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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第一章
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田中次郎・・・来ちゃった・・・

 「お武家様や?久しぶりだねぇ〜」


 声を掛けてくれたのは隣の野菜を売ってるお婆さんだ。


 「お久しぶりです!オレは武家じゃないですよ」


 「そうだったかい。それより荷物を持ってきたその荷車はなんだい?」


 オレ達が運んだものは先日購入した一輪車と台車だ。


 「これはゴムタイヤでできてる荷車ですよ。今度これも売りに出しますので待ってくださいね?」


 「そうかい。近頃腰が痛くて物を運ぶのも辛いのさ」


 見てて可哀想だ。オレは婆ちゃんには弱いからな。


 「あやめさん?一輪車をこのお婆さんに渡してあげてくれる?またオレが買ってくるから」


 「やはり合田様はお優しいですね。畏まりました」


 そうだよ。オレは優しい男だ。里志君よりデキは悪いかもしれないが優しさだけは負けてないぞ!


 「ありがとうね。優しい人だねぇ〜」


 「ははは。ありがとうございます。真っ直ぐ走るのが難しいかもしれませんが慣れると楽なので使ってください!」



 そして始まった商い・・・今回は声を掛ける間も無くすぐさま人の集まりができた。


 「兄ちゃん!やっと来たのか!ワシはずっと待っていたんだぞ!」


 「俺もだ!」 「俺も!」「あたいも!」「私もよ!」


 いやいや人来すぎだろ!?ディスプレイ商品なんか要らないくらい人が来てるぞ!?


 小一時間くらいは頑張っただろうか・・・まったく終わらない人だかり・・・


 この1週間で缶詰は1000個と言わないくらい持ってきたはずだが既に底が見えてきているんだが!?


 「おーい!女!ツナ缶とやらを5個くれ!」


 「すいません・・・ツナ缶は残り二つしかなくて・・・」


 「なんでぃ!ちゃんと商品揃えろってもんだぃ!ったくしょうがねぇ〜!なら他の見繕ってくれや!」


 偉そうな男だな?追い返してやろうか!?あん!?


 「すいません!こちらなんかいかがでしょうか!?獣肉を甘辛く炊いた物が入っております!新商品になります!」


 「ほ〜う?味はどんな味だ?」


 「あっ・・・いえ・・・私もまだ食べた事がなく・・・」


 あぁ〜、オレのせいだ。まだ角煮缶は出した事なかったからな。オレが変わろうか。


 「旦那!すいませんね!焼き鳥缶は食べましたか?あれと似た味ですよ」


 「なんぞ店主か。ワシは女に聞いているんだ。客が欲しい商品を揃えられないならやめちまえ!」


 は!?なんだよこの男は!?慶次さん呼んで来てやろうか!?ぶっ飛ばすぞ!?


 オレは少しイラッとしたがなんとか顔に出さずに説明する。


 「そう言われましても知らない事を嘘八百並べて説明してもいかんでしょう?」


 「だからワシは女に聞いているのだ!おい!女!目当ての商品がないのだ!ワシの相手で堪えてやる!どうだ?あん?」


 決定。こいつはダメだ。


 オレがテーブルから出ようとしたら・・・


 ドガンッ


 「バッキャローめが!貴様は店を間違えてるんじゃねーか?ここは飲み屋じゃねぇ〜!」


 「あっ、伝次郎さん!」


 持ってた棒で男を叩いた人は例の少し仲良くなった飛脚の伝次郎さんだ。


 「痛って〜な!?誰だ!?」


 「誰でも関係ねぇ〜!後ろがつっかえてんだ!俺も早く昼飯食わなきゃならね〜!女ならよそで買え!」


 「そうだ!そうだ!」「そうだ!」「そうよ!」


 「合田様・・・すいません・・・」


 「いろはちゃんは、気にしないで!あんな輩放っておくのが1番!」


 「クッ・・・覚えてやがれ!」


 いやいやマジであんな発言する人が居るのな!?ビックリだわ。


 「騒がしてしまったな。悪い悪い」


 「いえ、伝次郎さんに助けられました。すいません!ありがとうございます!」


 パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ


 伝次郎さんのクールな発言に拍手が始まった。


 「7日待ったんだ!今日は買うぞ!女房とお袋に食わせてやりたかったんだ!旦那!今日はツナ缶と焼き鳥缶・・・なんか後二つくらい見繕ってくれねーか?」


 「了解です!いろはちゃん?角煮缶と鳥チーズ缶とさんま缶を渡してあげて!」


 後、小声で、みかん缶を一つサービスで渡すように言った。せめてもの御礼だ。


 「伝次郎さん?小声ですいません。先程の御礼です。奥さんに食べさせてあげてください」


 「何で!?悪いぞ?そんなつもりじゃなかったんだが?」


 「いいからいいから!また味の感想聞かせてください!」


 「そうか!悪いな!ありがとよ!じゃあ、貰っていくからな!あばよ!」


 伝次郎さんは風呂敷に包んだ誰かの荷物を持ち缶詰を腰袋に縛り付けて颯爽と去って行った。


 一方、伊織さんの方だが、誰か名のある人の奥さんの側仕えの人なのか、領民より少し良い着物?を着た人達で溢れている。


 「これ!女子おなご!なんという匂いじゃ?」


 「はい。これはシャワーミントなる匂いのシャンプーになります」


 「何がなにやら分からぬな。1文なら一つだけお試して買おう!」


 「ありがとうございます!」


 「これは何に使うのかえ?」


 「あっ、それはお胸に………」


 あの人はこの時代で珍しく巨乳だ。旦那さんが誰か分からないがうらやま・・・けしからん乳をしている!


 「女将?その値段が高い物はなんだい?」


 「これは自転車と呼ばれる走るのが楽になる物です」


 「へぇ〜。興味があるが壊してもいけねぇ〜からな。だがちと高すぎじゃないかい?」


 「そう言われましてもこちらも仕入れとギリギリでの販売ですので・・・」


 「いやすまない。悪気はなかったのだ。なんせ南蛮の物がこんなに揃えられるのはここいらじゃここだけだからよ」


 「おや?ここに居たのか!武蔵君!!」


 「あっ!田中さん!!」


 「来ちゃった・・・・・」


 オレは一瞬で吐き気を催してしまった。大の男・・・それも60も近い男が来ちゃった・・・はねーだろ!?

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