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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第一章
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ラブレター?

 この日は荷物をじいちゃんの倉庫に入れたりしてると夜中近くになったため、久々に家で寝る事にした。そして寝る前に布団に潜りメールのチェックだ。


 里志君からのメールだが・・・


『この古文はなんだい!?しかも独特な字だね?一応分かる範囲だけどそのまま書くよ』


 期待に胸膨らませそのまま画面をスクロールする。やっぱ里志君はチートだ!と思う。


 『私如き身分に合わない過分な配慮の数々誠にありがとうございます。つきましては、合田様がこちらに居る時の身辺警備及び雑用などなんなりとお申し付けください。????神社の御守りをお送り致します。私が居ないそちらに居る時、身代わりになっていただくよう念を込めました。よろしければ肌身離さずお持ちいただきますれば。??様に字を習い書きました。見難い字で申し訳ありません。あやめ』



 里志君にも分からない字なんだ。ってか、あやめさんか・・・。なにも気を使わなくていいのに。しかも雑用なんてさせるわけないじゃん!!字が見難いかどうかは分からないけど、頑張って書いてくれたんだな。明日お礼言っておこう。


 オレは御守りを見ると、紐で首から提げるような長さだったため、首から提げる事にした。なんとなくだが現代の御守りより効力があるように思うのは気のせいだろうか。


 そして、そのまま更にスクロールすると里志君からのメッセージだ。


 『武蔵?この古文の手紙はなんだい!?こんな手紙を中々ないと思うよ!?神社と誰から字を教わったかは読めないけど・・・』


 オレは夜中だけど返信する事にした。


 「解読ありがとう!返事遅れてごめん!実は今、ばあちゃんの家で1人暮らし始めたんだ。そして、倉庫の中で見つけたから何かな?と思って里志君に解読してもらおうと思ったんだよ。変なお願いしてごめんな?けどモヤモヤが晴れたから助かったよ!」


 返信だけ送り、オレは寝ようとしたがすぐに返事がくる。


 『そうだったんだ。てっきり例の小説の事でどこから資料的な感じの手紙かと思ったよ。ならこれは武蔵のお婆ちゃんからお爺ちゃんに宛てた手紙なんだね?それにしても古い字だよね〜。俺も勉強になったよ』


 爺ちゃん婆ちゃん・・・ごめん!名前借りてしまったよ・・・。


 ふと、写真を眺めると婆ちゃんが爺ちゃんに向けてジト目をしてるように見えた。


 「本当に助かったよ。後、よければ夏休みにこの家に来てほしい。2泊くらいできるように服やなんかも持ってね?面白い場所に案内するよ」


 『面白い場所?武蔵のお婆ちゃんの家が面白いのかい?あっ!俺も歴史好きだし、こんな手紙があるくらいだから歴史の古い家って事だろ!?それは確かに面白い場所だ!分かった!夏休みに帰るからその時はその時にまた連絡するよ!じゃあな!』


 うん。まぁ確かに歴史ある家だな。残念里志君?君を本当の戦国時代に連れてってあげよう!本物の信長さんに会えばいい!度肝抜かされるぞ!あのオーラは本物だ!

 

 そして次の日の仕事・・・業務自体は問題ない。お客さんに対しても吃らずに、なんならハキハキと喋れていると思う。そして、夕方の退勤時刻間際に店長が小走りでオレの所にやってきて、またもや心臓がドクンッと鳴るような事を言った。


 「武蔵君?社長がお見えなんだ。あの池田さんのアトリエで物を売ったんだってね?その物を社長が購入したそうなんだ。それで池田さんと話してると君の話が出たそうでご機嫌だよ?事務所においで」


 「え!?マジすか!?社長さんすか!?」


 オレは店長に引っ張られながら事務所に向かう。そして、事務所の奥にある、入った事のない部屋に入る。


 「失礼します。武蔵君連れて参りました」


 「うん。遠藤君ありがとうね?業務に戻っていいわよ」


 今思い出した。店長は遠藤・・・いやまさかね!?まさかあの遠藤さんとは関係ないよね!?


 「し、失礼しますッッ!!合田武蔵と申します!よろ、よろしくお願いしますッッ!!!」


 少し吃ってしまったが元気よく声が出たはずだ!これも前田さんのおかげか!?


 「ふふふ。そんなに気負わなくてもいいわよ?入りなさい」


 「はっ!失礼致します!」


 「君面白いね?緊張してるように見えるけど声は通ってるわね?池田さんも相当君を褒めてたわよ?池田さんのアトリエ正面にある花壇の木材加工は全て君がしたんでしょ?私も見たけどよくあの細かい裁断まで、しかも装飾もしたわね?」


 「はっ!田中さんに教わりました!!あれは処分の中に入ってた物で良いかと思いやりました!!!店長からも許可をいただいております!!」


 「ふふふ。そういう自ら考え行動する子は嫌いじゃないわよ?あの田中君もかなり長いけど、元気がいいだけじゃダメなの。歳は関係ないけど自分で考えて行動できる子が私は欲しいの」


 オレは緊張しながらも社長の声を聞く。歳は多分50代半ばに見える。大人の女性だ。しかもかなりのやり手・・・。


 「はっ!正社員にしていただきましても精一杯頑張りたいと思います!!」


 「元気がいいのね?じゃあ一つ質問!別に答えがあるわけではないから思いつく事一つ答えてちょうだい?このみんなのABCが更に人気になるには何をすればいいと思う?」


 また難しい事を・・・。そうだな・・・今現状オレが欲しいのは配送から組み立て、配置まで全部してくれるサービスがあれば嬉しいな。


 「はっ!コスト的に無理だとは思いますが、家具や家電の配送、組み立て、配置まで全てをサービスしてくれるコースがあれば良いなと思います!付け加えるならば、某大型家具屋さんみたいなコーディネーターが居て、お客さんが望む家具を格安で作るサービスなんかもあればいいかなと思います!」


 「へぇ〜?ここまで具体的に言う子は久しぶりね?なら特別にもう一つ聞かせてくれるかしら?あなたから見てこのみんなのABCの良さは何だと思う?」


 「はっ!社長が構築した独自ブランドにて、他社の良い所取りした物を作り上げ、買いやすい値段での提供だと思います!」


 「ふふふ。嬉しいけど言い方変えればパクったって聞こえるわね」


 チッ!!オレとした事がまずったか!?言葉考えて言えばよかった・・・。


 「すいません!そんなつもりではなく、先日からこのお店で買い物させていただき助かっております!」


 「まぁいいわ。あなたの案は考えておきましょう。詳しくは遠藤君に聞いてちょうだい?正社員採用よ。これからも頑張ってね?期待してるわよ?それより、この茶器のセットはあなたの物だったらしいわね?」


 「え!?あ、はっ!ありがとうございます!精一杯頑張ります!それは自分が池田さんに査定していただいた物です!」


 「もうその話し方辞めていいわよ?これはプライベートな話だからね?そもそも私は社長と社員の溝を作りたくないのよ?仕事中はそうはいかないけどメリハリは大事よ?」


 なんとなく信長さんに似てる気がする。普段の雑談はあまり何も言って来ないけど、軍事や内政の事になれば厳しくなる。メリハリのある人だ。


 「分かりました。慣れるようにします」


 「ふふふ。それでこれはあなたのお婆さまの物だったのでしょう?どういった家系かしら?私も池田さんみたいに歴史ある物を集めるのが趣味なのよ」


 「あ、それは倉庫に転がってた物なので自分もそんな価値がある物と知らずにですね・・・ちなみに普通の家系です!」


 「なんか池田さんが言ってたけどまだ何かありそうなら持って行くって言ってたんでしょ?彼女かなり楽しみにしてるみたいよ?」


 マジか・・・。ならまた信長さんに貰わないといけないじゃん・・・。


 「はい。また倉庫見て探しておきます!」


 「私も楽しみにしてるからね?それで、君は自転車で来てるようだけど普通免許は持ってるの?」


 「はい。車は持ってませんが免許はあります!」


 「そう。なら外回りの事も君が主体になれそうね?」


 「え!?」


 「実はそろそろ外向けの配置サービスを始めようと思ってたのよ?けど、コーディネーターを付けてのサービスは盲点だったわ。ありがとうね?あっ、もし車買いたいなら私に言ってくれる?別会社にはなるんだけど車関係の事もしてるのよ?」


 「あ、はい!分かりました。その時はよろしくお願いします!」


 「そろそろ退勤でしょ?遠藤君に伝えておくからまた聞いてね?お疲れ様でした」


 オレは緊張で汗ビッショリだ。けどマジで勤務1ヶ月少々で正社員になれたんだが!?ラッキーだな。ただ一つ不穏な事が・・・外回りってなんぞ!?



 オレは自宅に帰り、ジャージでトイレと倉庫を行き来している。キャンプ用品の持ち込みのためだ。


 「き、貴様ッ!!またワシの部屋を汚すつもりか!?」


 「こんばんは!池田様!よければ手伝ってくれませんか!?」


 「貴様舐めているのか!?ワシは下男ではない!!」


 「あ、これリンゴの酎ハイです!甘いお酒です!よければどうぞ!」


 「お、おう。すまぬ。これはどこに運ぶのだ?」


 ふん。チョロい。オレは池田さんの事をなんとなく分かってきた。言葉や口調は強いが酒に弱い。謎なのは木下さんだ。先日、種や苗を色々渡したが社交辞令の挨拶だけ。オレに近付こうともしない。酒が欲しいや甘味が欲しいとも言って来ない。


 そしてそんな木下さんが珍しく夜に登城していて、池田さんの部屋の前の廊下で待機していた。


 「こんばんわ?武蔵殿」


 「うをっ!ビックリした!木下様!?すいません。こんばんわ!どうされましたか!?」


 「いや、アッシは農民上がりだから下々の民の暮らしが分かるのだ」


 「おい!木下!誰がワシの部屋の前に来ていいと言った!居るなら手伝え!」


 「これはこれは、池田殿。申し訳ありません。手伝わせていただきます」


 あの池田さんの言葉使いはダメだ。明らかにバカにしてる言葉だ。後でやめるように言っておこう。


 とりあえず大広間に荷物を3人で運んだ。信長さんは夜食を食べているらしく後で来るとの事。


 「木下様?それで何か伝える事があったのですか?」


 「いや、すまぬ。実は・・・」


 木下さんから言われたのは許し難い事だった。

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