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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第一章
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未来アイテム

 シュコ〜〜〜〜


 「はい。小川さん!!この四隅のこの輪っかの中にこのペグという鉄を地面に刺して固定してください!」


 「家じゃ!家が出来ておる!?」


 「え!?あ、あぁ、まぁ家ぽいっちゃ家ぽいすけどいうてテントですよ?地面に寝るよりは快適でしょう!?」


 「合田様!ワシのもお願いします!!」


 「いや、ワシが先だ!」


 「なにを!?馬鹿野郎が!!ワシの方が先だ!」


 いやいやテント如きに別にいいじゃん!?


 竹中さんは小姓?側仕え?の人が1人だけ同行しているが、さすがにみんなと一緒に寝かすのはダメだと思い、竹中さんと慶次さんだけ1人用の放り投げれば自立するテントを用意している。


 みんなのABCブランド2980円の激安テントだ。


 「さぁみなさん!!風呂には入れないのでこれで体を拭いてください!」


 オレがみんなに渡す現代アイテムの一つ・・・汗拭きシートだ。何もしないよりはましだと思う。


 「な、なんですか!?この上等な慣れた紙は!?」


 「我等は手拭いで上等です!」


 「いやいやそんな高価な物ではないので使ってください!」


 「おう!武蔵!これはひんやりして気持ち良いな!ありがとうよ!」


 「ほら!慶次さんを見習ってください!」


 この人達はどことなく一歩下がってものを言う人達だ。オレが気を使ってしまうからやめてほしいんだけどな。



 この日オレはあやめさんと話した。別に岐阜城下の家でも話せるし、いつでも喋る事はできるのだが落ち着いて2人で居る事があまりなくて今日に至るだ。


 女性と2人でテントの中に居る事自体オレは初めてだ。だが緊張もなくイヤらしい気持ちもなくはない。だがこの時間が今は嬉しい。普通の声で話せば他の人達に聞こえるだろうから少し小声になる。


 「合田様本日はお疲れ様でした」


 「あやめさんの先導で助かりましたよ。ありがとうございました」


 「未来とは全然道は違いますか?」


 「そうですね。未来では恐らくここらへんは閑静な住宅街のところだと思います」


 「そうなのですね!では、合田様の家の周りには何があるのですか!?」


 こう見ると興味津々な女性だなと思う。


 それから色々話をした。仕事先の事、田中さんの事、店長は実は信長さん小姓の遠藤さんとかなり似ている事、社長の事、葛城さんの事などだ。


 「ホームセンターなるものは大変素晴らしい商店なのですね!」


 「そうだね。だいたいの物は売ってあるかな?オレは管轄外だし営業も違うから詳しくは知らないけどドラッグストアも併設されているよ。だいたいの病気も未来では薬で治るんだよ」


 「素晴らしいですね!」


 「この任務が終われば一緒に行こう!さっき言った葛城さんって人にあやめさんを紹介したいんだよ!」


 「(クスッ)私なんかでよければいつでもどうぞ!」


 幸せとはこういう事を言うのだろう。普通のカップルと同じ事はできない。むしろ苦行でもある。だけどこの感じは嫌いじゃない。近いうちオレも覚悟を決めないといけない日がくると思う。戦国で暮らすか、このまま清い関係を続け戦国と現代を行き来するかを・・・。




 〜小泉、野田、小川、上田テント内〜


 「がははは!少量ながら酒まで出される行軍とは初めてであるな!小泉よ!」


 「誠、これが任務だとは思わなかった!」


 「だが随分と変わったお方だな?あの合田様という方は」


 「上田もそう思うか?ワシも思うておったのだ。儂等のような草とも上忍の間にいるような奴にすら目線を下げてお話してくださる・・・」


 「そうそう。俺も驚いている。こんな事ならばもっとはようにこのお方のお役に立てれば良かったなとな」


 「うむ・・・。もう生い先短い。最後はこの方に仕えて生を終えたいとワシは思う」


 「「「なに!?」」」


 「小川!?正気か!?上忍にもなれぬお前如きを仕えさせてもらえるものか!耄碌したのか!?」


 「いや!あの方ならワシの気持ちを汲んでくれるお方だ!さっきもワシに声を掛けてくださった。『明日の行軍ももし、しんどくなれば声を掛けてください』とな」


 「なんと!?我等如きにそこまで気遣いまでしてくださるのか!?」


 「あぁ。ワシもそれなりに汚い仕事をしてきた。六角様や北畠様の任務とかもな」


 「あぁ〜懐かしいな」


 「だが、こんなに手厚く面倒見てくれる方は他には居ない。しかもどこかを支配している大大名でもなく、なんなら言葉は悪いが領地も持たぬお方だそうだぞ?」


 「なんと!?てっきりワシはどこか美濃方面でも治めているお方かと思ったぞ!?」


 「いやそんな事あるわけないって言っていた。嘘を吐く道理もない。未来とやらを行き来しているとは聞いたが、どうやって行き来しているかは知らぬが本当であろう。未来とやらで実は相当の大大名な方やもしれん」


 「そう言われればそうだな。尾張だけではなく近江や伊勢の方面を治めている方やもしれぬぞ?三河の事をてんで、知らなさそうだったしな」


 「確かにな。この道一本で行けるのを知らないとは思わなかったな」


 「まあ我等がちゃんと御守りせねば危ういお方だ。是非、かみさんにあのかつかれいなる物を食わせてやりたい」


 「ふん。野田!カツカレーだ!ちゃんと好きな食い物の名前くらい覚えておけ!」


 「黙れ!ションベンタレが!」


 「な!?それはガキの時の話であろうが!まだ言うか!?」




 「クァ〜〜〜!!腰が痛い・・・」


 「合田様おはようございます」


 「あっ、ごめん!起こしてしまいましたか!?」


 「いえ、今しがた目が覚めました」


 時刻は腕時計の時間で朝の5時だ。オレはテントから出て周りを見渡す。うん。異常なしだ。


 「合田様おはようございます」


 「黒川さんおはようございます。見張りすいません。ありがとうございます。今日は荷台に乗ってゆっくりしてください」


 「いえいえ。皆に怒られます。1日くらい寝ないくらいでそんなヤワな事言えませんよ」


 いやいや1日くらいって!?おかしいだろ!?徹夜で仕事も、やれなくはないけどいつものパフォーマンス出ないだろ!?


 「だめです!命令です!今日はおやすみです!」


 「そそんな・・・」


 マゾかよ!?休めって言われればオレなら喜んで休むぞ!?




 「よーし!片付いたな!各々、これより先は賊なんかも居るであろう!気を引き締めておけ!」


 「慶次さんおはようございます。ここから先は危ないのですか?」


 「うん?あぁ。まぁ他国程ではないだろうが大殿の目から離れる場所だからな。小牧山、犬山、岩崎の城へ向かう者がここを通る。その中には敵方の間者も居よう。俺達は一見では奇怪な者に見えるだろうが東へ進んでいるということはどこへ行こうとしているかは明白だろう」


 普段チャプチャプ話しておちゃらけな慶次さんだがやっぱ本物の人だと感心してしまった。


 「ほほほ。存外に快適なテントなる物でしたね?おかげで寝過ごしてしまいましたよ」


 「竹中様おはようございます」


 「合田殿おはよう。これは良いですな?是非一つ融通していただきたい」


 「この任務が終わればいいですよ」


 「ほほほ。では何か竹中家に伝わる物もお渡しせねばいかんでしょうな」


 お!?何かくれるのか!?


 「まぁとりあえず飯食って出発しよう」


 オレはとりあえず東に進んでいると思っていたが目的地は岡崎城らしい。信長さんが文を出しているらしく、岡崎より先は自分達で物資を運べと伝えているらしい。


 「ほほほ。ですので任務としては本日が最後でしょうかね〜?岡崎にて少〜し休みましょうか」


 「そうなのですか!?てっきり浜松まで行くのかと思ったのですが・・・」


 「お館様は敢えて行軍日数、道中の事を指示しませんでしたよね?それは合田殿への期待の表れですよ」


 竹中さんが教えてくれたのは信長さんが指示を出さないのはほぼ初めてに近い事らしい。竹中さんは信長さんよりオレの目付け役・・・要は行軍の事を教えたり監督しろと命を受けているらしい。


 そして、3つ竹中さんは考えていたみたいだ。一つは国境の要城・・・家康生誕の城の岡崎でこの任務終了。一つは浜松まで俺達が向かう事。最後の一つは戦に参加する事。


 だが東海道ルートを通った事で浜松まではないだろうと思ったと。そして、オレが最初から7日ほどしか余裕がないと言っていて、それも信長さんが珍しく許したから戦に参加の線もなくなった。残りは岡崎までという事だろうと竹中さんは思ってたらしい。


 「ほほほ。私の予想通りになりましたね」


 クッ・・・なんか負けた気分だ。粘っこい話し方が余計にイライラする。


 「皆々様、朝餉の用意ができました」


 あやめさん!ナイスタイミング!これ以上竹中さんの勝ち誇った顔見るのは気分が悪い!けどこの人も軍師と言われるだけある。マジで当たりだ。

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