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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第一章
32/174

戦国時代に取り残される!?

 バテバテになりながらも発電機に燃料を入れて始動させる。ちなみに、火気厳禁と何回も言った。


 ブゥォーーーーンッ 


 ガラガラガラガラガラ


 「煩いのう」


 「やかましい!」


 うん。確かに煩い。


 オレは説明書を見ながら操作する。エコモードってのがあるのか。


 「ポチっとな」


 シャラシャラシャラシャラシャラ


 「うん?静かになったな」


 「よし!これでいいですね!」


 「御託は良い!説明致せ!」


 またせっかちな性格だな。


 「ではまずこちらを見てください!この光っているのが燃料計です!6段階に別れているのでーー」


 

 ふぅ〜。疲れた。説明だけで小一時間は掛かったのではないだろうか。一つ説明すれば10の質問がやってくる。好奇心旺盛すぎだろ!?


 ちなみにオレの説明を事細かに遠藤さんが筆を走らせている。オレが居なくても使えるようにらしい。


 「で、だが・・・これで何ができるのだ?」


 「さすが!池田様!ははは・・・電気を使う物がまだありません!少しお待ちを!!!」


 オレは急いで家に戻り、先日母ちゃんと運んだ荷物の中に扇風機があった事を思い出し素早く持ってくる。


 「ほう?また物珍しきものを持ってきおったな?最早そのくらいではワシは驚かぬぞ?」

 

 「そうですか・・・。では・・・この二つ棒があるこれをコンセントと言います。このコンセントをこの発電機のここに挿すと・・・」


 ブゥーーーン


 「な、なんぞ動いておるぞ!?風か!?梅雨の雨滴る日で少し暑いがこれは涼しいではないか!」


 「そうです!これは涼むための扇風機という機械でございます!こういった物を動かすのには電気というものが必要です!その電気を発生させる物がこの発電機です!」


 「お館様!!欲しい!欲しいです!この池田!全身全霊を掛けてお願いお頼み申し上げまする!!!」


 「えぇい!静まれ!これは相当数用意できるのか?」


 よし!感触はいいな。まだまだ発電機はこんなもんじゃないぞ!葛城さんの旦那さんはかなり良い物を買ってるみたいだ!2500Wまで使えるから結構色々な家電が使えるぞ!?


 「はい。未来のお金があればできます。なので、給料日まで待っていただければ少しずつですが用意致します」


 「チッ。遅いな。未来では何に価値があるのだ!?言え!」


 「価値ですか!?先日いただいた瀬戸の焼き物はかなり高値で売れました!そのおかげでバイトから正社員になれたのです!その節はありがとうございました!」


 「丁稚小僧から格が上がったのか?」


 いや丁稚って!?


 「簡単に分かりやすく言えば・・・陪臣から家臣になったような感じですかね!?」


 「ほう。出世ではないか!よくやった!上の物にあれを賄賂として送ったのか?」


 「いやいや賄賂ではないです!あれを買い取ってくれた人が実は池田様の子孫の方で、その方と仕事先の1番偉い人が知り合いだったので、オレを気に入ってもらいって感じです!」


 「クハハハハ!傑作ではないか!恒興!良かったな!お主の子孫は此奴の出世の手助けをしたそうだぞ!」


 「お館様!?そんな笑わなくても!?」


 「実に面白い!遠藤!最初の釜で作った焼き物を全て持って来い!」


 「え!?全てですか!?」


 「二度言わぬと分からぬのか?」


 「す、すいません!直ちに!!」


 難しい立場の遠藤さんだ。なんとなく動きが店長に似ている。店長という立場なのにパートのおばちゃん達にコキ使われてるって葛城さんが言ってたし。可哀想だ。


 「あれが売れるなら遠藤が持ってくる物も売れるであろうよ!それを種銭にし他にも貴様が良いと思う物を持って来い!」


 「はい!分かりました!ありがとうございます!それと、今回はこんな物用意いたしました」


 オレは持って来た缶詰を全部目の前に出した。


 「これはなんだ?」


 「保存食です!一つ空けますね」


 カチャン


 「おぉ!!お館様!美味そうな匂いがしております!」


 「黙れ!恒興はいつもそうだ。落ち着きのない男だ。目の前にある物くらい見れば分かる!」


 池田さんには風当たりが強いな!?


 「とりあえずお一つどうぞ」


 「うむ・・・美味い!美味いではないか!!これは野鳥の肉か!?」


 さすが信長さんだ。鶏肉と分かるんだな。


 「はい。鳥肉を甘辛いタレを絡め缶詰にしたものです。池田様の方は魚の缶詰です」


 「チッ。恒興?貴様のせいぞ。一つ貰っておけ。下がれ」


 「申し訳ございませぬ」


 信長さんと池田さんがオレの分からない事を言うと、隣の襖から濃姫さんが現れた。


 「ほんに、妾に気付くとは・・・なにやら香ばしい匂いがしておりますね?」


 「ふん。先からそこで聞いておっただろう。入れ」


 「ふふふ。連日の見た事ない夜食会ですか?」


 「チッ。お濃も毎度来ているだろうが。野鳥の肉だそうだ。食え」


 「いただきまする・・・美味しい・・・非常に美味!!」


 よし!今のところみんなが好反応だ!


 「これに関しては非常に安価ですので軍用飯としてはいかがでしょう?」


 「うむ!貴様が持ってくる物は平時と戦時に役立つ物ばかりだ!だがこれはこれでよいが貴様がいなくなれば立ち行きが悪くなる。これを我が領で作る事は無理なのか?」


 考えてもなかった。作る事は今の時点では無理だろうな。そもそも爺ちゃんのレミントンはどうなってるんだろうか。


 「今の時点ではどうにも・・・飯に関しては伊右衛門さんに料理の書物を追加でお渡ししておきます。よろしいですか?」


 「分かった。他にもなんぞ書物を持ってこい!そろそろワシも動く。そうだな。いつも食わせてもらってばかりじゃワシの沽券に関わる。貴様も飯を食っていけ!なにやら昼間に伊右衛門が作ったすきやきなる物が美味くてな?」


 マジか!?すき焼き作ったのか!?肉はどうしたんだ!?


 「ふふふ。武蔵?昨夜の髪を洗う良い匂いのするやつはもうないのかえ?」


 「え!?あ、シャンプーですか!?帰ればありますけど・・・追加でいります?」


 「ふふふ。この髪を見て分からんかえ?常に甘い匂いがしよる!引っかかる事もなく綺麗な髪と思わんかえ?」


 これは・・・罠か!?明らかに『妾の髪を触って!』と言わんばかりにオレの方へ髪をパサっとしているけど、ここで触るとマジで首が飛ぶよな!?なんて言っても天上天下唯我独尊な信長さんの奥さんだもんな!?


 「お濃!控えよ。誰が望んでおるのだ?」


 「ふふふ。まつ、ねね、後は、女房衆の皆々様方に好評です」


 「ふん。ならば自分で言いにくればよいものを」


 「それは妾のように意見が言える女子おなご達ではありませんからね?」


 「チッ。高くつくぞ?武蔵!貰っておけ!薬研藤四郎だ」


 「え!?また刀くれるのですか!?」


 「なんじゃ?いらぬのか?これはそこら辺のなまくらと違うぞ?」


 「いただけるのならば貰います!ありがとうございます!」


 「ふん。それは官領の畠山から将軍に渡り、松永が将軍を暗殺した時に奪った短刀ぞ」


 いやいやこえーよ!そんな、いわくつきのような刀とか要らないんだけど!?売ろう!帰れば池田さんに買い取ってもらおう!


 「ありがとうございます。これは・・・」


 「好きに致せ。売るなりなんでもして未来の銭に充てろ。その銭で女房衆等になんとかという髪の毛につける奴を持ってこい」


 要はシャンプー、トリートメントを買って来いって事か。いくらで買い取ってもらえるか分からないけどかなり高級なやつを持って来ないと怒られるよな。


 「分かりました。ありがとうございます。次帰った時にお持ちしますね」


 それから濃姫さんが色々未来の事を聞いてきた。オレの服から始まり、どんな生活なのかとか、食べ物はこんな物ばかりなのかとかだ。娯楽も聞かれた。信長さんは特に何も言わず、濃姫さん質問が途切れたところで唐突に嬉しい事を言った。


 「そういえば岡部から使いが来ておったな。貴様の家が出来たらしいぞ」


 「マジすか!?さっそく引っ越ししたいんですけど!!」


 「焦るな!貴様も恒興と同じで落ち着きがない!明日以降に致せ」


 けど引っ越ししても繋がってる場所が池田さんの部屋だからな・・・不便だよな・・・。



 「一つくらいいいだろう!?」


 「ならぬ!これは今しがたワシに一つだけ下賜されたのだ!」


 急に池田さんと、前田さんの怒号が聞こえた。明らかに缶詰の話ですね分かります。


 「チッ。面倒事を増やす家臣じゃ。貴様も来い!」


 そう言われオレは信長さんに引っ張られ声のする池田さんの部屋まで連れて行かれた。


 「一つくらい構わないでは・・・お館様・・・」


 「なにごとだ?」


 「お館様聞いてください!ワシのこのかんずめとやらを前田殿が寄越せと言うのです!」


 「違う!俺はその中の一つを食べさせてくれとこうべを畳に付ける勢いでお願いしておるのに池田殿が首を縦に振らんのです!」


 いや前田さん?それは拒否という事では!?頭を下げれば何でも貰えるわけじゃないよ!?なんなら大広間に転がってるから信長さんから貰えばいいんじゃない!?


 「委細分かった。恒興も早く静かにそれを食えば良かったのだ。どうせ自慢でもしたのだろう?」


 「いえ自慢なんかは・・・」


 「嘘だ!俺に『どうだ?前田殿?これを貰ったのだ!武蔵が出した缶詰なる物だぞ!』と申していたではないか!?」


 あっ、うん。多分前田さんの言う事が本当だ。池田さんなら言いそうだし、かなり似ているわ。


 「ふん。ならばこうすればよいのだ」


 信長さんがそう言うと池田さんの缶詰を奪い、オレの家に通じるドアの方に向け投げて消えた。


 「あぁぁぁぁぁ!!!?お館様!?なんていうことを!?返せ!!戸よ!ワシの缶詰を返せ!!」


 そこから池田さんの発狂だ。


 「これにて落着!恒興!何か手柄を立てい!さすればあれくらい何個でも渡してやる!」


 信長さんは上機嫌に部屋を後にした。残されたオレ、池田さん、前田さん・・・もちろんこんなことで収まるわけない。池田さんは半泣きになりながらまさかの暴挙に出た。


 「そもそもこんな戸が現れるのがいけないのだ!こうしてやる!!」


 ガタンッ


 オレは時が止まったかと思った。池田さんが戸を外したのである。そして戸が外れた場所を見るとさっきまで見えたオレの家・・・厳密には婆ちゃんの家だけど、その婆ちゃんの家が見えなくなったのである。


 「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!池田様ッ!!!!なんて事してくれたんですかッッ!?!?」


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