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第十四話

 頭の中に混乱の渦が起きて整理が追いつかない。

 オルガン様から渡された親書はトロン陛下からのもので、私を舞踏会への招待することが書かれている。

 なんで私なんかが?

 待って。オルガン様の妻だから男爵家の令嬢ではなく、この国を代表する貴族のの一つグラーベ侯爵家の夫人なのね。

 いまさらになって自分の立場の急激な変化と、それに伴う責任の重大さに気が付いた。

 私の失敗でオルガン様に迷惑がかかるんだわ!


「あの……陛下からの招待って……」

「言ったはずだぞ。俺も腹を括ると。断ることは出来ない。陛下の王命に背くことになるからな。ということで、準備をしなければ」

「もしかして私との結婚を無かったことにしようと理由というのは」

「ああ。俺たちの結婚のことはごく一部の者しかまだ知らない。しかし、王の招聘の後では、知らぬ者の方が珍しくなるだろう。今なら無かったことに出来るが、そうなればもう無理だ」


 やっぱりオルガン様はどこまでも優しい。

 もしあのまま結婚が無かったことにすると応じていれば、私は人知れず元の生活に戻れるように手配してくれるつもりだったのね。

 それこそ本当に()()()()ことにして。

 もし別の方の求婚があったとしても、私が初婚として嫁げるように。

 でも、オルガン様は無かったことになんか出来ないわ。

 陛下にはどうしたって経緯を説明しなければならないもの。

 それこそ王命に背く責任を一人でお取りになるつもりだったのだわ。


「それは構いません。オルガン様さえ良ければ」

「そうか。それじゃあ、改めてビオラの準備を。舞踏会だ。踊りは?」

「正直言いますと、一切経験がありません」

「ふむ。マナーはどうだ?」

「マナーは最低限は。この屋敷に来てからは、ハープに頼んで講師を呼んでもらい、足りない部分も少しずつ学ばせていただいています」


 屋敷に来た当初は何もしなくていいとハープに言われたけれど、それは出来ないと毎日講師をお願いしていた。

 先生は厳しい方だけど、家で一人で学んだ時よりもずっと楽しい時間だわ。

 褒め上手だからその気になってついつい頑張ってしまうのよね。

 

「そうだったな。では引き続きマナーを学び、踊りは俺と一緒にやろう」

「踊りはオルガン様と!?」

「どうせ踊るのは俺とだ。俺とでは不満か?」

「いえ! とっても楽しみですわ!」


 オルガン様とこれから毎日踊りの練習が出来るなんて!

 舞踏会は三ヶ月先だから、それまでにオルガン様に恥をかかせないように頑張らなくちゃ。

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