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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第一章
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意外な弱点木下藤吉郎

 オレと例の前田慶次だろうと思う人は正座をさせられている。そして何故か遅れて登場した利家さんも正座させられている。


 カチャン カチャン カチャン


 まつさんだろうと思う女性は一言で言えばヤンキーだ。着物を上手に紐で袖の部分を結び、たくし上げている。そして鉢巻も巻き薙刀装備だ。


 「利家様?あなた様は妾に武蔵殿を紹介するとおっしゃいましたね?」


 「お、おぅ。そうだ!少し遅れたがこの者が武蔵君だ!だからその薙刀をのけろ!」


 「なりませぬ。妾の名はまつ。まつと呼んでいいのは利家様だけになります。それが今日、しかも今、出会ったばかりの武蔵殿に『まつ様!』と呼ばれるのは些かおかしいですね?」


 いやいやなら『おまつ様!!』と呼べば良かったのか!?凄い怖いんだけど!?


 「おまつ様直答をお許しください!!」


 オレは時代劇で言うような口調で許しをもらう。


 「許さぬ!!」


 うん。オレの直答は許してくれないみたいだ。どうしろって言うんだよ!?利家さんも尻に敷かれすぎなんじゃないの!?


 そもそもこの前田慶次がオレの家?で寝てる事がおかしいんだよ!!どうしてくれるんだよ!?


 「おや?おまつちゃん?男相手になにしてんのよ?早くしまいなさい!」


 「あ!ねね姉様!おはようございます!これは理由があるのです!」


 「理由もへったくれもない!利家様や慶次様の事は分からないけど、この武蔵殿は大殿の大事な家臣の1人ですよ?控えなさい!」


 「はい!!武蔵殿?申し訳ありませんでした!」


 「えっと・・・すいません。分かりました」


 急に現れたのは木下さんと木下さんの奥さんだった。この人も初対面だけどオレの事知ってる感じだよな?


 ってか、ねねさんも大概じゃね!?口だけでヤンキーまつさんを黙らせたよ!?


 ねねさんの登場で慶次さん達の事の顛末がようやく分かった。


 滝川さんの好意にて、家の護衛を付けてくれるとの事で、当初は草の人達を呼ぶ予定だったが、色々悶着があったため上忍も付けてくれるはずだった。だが、上忍達は武田の事で動かないといけないため、声が掛かったのが放浪癖のあるこの前田慶次さんだったらしい。


 利家さんに滝川さんから話が入った時、何も仕事しない慶次さんらしいが、武芸の腕に関しては織田家でも随一らしく利家さんも認めているとの事で合田家の護衛に付けと言ったらしい。


 慶次さんも最初断っていたが、オレが未来の人間だ!と言ったら二つ返事で了承し、この目の前の戸を見て本物だと分かったらしく、オレがこちらに帰るまで・・・


 「寝ていたって事ですか?」


 「あぁ。そうだよ?それをおまつ様に言い付けるとはな?叔父御もこの男を気に入っているみたいだが優男すぎやしないか?」


 「ふん。お前と違い武蔵君は毎日鍛錬しておるぞ?最初より腕も大きくなってきておる!遊び惚けておるお前なんぞすぐに抜かしていくさ。慶次?ちったぁ〜働いて俺に恩を返せ」


 「チッ。わぁ〜ったよ!しゃーねぇーな!おまつ殿!そういう事だ!仕事はちゃんとするから許してくれよ?」


 とりあえず現れてから一言も発さない木下さんを不思議に思いながら、オレは友好を兼ねて朝っぱらだけど甘い物でも出そうと、一度家に戻りチョコレートの詰め合わせを持って来た。


 特にねねさんとおまつさんに食べてもらいたい。初対面だけど女性は甘い物に弱いはずだ。


 「初めまして。遅れました。合田武蔵です。木下ねね様とお見受け致します。よければこれをどうぞ。あっ、おまつ様もどうぞ。甘い未来の菓子です」


 オレがそう言うと2人ともが同時にチョコを食べた。するとこの時代で1番喜んだ顔の人を見た。


 「こ、ここれはなんですの!?非常に甘い!!ねね姉様!?」


 「確かにこんなに甘い食べ物があるなんて・・・そういえば・・・藤吉郎様は以前この黒い似た物を一つ持ってどこぞの町娘に渡していましたよね!?まさかこれを!?」


 オレはここで初めて木下さんの表情が変わった事に気付いた。うん。図星で女ったらしってのも事実ぽいな。


 「ねね!?それは違うのだ。この武蔵がとある者に渡して来てほしいと頼んできてな?その女子おなごがそこ元に倒れておる、草の・・・いや、武蔵の想い人のあやめだ。なっ!?武蔵!?武蔵君!?そうだよな!?あやめもそうだよな!?」


 こんな木下さん初めてだ。少し面白い。とっつきにくい人かと思ったけど人見知りだったわけか?ここでオレが違うと言えば大事になるだろうな?まあ貸しということだな。


 「ねね様?まさにその通りです。ねぇ!?あやめさん?」


 オレはあやめさんにウィンクしながら答えたらあやめさんも分かったらしく話に乗ってきてくれた。


 「は、はい!私如き草の者に格別なる配慮をくださりチョコレイトなる物を下賜していただきました」


 うん。正式にはチョコレートだけどね。


 「へぇ〜?藤吉郎様?私は藤吉郎様しか見ていません!藤吉郎様もどうか私だけを・・・」


 チッ。こんな所で惚気るなよ!?


 「ま、まぁこれにて落着と言うことだな!がははは!」


 なんか慶次さんが場を収めようとしてるんだが!?オレもとにかくこの場を終わらせたい。


 「まつ!朝飯の作りかけであろう?俺は腹が減った!武蔵君!そういう事だ!慶次を上手くコキ使ってくれ!」


 「あ、すいませんありがとうございます!」


 「うむ。武蔵?後程・・・良いかのう?」


 「はい。っていうか、朝飯みんなで食べます?あやめさん?あの卵焼きってみんな食べれそう?」


 「もちろんです!あれは前田様とて、木下様とて食べた事ないと思います!」


 あやめさんからお墨付きをもらった卵焼き・・・。そうだな・・・お近づきに女性2人にもプレゼントしよう!なんなら利家さんと木下さんに渡して、それから奥さん2人に渡せばプレゼントみたいになり仲が深まるだろう!よし!そうしよう!


 「暫しお待ちを!みなさんが喜ぶ食べ物作るのでみんなで食べましょう!少し準備しますのでお待ちください!あやめさん!?少しこの場を任せるよ!」


 オレは1人で戸を潜った。慶次さんがあやめさんの秘密を守ってくれればいいけど。あやめさんも一緒に行けるのは内緒にしてほしい。


 すぐに冷蔵庫から卵を取り出しいつもの戦国時代用のマイバッグに入れる。


 そしてプレゼントとして渡そうと思う物はバスタオルだ。本当はどこか店に買いに行ってもよかったが今は時間がない。


 あの長い髪を洗えば乾かすのが大変だろうしな。


 オレはすかさず戦国時代へ戻る。女性陣は驚いた顔している。まあ誰でも普通は驚くよな。さて・・・


 「木下様?前田様?」


 「なんだ?」


 オレは2人を違う部屋に連れて行き、引っ越し時に母ちゃんに買ってもらった封を切っていないバスタオルを2人に渡した。


 「これを、奥さんに!喜ばれると思いますよ!!」


 「「これは・・・・」」


 さぁ!このふかふかに驚け!!


 2人はイメージと違うようなモジモジしながら奥さんに渡していた。その間にオレは朝飯だ。

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