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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第一章
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店長の趣味

 オレは今、遠藤店長と事務所に居る。明日、明後日と休みだからだ。そして、来週には6月になり月始まりだ。


 「という事で武蔵君の事は社長から聞いているから、来月から正社員という形になるから色々書類にサインしておいてね?そんな気負わなくて構わないからね?」


 「はい。ありがとうございます」


 「何か気になる事あるかな?」


 「休みとかお給料とかはどうなりますか?」


 「基本勤務体制は今と変わらないよ?シフト制で1日8時間、忙しい時は残業もあるけどちゃんと残業代は出るから安心していいよ。昇給は中々難しいかもしれないけど、社長は業績が良ければボーナスを弾んでくれる人だから武蔵君も頑張りなさい」


 「はい!ありがとうございます!頑張ります!」


 「それでなんだけど、例のトランシーバーはどうだった?サバイバルにハマりそう!?」


 余程オレをハマらせたいらしいな。けど、銃の事は気になる・・・。けどエアガンだしな・・・。


 「トランシーバーは楽しいですよ!サバイバルゲームは・・・どうでしょう?気にはなります」


 「そうなんだ!今度良ければ見にくるかい!?色々改造してるのもあるんだよ!あっ!家内には内緒にしておいてね?僕の唯一の趣味だから!」


 「そうなんですね。分かりました!今度お時間ある時に見せてください!」


 店長の誘いを無下にしてはいけない。これから仕事する仲だし、上司だからな。


 

 オレは帰ってからすぐに母ちゃんに電話をした。もちろん正社員になった事の報告だ。


 「もしもし?母ちゃん?オレだけど・・・」


 『なーに?オレオレ詐欺?』


 「んだよ!違うから!実は報告があるんだけど」


 『どうしたの?お金がなくなったとか?』


 「だから違うって!オレ、あのホームセンターで正社員になる事が決まったよ!」


 『・・・・・・』


 「もしもし?聞こえてる?」


 『ぐっ・・・グスン・・・武蔵あなた・・・』


 いやいや泣く事かよ!?そりゃのらりくらりしてたけどよ!?


 「また何かあれば連絡するから!」


 『武蔵?頑張りなさい!辛い事があっても逃げ出してはだめよ?』


 さすが母ちゃん。意思薄弱な男だと分かっているな。けど今はそんな性格ともおさらばだ!信長さんや前田さんに鍛えられているからな!


 今や毎朝、前田さんが作ったと言っていた、いったいどうやって作ったのか分からない、デカい石に竹の棒を刺したダンベル擬きで筋トレもしてるからな!


 そして、この休みの日にオレはあやめさんをこっちの世界に連れて来ようと思っている。本当は里志君も呼んで『あ?オレの女だけど?』とドヤ顔で言いたかったが生憎まだ夏には遠いためお預けだ。


 いつものようにトイレのドアを入る。ちなみに今回のお土産はスーパーで購入したレトルトのクリームシチューと鯖缶やツナ缶、焼き鳥缶だ。何故缶詰をチョイスしたか。


 それは戦時の足軽?まぁ下っ端の人達も食べれるようにコスパが良いからそのプレゼンを込めてだ。まずは今日お披露目する。


 「来たか。確か此度はこちらで寝泊まりするのだったな?」


 「さすが池田様!よく覚えていましたね!?」


 「ふん。他愛ない。貴様に用はないが、貴様が持ってくる物には興味がある」


 チッ。嘘でもそこは『友達だからな!』とか『お主の事くらいは知っている!』とか言ってくれよ!?


 「今回持って来た物は行軍中に・・・すいません。出直します!すぐに来ます!!」


 話している最中に大事なガソリンとエンジンオイルを忘れたからだ。まさかまた忘れたと言えば拳骨されていたところだろう。


 みんなのABCの閉店時間までまだ1時間ある。ダッシュだ!


 オレはチャリで仕事場に戻り急いで10L燃料携行缶を二つ購入した。


 「あれ?武蔵君どうしたの?」


 「買い物しに来ましたッ!!ハァー ハァー」


 「そんな息切らす程その燃料携行缶二つ欲しかったの?ってか自転車で来たんでしょ?持って帰れる?」


 「さすがに自転車では無理だと思いまして軽トラック貸出サービスをお願いしようかと・・・」


 「良ければ一台会社の軽トラックで持って帰りなよ?なんでも、社長から『合田君に早めに通勤で運転慣れさせておいてそのまま支給でかまわないから』って言われてるから」


 「え!?本当ですか!?」


 マジかよ!?軽トラだけど会社の車支給してくれるのか!?嬉しいんだけど!!


 「あら?合田君良かったじゃない!あまり飛ばしすぎたりしてはだめよ?」


 「あ、葛城さんお疲れ様です!ありがとうございます!」


 「店長!ぼ、僕には車支給はないのですか!?」


 「え?だって田中君はバイトでしょう?バイトには出せないよ?」


 「武蔵君もバイトですよね!?何故武蔵君はいいのですか!?」


 「あ、伝えてなかったね。武蔵君は来月から正社員になるからだよ?これも田中君の教えがいいからだよ。多分再来月の寸志が少し良くなるんじゃないかな?社長に僕からも伝えておいてあげるよ」


 「せ、せ、せ、正社員ですか!?武蔵君が!?!?」


 いや田中さん!?何故そんなに驚く!?


 「すいません。遠藤店長。行く所がありますので会社の車お借りします。ありがとうございます」


 「いいよいいよ。社名が入ってるからあまり変な所行かないでね?武蔵君は大丈夫だと思うけど」


 それから事務所で鍵を借りて軽トラを借りる。一応MT免許だけど教習所以来乗ってないからな。と思ったがATだったため安心だ。


 そして何故かみんなが見送りしてくれているけど・・・。


 「お!武蔵君は軽トラが似合うね!お疲れ様〜!」


 おい!店長!軽トラが似合うってどういう意味だよ!?


 「合田君!お疲れ様〜!」


 葛城さんは良い人や!


 「・・・・・・」


 田中さんは何か言ってくれよ!?その目はなんだよ!?


 「お疲れ様です!!ありがとうございます!!」


 本当はカッコつけてクラクションを2回素早く鳴らし出ようかと思ったが辞めておいた。


 車の運転は久々ではあるがペーパーではない。母ちゃんの軽四を乗り回していたからだ。


 そしてガソリンスタンドに向かいハイオクと4サイクルオイルを購入した。オイルに関しては仕事場で購入しても良かったが色々聞かれそうだからだ。ちなみに自転車も荷台に乗せて持って帰っている。


 「婆ちゃん!爺ちゃん!ただいま!車支給されよ!!」


 もちろん返事はない。爺ちゃんは心なしかニヤニヤしてるように見える。婆ちゃんは優しい笑顔のように思う。


 「じゃあ行ってくるよ!!」


 オレはクソ重たい燃料携行缶二つを持ち、トイレのドアを潜る。


 「な、なんぞその茜の色の物は!?」


 「茜色?あ、赤色の燃料携行缶ですか?これが例の必要なガソリンですよ!」


 「そうか。少し臭うな?はよう持って行け!」


 「すいません。あ!後、これはかなり危ないので火は厳禁ですよ!?これに火が点くとすぐにここ岐阜城が落城してしまいますよ!?」


 「なんぞそんな危ない液体なのか!?すぐお館様に知らさねば・・・」


 池田さんはそう言うといなくなった。オレは重い二つの燃料携行缶をゆっくりゆっくりいつもの大広間に運んでいると久しぶりのあやめさんが現れた。


 ここ最近は何故か恥ずかしく顔を合わせていなかった。みんなに想い人、想い人と言われるからだ。そりゃあやめさんの事が好きだ。好きだけどまだ告白すらしてないんだぞ!?


 「合田様お久しぶりです。お手伝いさせてください」


 「え、あ、あ、お願いします・・・」


 ついこの前まで普通に話せてたのに今や変にカッコつけようと思い吃ってしまう。しかもあやめさんは細い癖に楽々とポリタンクを運んでくれる。オレと違いすぎだろ!?情け無い・・・。


 「お!武蔵君か!その手に持っている物はなんだ?ん?女に荷物を持たせるようじゃいかんぞ?想い人なんだろ?だから何回も何回も言っているのだ。身体を鍛え、心を鍛えればこのような物片手で持てるようになる!」


 颯爽と現れたのは前田さんだ。しかも少し顔が赤い。酔っているな?


 「前田様こんばんわ。すいません。あやめさんが持ってくれると言ってくれたので・・・」


 「弛んでいるな?そんな事じゃ一生振り向いてくれないぞ?明日も早朝に鍛錬しよう!筋力は裏切らない!筋力は全てを解決する!がははは!」


 いやいや何でそんな脳筋な考えなんだよ!?


 結局前田さんは茶化すだけ茶化し手伝わずに消えた。そして大広間に燃料携行缶を二つ持って行くと既に信長さんと池田さんが待機していた。


 「来たか。そんな物すら1人で待てぬとは弛んでおるな?犬に伝えておく。明日から今一度鍛錬致せ!」


 会ってそうそう言う事かよ!?まあまあ重いんだぞ!?

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