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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第一章
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言い包められた信長

 「こんな事で切腹とか意味分からんのすけど!?」


 思わずオレは立ち上がり口答えしていた。利家さんはギョッとした顔してオレを座らせるように肩を掴んできたがこれを払いのける。


 「ほう?貴様如きがワシの意見に逆らうか?」


 「いや当たり前でしょ!!取られた物が鉄砲やら何か高価な物なら何か罰は必要でしょうがたかだか缶詰やそこらの物です!それで切腹なんかおかしいでしょ!」


 「お館様ッ!!堪えてください!武蔵君には俺が後でーー」


 「犬は黙っておれ。ワシは意味もなく意見を払いのける事はせん。貴様の考えを言え。ワシが納得すれば沙汰を変えてやる」


 来た時から思ったがやはり信長さんは傍若無人って感じではないし、ちゃんと下の人の事も見てくれる優しい人じゃん!誰が鳴かぬなら殺してしまえな性格だと後世に伝えたんだよ!?家康か!?


 「はい。まず、間者が居る事は致し方ないかと。これを締め出すには相当な労力がいるかと。もしオレが織田様の立場なら逆に大事な場所以外では取り締まりはあまりしません」


 「武蔵君!?取り締まりをしないと溢れ返るのではないのか!?」


 「うむ。続けよ」


 利家さんは分かっていない感じかな?まあこれもオレが勝手に思ってるだけだからな。実際はどうか分からないし。


 「今織田様は苦境に立たされていると思います。だからこうも簡単に近くに間者に入り込まれるのだろうと思いますが結構。相手に追い込まれていないように見せればよいのです」


 「・・・・続けよ」


 「他国の状況は下々の者を見れば分かります。食うに困った領民が多いという事は武士もしんどいという事になります。オレが余裕ある尾張になるように頑張ります。ですので慶次さんの事は小さな罰で留めていただけませんか?」


 「今一つ弱いな。貴様の言った事は当たり前の事だ。あの焼き鳥の缶詰は殊の外美味い。あれを義弟が食すような事があれば、ワシならば貴様を攫うだろう」


 え!?オレ攫われるんか!?


 「何故でしょうか?」


 「決まっていよう。あれ程の食い物は他所にないからだ。しかも貴様の家に大量にあるのだろう?なら貴様が生産者だと思うのが道理だ」


 確かにまだ売る前だから流通はしてないからな・・・。


 「ふと思ったのですが何故慶次さんの切腹まで言ったのですか?」


 「全てを言わぬと分からぬのか?ワシはこの苦境を乗り切る秘密は貴様だと思うておる。その貴様の近くに間者を忍ばせた事が許せぬのだ」


 おっ!?かなり嬉しい事言ってくれた感じか!?


 「ありがとうございます。なら実にいい罰があります。それで堪えてもらえませんか?そして明日には会わせたい人が居ます。オレなんかよりよっぽど凄い友達です」


 「うん?貴様の同郷の者か?」


 「はい。頭が良くて、昔からの友達です。窮地な時にいつも助けてくれる友達です」


 「ふん。貴様がそう言うならば会ってやろうではないか」


 ゴツンッ!!


 なんとなく話しが終わったというところで突然の拳骨だ。


 「痛ッ!!!」


 「ワシに逆らった罰じゃ!それで貴様の思う罰とはなんじゃ」




 「え!?禁酒と禁甘味とな!?」


 「はい。オレが上手く織田様丸め込みました」


 「甘味は我慢すればよいが禁酒とは死んだ方がましではないか!」


 「慶次!!黙れ!!武蔵君は身を挺してお前を庇ったのだぞ!?その事を忘れるな!!クソバカ野郎が!!」


 「そう言っても叔父御・・・この酒飲んだ事あるか!?ウィスキーとサイダーを混ぜるとハイボールという酒になるらしいがこれが美味いんだ!」


 いやいやオレが話し纏めてきたのに、なんで利家さんに酒の事熱弁してんだよ!?しかも完璧に名前と作り方まで覚えてやがる!!


 「ほ〜う?飲んだ事ないな。武蔵君!俺も飲んでみても良いか?」


 いやだから何で利家さんも酒に靡いてるんだよ!?


 結局オレが大容量4リットルウィスキーをおろして、サイダーを渡してあげて作り方を教えた。しかも慶次さんは冷凍庫の氷まで取り出し、さながらバーテンダーのように作り利家さんに飲ませた。


 まあ感想は言わずもがな。かなり大絶賛していた。そりゃそうだろう。酒に弱いオレでも美味いと思うからな。


 まぁ色々すったもんだ言いながらも遠藤さんが訪ねてきて、手紙を渡されたのだがオレは字が読めなかったため利家さんに代読してもらったが、慶次さんの沙汰を書面に書いてもらった感じだった。


 要は明日から30日の禁酒。一兵卒からやり直す事。正式にオレに麾下させるとの事。


 オレはこの手紙の意味を聞いてホッとした。一時は切腹とか言ってたのによくもこんな軽い罰で収める事ができたなと我ながら思う。ただ当の本人はかなり辛そうだけど・・・。


 「これは遠回しに切腹しろという事ではないのか!?叔父御そうなのか!?」


 「慶次・・・ワシも分からんでもない。このはいぼーると名の酒は美味いと思う。これを知ってしまうのならば・・・」


 オレから見ればコントか!?と思ってしまう。そして3人で話しているとこの場に居たもう1人の人も声に釣られてやってくる。木下さんだ。


 状況を伝えた後、この人もハイボールの虜に。


 「よし!決めた!必ず30日!酒を飲まない!だから月が真上になるまで後少しだから・・・武蔵!頼む!飲ませてくれ!!」


 「分かりましたよ。まあこの場は親睦を深めるという事で後少しの時間ですが慶次さんは暫くこれからは飲んではだめですよ」


 「分かっている」


 オレの時計で時刻は22時だ。


 まぁこんな時間に一家の大黒柱2人が帰って来なければ当然探す人が居る。おまつさんとねねさんだ。


 「あんた!!こんな夜更けにどこで飲んでいるのよ!?」


 「藤吉郎様!なんで人の家にお邪魔してるのですか!?」


 と、突如現れたのである。一応オレの家のはずなんだけど、当たり前のように入って来てるんだが!?


 それからはもうどうにでもなれ!と思い、持って来た缶詰や冷蔵庫に入れていたプリンなんかも出して、約2時間だけの酒盛りも始めた。信長さんの手紙にも明日からと書いてあったしこれは怒られないだろうと思う。


 まぁみんな飲む飲む。2時間しかないとオレが大きい時計で時間の見方とか教えてあげたわけだが・・・教えると更に飲むペースが上がる。一応、この時代の商いのために色々なお酒を持って来ていたわけだが飲み干すレベルで飲まれているんだが!?


 女性2人は甘めの梅酒と酎ハイが好みのようだ。慶次さんは言わずもがな。利家さんは早くも喉越しが良いとビールを飲んでいる。木下さんは5リットル3000円のペットボトル激安焼酎をサイダーで割って飲んでいる。


 「いやぁ〜、この酒は未来とやらでも中々高級な酒ではないのか!?実に美味い!」


 うん。木下さんはボロ舌確定だな。それはこの酒類の中でも多分1番激安な酒だ。まあボロ舌というのは失礼か。飲み方次第だし、安い酒はオレみたいな奴の味方だし、このお酒を作った会社の企業努力の賜物だしな。


 男勢は結構な勢いで飲み食いし、女性達2人はいきなり増えた家具類や家電類にビックリしていた。1番は冷蔵庫だ。氷に1番ビックリしていた。


 そしてこれまた、おまつさんが無理難題をおっしゃる。


 「是非妾の家にもこれが欲しい!お頼みできますでしょうか??」


 酒が入ったせいか人妻だというのに可愛い。あの強気なおまつさんとは別人みたいだ。


 「私の家にも欲しいです。お願いします!!」


 酔っても礼儀正しいのはねねさんだ。しかもねねさんに関しては後日この会の返礼として一度家に来てほしいと言ってくれた。本当にできた奥さんだと思う。木下さんは色々な女に手を出しまくってるみたいだけど。


 色々家を汚されながらも、オレは12時過ぎても終わらないからどうしようか。信長さんにバレるとさすがに時間過ぎていれば今度こそ・・・だよなと思っていたら、さすが漢の中の漢と言うのか・・・。パッと慶次さんは酒を飲むのを辞めた。


 「諸将方へ。本日よりこの前田慶次郎利益、30日の禁酒にいざ入り申す。くだんの件は大変御迷惑おかけいたした。これより身を引き締め合田武蔵 支配下に収まり、より一層励んで参ります」


 急に立ち上がりこんな事言うもんだからビックリしたが素直にカッコいいと思う。傾奇者・・・とは案外本当なのかもしれない。


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