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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第一章
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ドライヤーにビビる信長

 「はい!?では、城詰めの下男さんや下女さん達があやめさんが居る事を良しと思ってないって事ですか!?」


 「うむ。アッシは人の気持ちをよく読み取れる方だと思っておる。まぁこのような事が諸将には気に食わないようだが」


 まあ、確かに後世でも秀吉さんは人たらしと有名なくらいだから相手の思う事を先回りをして行い、味方につけていったんだろうと思う。現にオレもこの事を教えてもらい感謝しているくらいだ。


 「誰がどのように悪口言っているか分かりますか?」


 「陰でコソコソ言っておるのだ。飯を見ただけでも分かる。あの女の飯だけ量が極端に少ない。召物の替えも誰も行わぬ。客人として城にお館様が特別に召喚しておるのにこれは断じてありえない事だ」


 オレは気付けば台所に向かっていた。伊右衛門さんだ。まさか伊右衛門さんがそんな事してるとは思わなかった。


 バァァァンッ!!!


 オレは思いっきり引き戸を開いた。


 「おっ!?おぉぅ。合田殿か!?そんな怖い顔してどうしたのだ!?」


 「オレは伊右衛門さんによかれと思い未来の飯の本や調味料などお渡ししました。それをどういう意味で、あやめさんの飯を少なくしたりおかずを少なくとかしてるのです?見えない嫌がらせです?」


 たかだか飯の事でこんなに怒る事は初めてだ。そもそも何でオレはこんなにイライラしてるのだろうか。


 「待て待て!ワシはそんな事しておらぬぞ!?逆に其方の想い人かと思い、量も多くよそっているのだぞ!?」


 伊右衛門さんがオレにそう言うと、1人の女性が退出するのが分かった。


 「貴様か!?仁助!捕らえよ!」


 「離して!何でよ!?」


 「この事はお館様に話を持っていく。正直に答えよ。さすれば減刑は言ってやる。つまらぬ事をしたのか?」


 「な、何で同じ草の身分の癖にあの女にだけ甘くなるのよ!甘味もいっぱい食べれてたかだか、ぱっと出て来た男に絆され、家まで建ててもらえて・・・」


 うん。こいつが犯人か。しかもこの女も忍者なのか!?


 「合田殿?この事はワシに任せてはくれぬか?これからはワシが膳を運ぶ」


 「分かりました。後はよろしくお願いします」


 確かにぱっと出の男だけど・・・所謂嫉妬という奴だろうか。こんな草?と呼ばれる人は多いのだろうか。


 オレはイライラする気持ちを抑えながら荷物を運んだ部屋に向かう。


 するとそこには既に信長さんが待っていた。


 「遅い!何を遊んでおるのだ!」


 「す、すいません!少しゴタゴタがありまして・・・」


 「ふん。女の事であろう?少しは勉強になったか?あのような事は日常茶飯事になる。覚えておけ」


 うん!?どういう意味だ!?


 「どういう意味でしょうか?」


 「直に分かる。それよりこの見た事ない物はなんぞ!?はよう説明してくれ!!」


 いやオレはさっきの事の方が気になるんだが!?



 「なんだこれはッッ!?こっちもなんぞ!?」


 オレは一つ一つ説明した。ランタンからカセットコンロそして・・・


 「これをここに入れて、これを広げて陽当たりの良い場所に置いておくとこのようなドライヤーとか使えるのです!」


 オレはとりあえずポータブル電源で使えそうなドライヤーを家から持って来ていて実演して見せた。


 「なんじゃこれはッ!?熱い風が出ておる!!?」


 「何事ですかッッ!?!?」


 そこに現れたのは池田さんだ。


 「恒興!落ち着け!これが電気なるものだ!」


 いいえ。信長さんはドヤ顔で電気とか言ってるけどそれはドライヤーっす。なんならオレが持ってきた物っす。


 「ふむふむ。これが電気なるものですな!?して、この熱い風が出てる物は何に使う物で?」


 「だ、そうだ!武蔵!これは何に使う物だ?」


 「はい。風呂に入り、髪の毛を乾かしたりするのに使えます。仮に今日持って来た物がドライヤーですが、そうですね・・・寒い日にはストーブとか暑い日にはクーラーとか使えると思います!」


 「恒興!訳せ!」


 「ほほほ。ほんに、殿方は声が大きい」


 「の、濃姫様・・・」


 色を付けるなら紫色のオーラを発しているような雰囲気で現れた濃姫さん。何故か当たり前のようにランタンを点けたり消したりしてるんだが!?


 「池田殿は男の癖によく喋る・・・」


 「お濃!控えよ。今はまだ説明中ぞ」


 「あら?妾に聞かれたくない事ですか?武蔵?この光る物はらんたんと申す物で光る原理の物がでんきなる物ということでよろしい?」


 嘘!?濃姫さん回転早くねぇ!?


 「はい。その通りです。他にも色々・・・あっ!!濃姫様!?このドライヤーは濃姫様がかなり喜びますよ!髪の毛洗った後にこれで乾かしてください!それと洗うのはこのシャンプー!その後にこちらのトリートメントで洗うとサラサラヘアーですよ!」


 濃姫さんの髪は腰くらいに長い。絶対乾かすのに時間が掛かるはずだ。なんなら側使えの人が人力で自然風ドライヤーをやらされてたりするかもしれないけど。


 「ほほほ。では今宵はこれで洗おうかのう?お亀!湯浴みの用意を!武蔵!大儀である!殿?これは借りていきますよ」


 濃姫さんがそう言うとドライヤーとポータブル電源をどこからともなく現れた側使えさん達が持って行った。オレは唖然としている。信長さんは無言だが怒っているように見える。


 「やってくれたな?武蔵」


 「す、すいません!まさか持って行くとは思わなく・・・」


 「だからいかんのだ!お濃めはワシより好奇心旺盛ぞ。今は居らぬが同腹の市もお濃に負けず劣らずな女だった・・・」


 確か戦争中だから本来ならいつ殺されて首だけ送られたりしてもおかしくない時代だよな。ただお市さんに関しては大丈夫。もう少しすれば戻ってくるはずだ。


 「お館様・・・」


 「ふん。よせ!恒興。彼奴が自分で選んだ道だ」


 やっぱ、殺してしまえホトトギスの人かと思いきや意外に思いやりのある人だよな。家康が作り上げたイメージってのが本当かもしれない。怒れば怖いけど筋道通ってるし、短気は短気だけど尾を引くような事もないし、評価も真面目にしてくれるし、オレ・・・この人嫌いじゃない。


 「まだ他にもあるので続けますね」


 そこからはカセットコンロに酷く驚いていた。


 「行軍中にも温かい美味い飯がすぐに食えますよ!」


 テントは張るのに少し苦労したが概ね好反応だ。


 「これは貰い物で1人用ですが大型の物もあります!意外にも快適ですよ!」


 最後は発電機だ。むしろこれが本命だったりする。


 オレも使うのは初めてだ。けど、さすが葛城さんの旦那さんだ。説明書もばっちりある。


 動かそうとしたが肝心の物を忘れていた。


 「なんじゃ?仰々しく言ったのだ!はよう見せてみよ」


 「まさかお前・・・謀ったのか!?」


 いや謀ったのか!?って・・・


 「すいません!!これを動かすのに必要なガソリンという物とエンジンオイルという物をを忘れました!明日持ってくるのでかまいませんか!?」


 「ふん。上手すぎると思うておったわ。貴様はいつもそうだ!何か抜けてあるところがある!以後気をつけい!今宵はこれだけで良い。明日必ず見せよ。先日の銃といい、この装備で光明が確かな物に思える!」


 お!?意外に許してくれたな!?


 「すいません。それと20日後のオレの世界の給料日に小型の冷蔵庫とか持って来ます。ジュースや酒など楽しめるかと思います」


 「ほう?それはなんだ?詳しく教えよ」


 新しい物を言えば分かるまで聞く信長さん・・・連日の夜中帰りが当たり前になってしまった。

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