2人の努力
オレは彼女さんに聞こえないようにオレが思う仮説・・・。そう。魔法使いじゃないと通れないのではないかという事を伝える。
「嘘だろ!?おい・・・まさか・・・」
「うん。そのまさかだと思う。だって現に2人は通れなかっただろ?ここは選ばれた者しか通れない聖域なんだ」
初めて里志君に勝てた気がするから少し偉そうに喋ってしまう。
「なら武蔵はまさか・・・」
いや里志君よ?その先は何を言おうとしてるのか分かるぜ?アレだろ?オレは経験者じゃないのか!?って事だろ!?分かる!分かるさ!そうだ!オレは経験者じゃねぇんだ。
「そのまさかだよ!」
「いや・・・その・・・悪いな」
うん。さっきまで初めて勝てた!とか思っていたけどやはり負けた気がする・・・。
「ねぇ?2人でなに話してるの?向こうに行けない理由分かった?」
「里志君の口から言ってほしい。オレからは言えないよ」
暫く2人が話していた。彼女さんは恥ずかしそうにしてたが急に2人が無言になり、オレの方を見て何故か納得していた。
クッ・・・激しく爆ぜろ!!!
っていうか、オレの仮説が正しければオレも魔法使い卒業すればここは通れなくなるのか!?そうなのか!?あやめさんとキャッキャッイチャイチャできないのか!?
「武蔵、なんとなくだけど武蔵の仮説が概ね合ってると思う。俺達は行けなくなったのは事実だからね」
「あぁ〜あ・・・せっかく向こうで色々実験してみたかったのにな・・・」
「有沙さんすいません・・・」
「いやいや、合田君が謝る事じゃないよ!ならこれから私達は合田君のアドバイス係だね!私達は行けなくなったけど聞いてくれれば色々教えるから!」
「そうそう。武蔵?俺はずっと武蔵を親友だと思っている。側に駆けつける事はできないがアドバイスはできる。これを渡しておくよ」
「あっ!これは高炉じゃない!?昔テレビで見た事あるよ!」
「そうだよ。長良川を利用して水車を作る。その水車の回転を利用してこの、ふいごから風を送り製鉄する。水車の恒常的で強力な動力により炉内に大量の空気を送り込むことが可能にな…………」
いや言ってる事は分かるが一晩でこれを考えたのか!?
「でも燃料はどうするの?」
「そこなんだよね。正直、石炭を持ち込む予定だったんだけどメンテナンスが大変なんだ。粉末になり通気口が詰まったりね?だから石炭を蒸し焼きにしてコークスにしようと思ってたんだよ。とにかく色々説明も書いているからこれを明智さんに見せてくれる?」
「いいけどオレは説明できないよ!?」
「はは!大丈夫だよ!あの人かなり頭いいみたいだし、この本も一緒に渡してあげてよ。翻訳は武蔵頼りになると思うけど頼むよ!ちゃんと成果を写真付き、動画付きで教えてくれよ!」
「次は私!私はこれ!」
有沙さんはプラスチック容器数個と酸化第二銅と書かれた粉とハンドミキサー、アルミホイルを持ってきていた。
「作り方は書いてあるけどまずは少量で試してみてね?いきなり大量にすると事故の危険があるから!他にも塩素酸カリウムから鉄パイプ爆弾とか色々あるけどまずはこれ!」
「何でこのタイプの爆弾なんですか?」
「これは安価ですぐに作れるからだよ。酸化銅の割合で燃焼速度が変わるから実験に使いやすいし、とにかく戦国時代はすぐに真似されるけどこれなら真似されないでしょ?」
確かに酸化銅をどうやって作るかは分からないがアルミホイルは絶対に作れないと思う。
「ありがとうございます。有効に使わせてもらいます!」
「うん!うん!私も気になるから三方ヶ原がどうなったか教えてね!」
「あぁ〜あ・・・せっかく気合い入れて来たのに時間が空いてしまったな〜・・・有沙!カラオケでも行こうか?」
「おっ!いいね!行こう!行こう!」
「じゃあ俺達は行くよ。武蔵!無茶するなよ!また教えてくれよ!俺達もまた紙に色々書いて渡してやるから!」
「あ、あぁ!ありがとう!じゃあね!」
残されたオレ・・・これから2人でカラオケか・・・うらやま・・けしからん!!
まぁオレはこれを活用しないといけない。2人の努力は無駄にしないぞ!!
それから程なくしてまたドアを潜る。目の前には慶次さんだ。
「うん?やはり武蔵1人か?」
「そうなんですよ。実は・・・」
「なんと!?女を抱けば通れなくなるのか!?女は姦通すれば通れなくなるのか!?」
いやいや直な表現すぎるだろ!?
「仮説ですが多分そうじゃないかと・・・。まっ、とにかくこれを明智様にお渡ししないといけないので」
「おう!それはオレが渡しておこう!武蔵はあやめ達の今後を伝えてやれ!昨夜は4人で色々考え込んでいたぞ?」
「考え込む!?」
「そうだ。未来ではどうかは分からないが仕事もせず食べる事ができるのはこの世界ではありえないからな」
「分かりました。ちゃんと決め事しますね。慶次さんお願いします」
「おう!じゃあちょっくら行ってくるぜ!」
こんな慶次さんが率先して動く・・・少し怪しい気もするな。
オレはあやめさん達を呼び出し真剣に話し合う事にした。
「あやめさん!こんばんは!みんなもこんばんは!」
「こんばんはです!」
ちゃんと答えてくれたのは、妹のいろはさんだ。あやめさんと違い笑顔の中学生くらいの子に見える子だ。
「昨日はごめんね?なんかみんな悩んでるんでしょ?」
「そうです。私も合田様の護衛の任がありますが前田様も居りますし違う事をしないといけない気がしまして・・・」
「そこなんだよ。あっちの部屋に色々未来の物があるでしょ?あれらをここら辺で売りに出せばそこそこ売れると思わない!?」
「確かに以前も言われていましたね。本当によろしいのですか?」
「いいよ!全部安いし、そもそもはあやめさん達の仕事にいいかなと思って提案してるだけだし!商売するのに許可とかいるのかな?」
「はい。大殿に何を仕入れ何を売ると許可を得れば後は自由に商いできます」
確か楽市楽座だっけ?本来なら寺とかに座代を払わないといけないのを信長さんは撤廃させたんだよな。だから岐阜城城下は賑わっているんだな。
「了解です。では4日後のオレが休みの日に台やら他にも用意しておくので始めましょうか。織田様にはオレから伝えておきますよ」
「畏まりました。本当にありがとうございます」
「そうだな・・・せっかくだから伊織さんと太郎君でしたよね!?2人は簡単な計算を教えようか。算術ができないといけないしね?妹さんが食べ者系にし、伊織さん達が服とか靴下とか石鹸とかにすればいいかな?」
「はぁ〜・・・・」
イマイチ分かってない感じだな。基本夜しか来れないけどバシバシ教えてあげよう!小学生レベルの算数なら余裕だろう!




