:0

 獲得SP:500

 所持金:0コール 』


「なんっじゃこのステータスは!!ド初っ端からレベルがゼロってどういうことだ!!普通はレベル1からだろ!!HP以外殆どの数値も3以下じゃねぇか。俺勇者じゃないのか?!低すぎるだろ!!MPとかMAとかはゲームならともかくリアルじゃ何のことだか良くわからないし、それ以外にも良くわからないモンあるし・・・それらはあえて気にしねぇ。でも一番ムカつくのは最後の3つ!!AP(容姿)とBE(美貌)とCHA(魅力)がゼロってなんだよ!!悪かったな!生まれてから母親以外から一度も好きだと言われたことねーわ!誰からもカッコイイねとか言われたことねーわ!!モテたこと無くて悪かったな!!そんな切ねぇ事実をいちいち数値化するんじゃねぇよ!!マジ腹立つな!!」

知りたくもない事実を突きつけられて、俺は思わず憤慨していた。

通常ゲームだとステータスなんて、名前、性別、種族、HP(生命力)、MP(魔力量)、ATK(攻撃力)、DEF(守備力)、VIT(体力)、INT(知力)とかと、持ってるスキルとかが表示されるだけで、ここまで詳細に表示されない。

あったとしても、隠しパラメーター扱いだったり、最初から設定されていないケースも多い。

なのに、現実でのステータスがここまで全部表示されるとは・・・・。

「一番飛びぬけて数値が高い獲得SPってのが、正直何のことかよくわからないが今は後回しにしておくとして、備考の異世界から召喚されし者はそのまんまの事実だし、女好きとかエロいは・・・正直は自覚あるからまぁ良しとしよう!だけどな、イチイチ“ものぐさ”って書くなよ!!そんなことまで備考に記載すな!!なんの表記義務に則って表示してやがるんだ!!」

俺は表示されたステータスボードを見て、思わずツッコミを入れまくってしまった。

ちょっとイライラしながら、俺は情報ボードみたいな物に問いかける。

「なぁ、これが一般的な数値なのか?」


『この世界の住人は生まれた時点でレベル1です。

 あなたはこの“世界で生まれていない”ので、まだ

 レベルがありません。

 数値には個人差があります。』


「個人差つっても平均的数値ってものがあるだろ。」


『職業による違いはありますが、平均的な

 ステータス数値は生まれたての赤子で

 レベル1で5~7程度です。』


「俺はレベル0だから5より低いのか?はぁ~・・・前途多難だなぁ。こんなんで大魔王を倒せるようになるのか?」


『それはあなた次第です!』


「はいはい・・とりあえずペイル?とかに向かえばいいんだろ。」

ガックリ項垂れながら、疲れた体を引きずって、トボトボと歩き続けるのだった。



「へぇ~・・・あの集落みたいなのがペイル村か。」

大平原の先にようやく民家の集まりのような物が見えて来た。

「あのペイルって村に行くのはいいけど、まずは食料確保とか宿確保とかしないといけないよな。俺、この世界の金持ってないけど・・・。所持金ってところもゼロ・・・コール?って書いてあったし。コールっていうのが、この世界の金の単位か?ゼロだから素寒貧ってことだよな。」


『所持品を売りましょう!』


「は?所持品?このビジネスバッグとかその中身とか?冗談だろ!スマホは圏外だから使えないけど、ダウンロードした動画(エロ)とか音楽とか画像(エロ)とか保存してあるから売りたくないし。後はペンとかメモ帳とか会社の資料とかくらいしか入ってねーよ。胸ポケの財布の金が使えたらいいのに。といっても5000円くらいしか入ってないけどさ。このお金をこの世界のお金に換金・・・とか出来ないよなぁ・・・。」


『出来ません。』


「わかっとるわ!!こんな時ばっか即反応すな!」

このずっと俺の前方左斜め上に表示され続けている謎のボード?は、イチイチ腹の立つツッコミ発言をしてきやがる。

というか、この情報ボードみたいなの、消せないのか?

「あ、消えた。」

どうやら消したいと思うだけで消せるようだ。

「さて、困ったな。本当に売る物が無い。」

村の入り口には、出入りを瞠っている門番のような男が一人立っていた。

「おや、こんな田舎の村にお客さんとは珍しい。随分かわった格好をしているが、どこから来たんだ?」

「えっと、ものすごーく遠くから・・・です。」

まぁ嘘じゃないよな、何しろ異世界から来たんだから。

「その割には随分荷物が少ないな。」

「途中で、落としてしまって・・・。」

「え?落とした?魔物にでも襲われたのかい?」

「えぇ、そうなんです!なんとか命辛々やっとの思いで逃げ出して、漸くここまで来れたんです。」

「そうかい。そいつは災難だったな。ここはペイルって村だ。田舎で何も無いけど、身体を休めることくらいは出来るよ。」

男はあまり警戒した様子もなく、そう言って笑う。

門番の意味・・・・。

見知らぬ男(しかも見慣れない格好をしている)を、こうもアッサリ受け入れるとか、この村の防衛や危機管理大丈夫かよ。

いや、村の中に入れてもらいたい俺としては助かるんだけどさ。

「えっと、お金も落としてしまったので、手持ちの物を売ってお金にしたいんですけど、買い取りしてくれる店とかありますか?」

「あぁ、そうなのか。そりゃ大変だ。一応村の中央に雑貨屋があるから、そこでなら買ってもらえると思うぞ。」

「ありがとうございます。」

俺はヘラっと笑ってお礼を述べて、門を潜って村の中へと足を踏み入れた。

いかにも田舎の村という感じで、民家が疎らにポツンポツンと10軒~15軒程度あり、中央の通り(といってもただの畦道みたいなもので、舗装はされていない。)を進むと少し開けた中央広場のような所へ出た。

その広場を囲むようにいくつかの店がある。

野菜や果物らしき物を売っている店、肉を売っている店、武器や防具を売っている店、日用品や農機具などの金物を売っている店、薬らしき物を売っている店。

それらに紛れて雑貨屋もあった。

どう見ても日本語じゃないのに看板の文字が読めるのは、恐らく隠しスキル欄に記載があった言語理解(ポルタ語)というものの効果だろう。

それにさっきの門番の男との会話も、特に問題なく出来た。

俺の耳には日本語にしか聞こえなかったが、きっと本来はポルタ語とかいう言語で話してるんだろうな。

ぼんやりそんな事を思いながら、教えてもらった雑貨屋へと入って行く。

「すみません、買い取りしてもらいたいんですけど。」

俺が店に入り、店の奥に向かってそう声を掛けると、奥から一人の髭もじゃの白髪交じりの爺さんが出て来た。

「いらっしゃい。買い取り希望か。何を売りたいんだ?」

「えっと・・・・これとか・・・どうでしょう?」

俺は鞄から営業資料として持っていた花の写真を見せる。

俺の勤め先はチラシなどを作る広告代理店なので、チラシの背景として使う花や景色や建物などの写真を、いつも数種類持ち歩いている。

「おぉ!!なんだこいつは!物凄く精工な絵画だな!こりゃ相当名のある画家によるものだろう!・・・これほど見事な絵画は見た事が無い!!・・・それにしても、随分薄い画板だな・・・。」

「え、えぇまぁ。特殊な素材で出来てまして、持ち運びしやすいんです。ただ、とても破れやすくもあるのでかなり慎重に扱わないといけない貴重品です。」

営業マンよろしく(といっても本格的な営業業務開始からまだ2か月程度だけど)、花の写真を売り込みする。

「う~ん・・・これは間違いなく素晴らしい一品だが・・・こんな田舎の店では、中々値を付けるのが難しいぞ・・・。」

参ったな、買ってもらえないと俺の食糧代とか宿代とか生活費が・・・。

「えっと、じゃあこれなんてどうですか?使い切りの品なので、使用回数に制限はありますけど。」

今度はそう言いながら、花の写真をそっと取り返して鞄に仕舞いつつ、今度は鞄から100円ライターを取り出して見せる。

「なんだい?これは。」

「これは、ここを押すと・・・ほら、こうやって火が付けれるものです。」

「なんと!!一瞬で火が!!」

「あ、ここを押している間はずっと付いてますけど、手を離すと、すぐ消えるんです。ここ(透明のプラスチック部分)に入っている液体が無くなると、使えなくなります。」

「これもまた、とんでもない品だな!こんな魔道具は初めて見た!確かに火種程度な小さな火だが、魔法が使えない戦士系の冒険者が野営で火を起こす時なんかには、とても重宝しそうだ!」

「えぇそうなんです!とても貴重品な・・・マドウグ(?)なんですけど、諸事情により今お金が無くって・・・なんとか買い取りしていただけませんか?」

「う~ん・・・よし!買い取らせてもらう!この美しく透明(オレンジ色)の中にある液体が無くなったら使えなくなると言っていたが、後どれくらい使えるんだ?」

「そうですね、一瞬付けて直ぐに消す程度でしたら、この液体の残り具合から見て恐らく300回程度は使えると思いますよ。」

「さ・・・300回だって?!そりゃ凄い!!う~ん、ますます貴重な品だな。」

しまった~!!少しでも高値で買ってもらいたくて良いとこアピールしたつもりが、さっきの花の写真同様に貴重過ぎて値段が付けられないとか言われて、買ってもらえないかも!

俺はドキドキしながら店員の爺さんの返事待つ。

「う~ん、これを逃すのは商売人としてあり得ん!よし、50000、いや60000コールでどうだ!」

50000コールというのが、この世界でどの程度の価値か全くわからん。

俺は心で例の情報ボード?を呼び出し、心での中で呟くように問いかけてみた。

(なぁ、これって高いの?安いの?この世界でどの程度の価値かわからないんだけど。)

情報ボード(もうこの呼び方でいいや)が答えてくれなかったらどうしようと思っていたが、ちゃんとボードに表示が出てくれた。


『この世界の貨幣価値について。


 1コール 鉄貨1枚(十円程度)

 10コール 銅貨1枚(百円程度) 

 100コール 青銅貨1枚(千円程度)

 1000コール 小銀貨1枚(一万円程度)

 10000コール 銀貨1枚(十万円程度)

 100000コール 金貨1枚(百万円程度)

 1000000コール 大金貨1枚(一千万円程度)

 10000000コール 白金貨1枚(一億円程度)

 100000000コール 聖金貨(せいきんか)1枚(十億円程度)

 1000000000コール 星金貨(ほしきんか)1枚(百億円程度)

 10000000000コール 聖虹貨(せいこうか)1枚(一千億円程度)

 

 基本的に一般の人が生活・流通で使用するのは

 銀貨までです。

 冒険者などが高ランクの依頼報酬として高額報酬を

 受け取る場合には金貨が使われることもあります。

 金貨以上の貨幣は大商会同士や国家間での高額取引に

 のみ使われています。』


(へぇ~・・・そうなんだ・・・。ってことは60000コールって10000コールで十万円程度だから60万円?!すげぇ大金なんだけど!!)


『ここペイル村は田舎なので物価が非常に安く

 パンであれば1個で凡そ5コール。

 宿屋は1軒のみで1泊2食付きで300コール

 です。』


つまり60000コールもあれば、贅沢さえしなければこの村で半年近く無難に生活出来るってことだ。

「そ、それでお願いします!!」

俺は思わず意気込んでそう言った。

「おぉ!売ってくれるか。じゃあ金を用意するからちょっと待っててくれ。」

爺さんはそう言って奥の部屋へと入って行き、暫くすると布袋と一緒に銀色のプレートに貨幣らしき物を乗せて戻って来た。

「金が無いってことだから、使いやすいよう少し崩しておくよ。銀貨5枚と、小銀貨9枚、青銅貨10枚だ。」

銀貨1枚が10000コールだから銀貨5枚で50000コール、小銀貨9枚で9000コール、青銅貨10枚で1000コールってわけだ。

「ありがとうございます、とても助かります!」

俺は礼を述べながら一緒に渡された布袋に貨幣を全て入れ、紐をしっかり結んで鞄にしまう。

「いや、こちらも良い物が手に入って嬉しいよ。あ、そうそう、さっきのあの素晴らしい絵画、あれを売るならここよりもっと大きな街・・・可能なら王都とかに店を構えている大商会で売った方が良い。その辺の中小の街の商店だと足元見られて、安く買い叩かれてしまうかもしれんよ。その点、大商会には必ず鑑定部という部署があって、正しい評価をしてくれるから、安心して売れるんだ。」

爺さんは余程人が良いと見えて、俺が騙されないようにと情報をくれた。

「ご親切にありがとうございます。そうさせていただきます。」

まぁ今かなりの大金を入手できたから、当面売るつもり無いけど。



最後まで見て下さりありがとうございます。


今の所更新は不定期です。



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― 新着の感想 ―
異世界の設定や貨幣の価値についての説明も分かりやすく、物語の世界観がしっかりと構築されていて面白かったです
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