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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第一章
38/174

トイレのドアを開けてみれば文明開化の音がする

 触った事のない厚みの諭吉君。強盗に襲われたりすればどうなる事かと思い、ビクビクしながら軽トラを運転する。まず向かったのは仕事先だ。


 初めての大金を持ち、大きな買い物をするためだ。


 「うん?武蔵君じゃないか?どうしたんだい?」


 「こんにちわ田中さん。お疲れ様です。少し買い物をしようかと思いまして」


 「そうか。そうか。何を探してるんだい?まさか!!?また女の子のプレゼントかい!?」


 「違いますよ!!!今日は自分で選びたいのですいません!!また何かあればお願いします!」


 例のあやめさんのプレゼント以来何かあるとすぐに女の子と言ってきて面倒臭い。何故田中さんがずっとバイトのままなのか分かった気がする。


 「おや?武蔵君じゃないか!お疲れ様〜」


 「遠藤店長!お疲れ様です!買い物しに来ました!台車をお借りしても?」


 「台車使う程買い物するのかい?今日は武蔵君はお客様だから僕に言ってくれれば商品を取ってあげるよ」


 「ありがとうございます!」


 これこそ田中さんにお願いしてもよかったが・・・店長とも仲良くしておかないといけないからな。


 オレは最初から目を付けていたこの店にも3種類しかない大型発電機を買おうとした。価格は22万円もするディーゼル発電機だ。


 先日買った世界のホ○ダの発電機より更に大きい、瞬間最高出力3900ワット。だいたいの家電が動く設計らしい。これを2つ。後はポリタンクだ。


 軽油を買い貯めしておこうにも一度に買えば法律に引っかかってしまうためこの件に関しては力技だ。この仕事先で4つポリタンクを買う。


 後はネット通販かなにかで更にポリタンクを購入し、燃料に関しては一店舗のガソスタで購入ではなく分散して購入すればいいだろうと思う。まぁ限りなく自分との筋肉と相談になるだろうが・・・。重たいだろうな・・・。


 「え!?武蔵君!?これを2台も購入するのかい!?」


 「はい!!実家に緊急時に置いておこうと思いまして!」


 まぁ苦しい嘘だ。戦国時代でも怠惰に過ごすためにです!と言いたい。


 「そっか。それは良い心掛けだね?ありがとう!じゃあこれを支払ーー」


 「あ、すいませんまだ購入したいのです。実は家電が揃ってなくて・・・先日から一人暮らしを始めたのですが必要最低限しかなくてですね・・・」


 まあこれも嘘だ。母ちゃんが何もかも揃えてくれたんだけどね。


 「お金大丈夫かい?かなりの額になるよ?」


 「はい!大丈夫です!」


 それから店長は田中さんというこのみんなのABCのヌシを応援に呼び、電子レンジ、エアコン、季節外れだが石油ストーブ、洗濯機、冷蔵庫など色々購入した。


 お会計はもちろんニコニコ現金払いだ。86万と少しだったが店長の好意にて、85万キッチリにしてもらった。


 「いやぁ〜、それにしてもたくさん買ったね?取り付けとか大丈夫かい?」


 「はい!田中さんに鍛えてもらいましたので、ゆっくり自分でしていこうと思います!」


 「そうか。田中君!さすが田中君の弟子だ!」


 「任せてください!店長!こう見えてバイト歴18年ですから!!」


 いや田中さん!?そこは誇るところではないと思うすよ!?


 とりあえず軽トラにギリギリ全部乗ったが軽油はこのポリタンク分しか乗せられそうもない。まあ全部一日で終わらせるのは無理だ。それに休みももう半日もないからな。とりあえず、飯だけ色々買って運ぶだけにしよう。


 入り口まではオレ1人だけど、向こうでは慶次さんに運んでもらえばいいかな?酒も適当に買っておけば運んでくれるだろう。


 一度家に戻り、入り口に乱雑に購入した物を放置する。その後は更に走る。業務スーパーに、ガソスタに、酒屋さんに、近くにある小さなデパートにだ。


 酒はもちろん、各種買っておいた。大概は酒を出しておけばみんな喜んでくれるからだ。オレはあまり好きではないけど。業務スーパーも言わずもがな。缶詰やレンチンご飯、米、冷凍食品、お菓子類、ジュース類だ。


 小さなデパートに関しては布団や衣類、タオルや歯ブラシなどだ。年頃の女性が来るから粗相のないよう、サイズも分からないけど女の店員にお願いして、恐らく一歩間違えると事案に発展するところだったが『姪が遊びに来るんです!』とオレにしか言えない機転の利く事を言い、納得してもらった。


 服は多くても困る事もないから、色々購入した。ちなみに男用の服、ストレッチパンツやジャージ、インナー類、下着類も相当数購入しておいた。


 そうこうしているともう夕方の6時だ。早くしないと運び込めない。


 「婆ちゃん!爺ちゃん!ただいま!!例の刀売れたよ!300万円で!!既に180万くらい使ってしまったけど後は貯金しておくから!!」


 本当は銀行にお金を預けておく方がいいだろうけど、母ちゃんに何かの拍子にバレると問い詰められるからとりあえず婆ちゃんと爺ちゃんの写真を飾ってある以前、例の軟膏が置いてあった場所に残りのお金を隠す事にした。


 心なしか婆ちゃんは困った顔してるように思うが、爺ちゃんはニヤニヤ顔のように思う。そういえば確か・・・爺ちゃんはパチンコ大好きでよく『婆さん!!パチンコ行ってくるわッッ!!!』『あんたまたパチンコかね!?いい加減にしなさい!』とやり取りしてたのを思い出す。


 けど、たまに爺ちゃんがパチンコの帰りにお菓子をくれたのが嬉しかったよな・・・。懐かしい・・・。


 そんなセンチメンタルな気分になりながら、荷物を運び始める。うん。分かってはいたがここからは自分との戦いだ。終わりを考えるのはダメだ。



 「慶次さん!お待たせしました!!」


 「やっと戻ってきたか・・・遅い!腹が減ったぞ!!」


 「いやいやいきなり腹が減ったって・・・どこかで食べてくればいいんじゃないですか?」


 「馬鹿が!与力に食わすのは主君の役目だろうが!!」


 いやいつから与力になったんだ!?ってか本当に与力になってくれたのか!?


 「とりあえず、飯は色々買ってきました。ただ、荷物が多いので運ぶの手伝ってくれませんか?組み立てとかは後日しますのでまずは空いてる部屋にーー」


 「俺は動けない!褒美を先に出してくれなーー」


 「あっ、これビールっていうお酒です!炭酸があるので驚くかと思いますがどうぞ!」


 「おぉ!分かった!どんどん運んできてくれ!すぐに片付けよう!!」


 ふん。チョロいな。慶次さんには何かあれば酒を出しておけばよさそうだな。

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