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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第一章
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未来の出来事

 オレは家に帰りたかったがそうは信長さんが許してくれなかった。最初に明日は仕事が休みと言ってしまってたからだ。


 「休みがある商いとは余裕があるのだな?後学のために教えよ。何を売ってどこに売っているのかをな」


 と言われ、岐阜城の信長さんの私室に呼ばれた。後世ではお茶に狂ってたと見た記憶があるがまさにその通りだった。


 まず棚には素人のオレが見ても分かる明らかに歴史的価値のありそうな湯呑みや、金箔?がされてある茶壺や茶釜、なんて書いてあるか分からない掛け軸なんかがあったからだ。


 何の目的で作られたか分からない熊?猪?かも分からない獣のマントらしき物もあった。そして埃一つないかなり綺麗な部屋だ。真ん中に囲炉裏があり対面に座る事を許された。


 「この部屋はあまり部外者は入れぬのだがな。今回は特別じゃ。一杯進ぜよう」


 「ありがとうございます。すいません、作法がまったく分からないのですが・・・」


 「構わん。作法を言うなら入り口の時点で貴様は失格じゃ」


 マジか!?入り口で失格ってなんじゃそりゃ!?


 シャカシャカシャカシャカシャカ


 信長さんの見事な手捌きで徐々に抹茶?が泡立ってきている。


 出来上がった湯呑みを無言で渡される。オレも無言でそれを飲んだ。


 「え!?美味!?ってかかなり甘いですね!?砂糖入れたんですか!?」


 「クハッハッハッ!そうか!素人の貴様が味わっても美味いと言うか!おべんちゃらを言う商人や配下の者とは違う本心の感想と見る!小気味良い!よし!話せ!何でも良い!好きなように未来とやらを話せ!」


 気付けば3時間は話していただろうか。オレはオレなりに分かりやすく言ったつもりだ。さすがに本能寺の事は言えなかったがおおまかな歴史の事象を言い、世界で戦った、第一次世界大戦、産業革命、第二次世界大戦、数々の電化製品、食べ物、兵器の事も知ってる範囲で教えた。


 信長さんが食い付いたのは戦の事や兵器の話も少し食い付いたが1番は・・・


 「そうか。平民や農民と区別なくみんなが飢える事のない世界になるのか」


 「はい。ごく一部の上流の人達を省き、日本は身分制度がなくなり好きな仕事、好きな人と結婚し生涯を終えます」


 「うむ。ワシは能無しではないとは思っておるがこれは一晩では済みそうもないな。明日・・・今一度教えよ。分かる範囲で良い。一室設ける。そこに泊まれ」


 いや本当にマジで帰りたいんだけど!?オレ寝る場所変わったら眠れないんだけど・・・。



 信長さんの私室の3つ隣の部屋に案内された。ってかどれだけ部屋数あるの!?と問いたくなるくらい部屋が多い。


 もう一つビックリしたのは・・・


 「お召し物をお変え致します。失礼致しまする」


 そう言って服を脱がそうとしてくる女性の人だ。普通のTシャツにジーパンだったが初めて見る服に脱がし方が分からず戸惑っている。オレはこんなに女性に接近された事はお母さん以外には経験がないため自分で心臓の音が聞こえるくらいドキドキしてしまっている。


 「も、も、申し訳ございません・・・田舎者故に殿方のようなお召しは初めてでございまして・・・お許しを・・・」


 「え!?あっ、い、いやだ大丈夫っす!うっす!」


 気付けば変な返事をしてしまっている。オレは自分で脱ぎパンツ一丁になった。不覚にも何もされていないのに反応してしまっている自分が情け無い・・・。


 オレの愚息には一切触れられず丁寧に浴衣?のような服を着せられ畳に案内された。


 「ってかすいません。布団ってないんですか!?」


 「え!?ふとん・・・ふとんとは何でしょうか!?」


 「マジか・・・まだ布団ってないんだ?確か三河の方で綿花栽培とかだったよな・・・。我慢するしかないか・・・。すいません。気にしないでください。ありがとうございました」


 「は、はぁ〜・・・。何か御用がございましたらお呼びください」


 可愛い人だったな。それでもこの時代ではオレより優れた血筋の女性なんだろうな。あんな人が彼女なら里志君にも負けないと思うんだけど・・・いやそもそもばあちゃん家に入れないんだよな・・・。


 はぁ〜・・・本来は彼女が欲しかった一人暮らしなのにいつのまにかこんなSFチックな事象でタイムスリップしてしまったんだよな・・・。まあまだ帰れるからいいけど。今後もここに来るならお泊まりセットも持って来ていいか聞いてみよう。歯ブラシ、石鹸、シャンプー、服も何着か要るな。


 この日の夜オレは少し期待していた。蝋燭か何かを持った若い女性が部屋にやってきて夜の相手をしてくれるのじゃないか!?と期待していたからだ。残念ながらそんな事はなかった。


 朝になった。


 昨晩はまったく眠れなかった。物凄く硬い畳らしき物の上に寝転がり大きな服?を掛けられただけだからだ。オレにこの時代は合わないと思う。


 「武蔵君!起きているか!?約束した鍛錬をしよう!」


 いや約束した覚えないんですが!?


 「おはようございます。約束してましたっけ!?」


 「がははは!なにを寝惚けておるか!井戸の水汲みしてやるから顔を洗って目を覚まそう!まずは柔軟からだ!」


 現代でも5月・・・ここも皐月と言ってたから年代こそ違うけど月は同じかなと思う。寒くもなく暑くもないちょうどいい季節だ。そして、城の裏手にある井戸に案内され桶に水汲みをしてもらいそれで顔を洗った。


 「よぉ〜し!まずは強張った身体の腱を伸ばすのだ!いきなり動けば切れる事もあるからな?その次は石を持ち飛び上がる鍛錬だ!」


 いやいや前田さんはめっちゃ頭悪く脳筋ガチムチの人に見えるけどめちくちゃ理に適った鍛錬じゃね!?しかもかなり意識高い系陽キャのように見えるんだが!?


 前田さんはヒョロヒョロのオレにかなり優しく付き合ってくれた。ヘトヘトになってはいるがヘバリそうな時に色々言われるのだ。


 「それでいいのか!?後10回は跳べるだろ!?」


 「しんどい!無理じゃない!やるのだ!やってみた先に成果が現れるのだ!」


 「やればできるじゃないか!無理じゃないだろ?」


 とまるでパーソナルトレーニングでもしてるかのような感覚だ。まぁ行った事ないけど。そこへ髭もじゃおじさんの柴田さんの登場だ。朝一から虫ケラを見る目付きでオレを睨む。


 「ふん」


 オレを見て鼻で笑い、上半身裸になりドヤ顔でオレの方を見る。


 オレはこの人とは仲良くなれないと分かった瞬間だった。

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