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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第一章
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オレのできる事・・・

 正直、信長さんも明智さんもオレ達が話している事はまったく分からないだろう。大丈夫。オレも彼女さんが言ってる事は分からない。


 それで、この彼女さんはなんと大学で化学を専攻しているらしく爆弾やなんかの構造も少し分かるとの事。実験目的ならば未来でもお咎めはないが、本物を作ればまぁまず間違いなく逮捕だろう。


 だがここは戦国時代。しかも恐らく未来とは関係のない戦国時代だと思う。オレは積極的に戦に出るつもりはないが2人はどうなんだろう?敵とはいえ、まったく憎しみのない武田?の兵を殺せるのだろうか?


 オレは既にこの世界に来て危機を味わっている。現代倫理はまったく通用しない事を重々承知しているつもりだ。


 「待て!待て!痴話喧嘩はよせ!そのてるみ爆弾とやらはなんなのだ?焙烙玉みたいなものか?」


 「明智様!よくぞ聞いてくれました!!実は一度作ってみたかったのです!!」


 「おい!有沙!歴史が変わってしまうぞ!?」


 「里志はそんな小さな事考えているの?私はパラレルワールドを信じているからこれはこれで別世界だと思っている。現に合田君が現れた事によって何か変わっている事があると思うの。けど何も未来ではなかったでしょう?」


 「いやそれは歴史の修正力でーー」


 「な、なんだ!?そのぱらなんとかというやつは!?」


 「オレが説明しましょう。有沙さん?里志君?いいかな?」


 「武蔵に任せるよ」


 オレは紙とボールペンで説明した。


 「もし仮にですよ?仮に、明智様が織田様を討つ未来があるとします。その未来はこれだとします」


 「ひ、控えよ!今の言葉はいくら武蔵殿とて許せぬ発言だ!万が一にもそんな事はないッッ!!」


 それが起こるんだよな。まぁ違う黒幕説もありはするけど。


 「すいません。ですが、お聞きください。分かりやすいかと思うので極端に言っているだけでございます。織田様もお許しください」


 「ふん。構わぬ。ワシは光秀を信用しておる。仮にもワシを倒せると思うならばいつでも寝首を掻くが良い」


 「お館様・・・・」


 信長さんはそういうと禍々しいオーラを発してるような気がした。軽く鳥肌がオレも出てきた。やっぱ戦国武将だわ・・・。


 「すいません。続けますね。そしてその未来があるとして、この未来を防ぐために何か策を講じます。そしてこれを防いだとすれば、この先に起こる事が変わりますよね?二つの世界が現れますよね?この事をパラレルワールドと言います」


 「ちょっと待って!武蔵はパラレルワールドだと思うのかい!?」


 「うん。間違いないと思う。だって、オレかなりこの世界に存在しない物を出しているんだよ。食べ物然り、このレミントンもだし直接的ではないかもしれないけど2人亡くなってもいる」


 「人を殺したのか!?」


 「いや・・・身に降る火の粉を払っただけだよ。最初は放っておけばオレは間違いなく死んでいた。あの時は無我夢中だったんだよ。織田様に助けて貰った」


 「ふん。ピーピー泣いておったのう」


 「いやそれでも武蔵・・・」


 「この事に関しては里志君も同じ境遇にならないと分からないと思う。この世界は敵意を持つ人間がかなり居る。しかもそれは未来では気にしない事でもだ。オレは死にたくない。オレは織田様の未来を見てみたい。だから三方ヶ原に集結しつつある武田に勝ってもらいたい。ただそれだけだよ」


 「変わったね。昔の武蔵ならこんな事に首を突っ込まず、なんなら行き来できるドアを処分してしまうような性格だったよね・・・。分かったよ」


 里志君は少し目を瞑った後に立ち上がり力強く答えた。


 「織田様、明智様!この漆原里志・・・全力で合田武蔵を補佐し、いずれ素晴らしい兵器を作ると約束致します」


 「ほう?一端の顔になったではないか。その心は?」


 「オレは武蔵と親友です。武蔵が何かを成そうとするのは初めてです。その武蔵が困っているならオレは手助け致しましょう」


 「ちょっと!ちょっと待ってよね!?私も居るんだよ!?」


 「・・・・此奴の下で良いのか?」


 「はい。その方が都合が良いです。この巡り合わせは全て武蔵のおかげです。オレは生涯武蔵と親友でありたいと思います。だから全ての手柄は武蔵に」


 めっちゃ嬉しい事言ってくれてるんだけど!?


 「それに・・・多分行き来できるあの道は武蔵に関係してると思う」


 里志君が言ったのはあのタイムスリップするドア・・・理由は分からないが直感的にオレに関係する何かがあるから通れるのだろうと。


 母ちゃんが通れなかった事も伝えたが、それは家族や血筋ではなくオレ自身に関係するのではないかとの事。


 まあ考え出しても答えは出ないからな。


 「貴様等の友情とやらが続けばいいがな。貴様等も未来で商いをしておるのか?」


 「商い!?あ、いえ俺達は学生です!学舎にて学業を習っております」


 「ほう?中々の身分ではないのか?」


 「いえいえそんな事ありません!俺達は………」


 

 里志君がオレの下にと言ってはくれたがこれからどんどんオレの肩身が狭くなってくるんだろうな。銃の改造も爆薬作りなんかもオレは出来ない。オレのできる事とはなんだろう・・・。



 「ほほほ。先立つ物もなければ中々やる気も出ないでしょう。これを受け取りなさい。そして、これを武蔵殿を通して未来で換金しなさい。その換金できる人脈が武蔵殿にはあると聞きましたよ?」


 「え!?刀ですか!?武蔵!?人脈ってなんだい!?」


 オレは池田さんの子孫との知り合いでその人がアトリエを開き、色々買い取りしてもらっている事を伝えた。既に以前貰った薬研藤四郎を買い取ってもらった事も言った。


 「へぇ〜!あれを貰ったの!?あれって行方不明とかじゃなかったっけ!?間違いなく国宝級じゃない!?」


 「確かに池田さんもそう言ってたよ。まぁオレができる事は今後お金の換金しかないかもしれないね・・・」


 「いやなに拗ねてるの?凄い事じゃないか!俺達なら怪しまれて出所を聞かれるだろうけど、それを武蔵は安全に売ったんでしょ?凄い事だと思うよ?その池田さんとの信頼は武蔵のものだから武蔵が何もしないって拗ねるなら俺も何もしないよ?」


 「そうよそうよ!合田君とは会って間も無いけど私達だけでは何もできないのだから一緒に頑張ろう?ね?」


 いやぁ〜、里志君に過ぎたる女とはこの有沙さんだろう。凄く羨ましく思う。可愛いし優しいし・・・。オレはなに1人で拗ねてるんだろう?オレはこんなすぐ拗ねる性格じゃなかっただろ!?ポジティブにいこう!!


 「よっしゃぁぁぁぁ!!!いっちょやりますか!!織田様!安心してください!!確実な勝ちを見せましょう!!俺達3人がまだ見ぬ物を作りましょう!!!」


 「ほほほ。やる気になられました」


 「ほう?勝手に何を1人で拗ねておるのか思うたが腐るわけではなく前向きになりおったか。里志や有沙の手柄を偉そうに我が手柄のように振る舞うような男でもあるまい?期待している」


 「あっ、後私達は2週間しか居ません・・・失礼しました。14日しか来れませんのでそれまでにどうにかします。後々は武蔵に引き継ぎますので!」


 「なぬ!?」




 「がははは!!そうか!大殿と会ったのか!それにしても14日しか居ないとはちと寂しいな。まっ、酒が飲めない俺だがこののんあるこーるびーるとやらは酒の成分がないから禁酒は破ってないからな!おう!里志も飲め!」


 「茶化さないでください!この14日間は俺も楽しみなので!!」


 「私もです!」


 今オレ達は家に戻っている。里志君達は夏休みで帰ってきたが研究や短期バイトなど予定を組み込んでいるので14日間しかこっちに居ないらしい。タイムスリップも重要だが今、とある大手の上場してる会社から声が掛かっているそうだ。


 それを反故にしてまでこちらにはさすがに入れ込めないと。非現実的なタイムスリップも楽しいだろうと思うだろうが里志君の1番は彼女との結婚だそうだ。


 その彼女は院に行き、更に研究を続け目標は自衛隊の化学科に入りたいそうだ。彼女も同じく今までの頑張りを捨ててまでこちらの世界には居れないそうだ。ただ、長期休みの時なんかはお邪魔させてもらいたいと言っている。


 「だから俺達が陰で色々教えるから武蔵はこの世界で名を上げるといいよ!朝廷にも名前を売り官位も貰って、もっと大きい豪邸でも建ててよ!俺も遊びに来るし!もっと家臣も増やしてバーベキューでもしようぜ!」


 いつからだろう・・・オレの知ってる里志君はこんなリア充じゃなかったはずだ。


 そして今は里志君からの提案で今後の事を紙に書いて短期で色々しようと作戦会議中だ。


 「まぁ、オレはどう転んでも未来に行ける事はないし、武蔵の家臣だからな。俺の任務は武蔵を安全にしておくことだ。それにしてもこの、のんあるこーるびーるとやらは実に美味い!!」


 「まあ織田様の前で飲むところを見られれば屁理屈と取られるかもしれないので気をつけてくださいね?」


 「おう!任されたし!」


 コンコンコン


 「合田様居られますか?」


 そうこう話していると久しぶりに癒しの声・・・あやめさんの声が聞こえた。


 「はい!はい!はーい!居る居る!居ますよ!!」


 オレは慌てて玄関に向かい引き戸を開けてあげた。そこには、あやめさんとは別に2人の女の子と1人の男が居た。オレが出向くとすぐにみんなが片膝突いて話し出した。


 「甲賀の里より連れて来ました、こちらが妹のいろはです。そして、伊織と伊織の弟の太郎です。滝川様からお許しはいただきました。どうか俸給はーー」


 「あやめ?その先は私から・・・」


 あやめさんの口上を遮ると伊織?ってこれまた可愛らしい子が話し出した。


 「甲賀、村雨村より参りました草の伊織と弟の太郎です。どうか私達を使ってください!足拭き雑用から警備、馬小屋掃除まで何でも致します!」


 「へぇ〜!本物の忍者さんなんだ!?あやめさんの友達かな?」


 「え!?あ、はい・・友達というか・・・兄弟みたいな感じです!幼き頃より供に育ちました!高年訓練も皆伝しております。一通りの諜報活動もできます」


 なんか不穏な言葉が聞こえたけど・・・。


 「武蔵?お客さん?誰か有名な人かな?」


 「あっ、すいません。来客中でしたか。出直します」


 「いやいや大丈夫だよ。うん。じゃあみんな雇ってあげようかな。俸給は適当に渡すよ。価値が分からないし、なんならさっき明智さんからまた瓶いっぱいのお金貰ったから適当に貰っておいて!部屋も空いてる所適当に使ってね!それよりこっちに来てくれる!?紹介したい人が居るんだよ!」


 

 「あやめ?あれが旦那様になる人・・・だよね!?何も怪しまれずに雇ってくれるの!?私は技の2、3は見せつけないといけないかと思ったんだけど!?」


 「え!?あ、あれが合田様よ!とにかく優しい殿方なの!」


 「姉ちゃん?私、挨拶しそびれた・・・怒られるかな・・」


 「だ、大丈夫よ!合田様はそんな事気にしない方のはず・・・」


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