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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第一章
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あやめとの再会

 通説での三方ヶ原の戦い1ヶ月を切ったところでオレは颯爽と有沙さん特製の殺傷能力の低い空き缶爆弾とラジカセを片手にトイレを潜る。


 「慶次さん!居ま・・・は!?ここどこ!?」


 トイレの向こうは岡崎でも岐阜のオレの家でも岐阜城の池田さんの部屋でもなかった。


 「ほほほ。こんな事もあろうかと戸を長篠に移したのですよ。いや、合田殿の言い方ではドアと言いましたか?ほほほ」


 クッソ!この粘っこい喋り方嫌いだと何回も言っているのに!


 「え!?って事はここは長篠城ですか!?」


 「その通り。おう!これで未来の仕事もでき、戦もできるな!良かったではないか!それに最悪お前だけは生きる事ができる!」


 いやいや、誰が好き好んで仕事して戦に参加するんだよ!?オレは社長に一身上の都合にて1ヶ月程休みを貰おうかと考えてたんだぞ!?


 いやまぁこの手があった事を忘れてはいたが実に合理的ではある。確かに危なくなればオレは逃げられる事ができるが、みんな放って逃げるのは・・・いやカッコつけてどうすんだよ!そんな事よりあやめさん!


 「ほほほ。まずは城主の菅沼殿に挨拶に参りましょうか」


 「あれ!?城主って奥平様って方ではなかったですか?」


 「ほほほ。それは直に分かるでしょう。着いて来なさい」


 長篠城・・・現在の豊川、宇連川が合流する所に聳え立つ城だ。


 竹中さんが言ってた通り、本当に小さい城だ。川を眼下に見える北側以外は正直攻められない所だと思う。というか、こんな崖から登ってくる敵が居ればそいつになら討ち取られてもしょうがないとすら思う、天然要塞のような場所だ。


 だが、残念ながらオレが居るのが本丸、そしてこの本丸から少し離れた所に色々建物がある。所謂、二の丸、三の丸というやつだろうか。曲輪も見えるし、櫓も岐阜城より多い。


 残念ながら攻められるのはここからだと思う。むしろ向かって北側が平地だから本丸より先に建てられてある二の丸、三の丸を突破されればここを防衛するのは無理だ。


 崖から逃げるしかなくなる。だからなのか・・・本丸から直線上には大きな石や柵なんかもかなり装備されてある城だ。


 「ほほほ。菅沼殿入りますぞ」


 竹中さんの案内にて少し豪華そうな襖の部屋に入った。


 「何用だ?」


 菅沼なんとかさんって人は年齢40代くらいだろうか。口調的に分かる。オレや竹中さんの事嫌ってるように聞こえる。


 「徳川殿から手配してくださったあの合田武蔵殿が援軍として参上致しましたよ」


 いやいやなんちゅう紹介だよ!?そんな大物なんかじゃねーぞ!?


 「そうか。長篠城 城主 菅沼正貞である。遠路はるばるよくぞ来てくださった。だが、長篠城はこの菅沼家の城。でしゃばった真似はやめてほしい。竹中殿も白々しい。元来其方は織田の配下ではないか」


 「ほほほ。何をおっしゃいますか。我等は大殿から命令を受けて来たわけではないのですよ?正真正銘・・・この文を見なさい。徳川殿の朱印もあるでしょう?」


 竹中さんが懐から出した紙には確かにハンコみたいなのが押されていて、


 《竹中半兵衛配下20、合田武蔵配下50 長篠城詰めに致す》


 と、これだけ書かれた紙を出していた。


 「チッ。とにかくここは防衛に専念する!下がってくれ」


 

 そのままドアを設置された部屋に戻る。質素な部屋と言えば失礼だが本当に質素だ。だが、慶次さんはここでも慶次さんだ。


 「ね?私の言った事が分かったでしょう?」


 いやいやドヤ顔でオレに語りかけてきてるけど竹中さんよ?まったく分からないんだが!?


 「内通しているかね」


 慶次さんがグラスに入ったウイスキーらしき酒を煽りながらボソッと呟いた。


 「で、しょうな。あやめ嬢!伊織嬢!入って来なさい」


 「失礼しま・・・武蔵・・様・・・武蔵様!!!!」


 「あやめさん!!!!本当にすいません!オレが悪かったです!!」


 「いいえ!いいえ!私の理解力不足でした!!」


 オレは正直なんであやめさんを不機嫌にさせたかまるで分かっていなかった。だが、とりあえず謝れ精神でいっぱい謝った。


 そして久しぶりの再会に思わず竹中さん達が居るのに抱きついてしまった。


 「ほほほ。お熱いですね」


 「おい!武蔵!イチャつくならよそでやってくれ!」


 チッ。少しくらいいいじゃないか。


 「ほほほ。首尾はどうですか?」


 「はい。長篠城 城兵の7割は徹底抗戦の機運になっております。奥平様の存在が存外に大きいかと」


 「奥平殿は難しい立場でしょうな。父は既に武田に内通していると見てよいでしょう。私達が現れなければ信昌殿も武田方へ寝返っていたやもしれませんな」


 いやこの事象はネットで見たぞ!確か1570年に起こった上村合戦ってやつだったと思う。


 山家三方衆と三河衆2,500人と共に、同盟する遠山と伴に武田の秋山軍と対峙し、三河との国境の美濃国恵那郡上村にて戦闘が始まり、数の上で有利だった遠山・徳川連合軍だったけど遠山って人が惨敗して逃げて帰ったとかなんとかだったっけ!?


 その時既に内通していたとかじゃなかったっけ!?ならまだオレは会っていないけど、奥平信昌って人はオレが来た事で内通していないって事になったのか!?史実なら信昌って人も武田と内通してたと思ったけど・・・。


 「戦が始まり、開城するようならば私が菅沼殿を斬りましょう。そして、臨時で奥平殿に城主となってもらいましょうか」


 「ケッ!俺ぁ〜まつりごとや搦め手は嫌いだ。それは竹中殿に任せるぜ。なんせ俺の1番の任務は武蔵の護衛だからな!おい!大将!守ってやるから山先を頼むぞ!」


 「は!?それが大将と思ってる人に言う言葉っすか!?別にいいんすよ?」


 「ゴホンッ 某・・・織田家 相伴衆 合田武蔵様の護衛也!謹んで命令してくだされ」


 「調子いいですね。まぁ、落ち着いたらみんなに何か振る舞いますよ。今未来の仕事もかなりやる事が多くて大変なんですよ」


 「また出世されたのですか!?」


 「いやいや、違うよ!あやめさん。また後で色々話します!」


 「ほほほ。程々にしなさい。どれ・・・私も久々に飲みましょう。死ぬつもりはありませんがもしかすれば私も居なくなるやもしれませんからな」


 いや絶対にこの人は大丈夫だ。結核?か何かで死ぬんだっけ?まぁ色々面倒見てくれてるし・・・症状が出れば薬くらい渡してあげよう。

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