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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第一章
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遠藤の苦悩

 「そろそろ着いた頃かのう?」


 いやいや長良川のどこかは分からないけどまだ出てから5分と経ってないぞ!?馬で駆けていっても無理だろ!?


 「では一度話してみるのはいかがでしょう?遠藤殿がまだ到着してないのであれば後で罰を与えるのが良いかと」


 「うむ。さすが頭のキレる光秀だ。今宵は機嫌が良い。岐阜城の外周を走らせてやろうか」


 あぁ〜ダメだこりゃ。明智さんもパワハラだ。すました顔して言う事はえげつない。


 「おい!遠藤!聞こえるか?今どこだ?」


 『え!?あっ、ままさか!?え!?』


 「シャキッとせんかッッ!!!今どこだ!!」


 『は、はい!今ちょうど長良川に到着したところでございます!!』


 いやマジでなんちゅう早さだよ!?もう長良川のどこかまで行ってるのかよ!?


 『あぁ〜!遠藤様!こんばんわ!』


 『キャァ〜!!遠藤様がいらして下さいましたよ!!』


 『『『キャァ〜〜!!!』』』


 は!?何で女性の声が聞こえるんだよ!?しかも明らかに嬉々とした黄色い声なんだが!?この人はプレイボーイなのか!?そうなのか!?


 「遠藤ぉぉぉぉぉッッッ!!!!貴様何をしておるのだッッ!!!?」


 『お、お館様!ち、違います!キャァ〜!!遠藤様!!男前ぇぇ!!』


 『こ、こら!静かにしなさい!これは織田軍の秘密のーー』


 「もう良い。遠藤?覚えておけよ?せっかく予想以上に早く到着したから褒美の一つ、武蔵が持ってきたハチミツ梅のど飴なる物を渡してやろうかと思ったがなしじゃ」


 『え!?ちょ!お館様!?それはーー』


 「もう良い。距離も分かった」


 信長さんはそう言うとトランシーバーを手から離した。


 うん。これはお仕置きが必要だな。女に現を抜かすのではなく、よりによって女の方からあんな黄色い声援を送られるとは・・・うらやま、けしからん!!


 「織田様・・・オレは許せません!遠藤さんが・・・遠藤さんがぁぁぁぁ・・・」


 「ふん。貴様も許せんか。ワシが罰を与えておこう。それでだが・・・このとらんしーばーなる物の凄さは分かった。数は揃えられないのか?」


 「はい。もう少しくらいなら用意できます。ですが、少し値が張りますので・・・」


 「もどかしいのう。こちらの銭が使えるならば問題ないと言うのに。仕方あるまい。用意できるだけ持って来てくれ」


 「分かりました!最後はこの火種になります。ライターと言いましてここを押すと・・・」


 シュポッ


 「「おぉ!!」」


 よし!やっぱ100円ライターも使えそうな反応だ!


 「油屋が壊滅してしまいそうな道具だな?これはなんという物だ?」


 「はい。ライターと言います。10個程ありますのでどうぞ」


 「うむ。大儀である!貴様の家は突貫で仕上げさせておる!」


 「え!?お館様!?ならあの家は誠に武蔵の家だったのですか!?てっきり、池田殿の別宅という程で、武蔵を住まわせるものかと思いました」


 いやいや前にオレの家ってオレ自身も言ったじゃん!?池田さんの別宅って寧ろオレの家じゃないじゃん!?


 「うん?あれは此奴の家だが?ワシの咳病を治した褒美としてじゃ。なんぞ不服か?」


 「さすがにもったいのう・・・いえ。すいません。なんでもございませぬ。武蔵よ?お館様に深く礼をしなさい?監督は岡部殿ですよ?」


 「岡部殿ってあの岡部又右衛門さんですか!?」


 「ほう?知っておるか。彼奴も未来で名が残っておるのか」


 そりゃ本能寺で最後が同じ且つ、確か熱田の宮大工だった人だったよな!?そこまで深くは知らないがこの人は知ってるぞ!?


 「はい!熱田の宮大工出身でしたよね!?そんな方がオレの家を・・・畏れ多いっす」


 「それ程の事をお前は成した。例えばこのらいたーなる物一つで敵にまったく気取られず火攻めができよう。しかも単独でも事が起こせる。これがあれば比叡山はもう少し効率が良かったであろう?のう?光秀?」


 「・・・・はい」


 あぁ〜・・・やはり明智さんは比叡山反対の人だったんだ。今の反応で分かったわ。


 「3日後くらいには出来るであろう。あれは貴様の家だ。好きに致せ」


 「ありがとうございます!もう少し後くらいには行軍や野営に使えそうな物も持ってきますので確認お願いします!」


 「ふん。行軍に野営か。更に軍備増強できそうだな。期待している。下がれ」


 オレは部屋の退出前に持って来た酒やジュースなどを渡し、この日は家に戻った。あやめさんにも会いたかったが、なんか恥ずかしい感じがしたため挨拶せずに戻った。


 ちなみに池田さんは明智さんを嫉妬の眼差しで見ていたが、ツマミと酒を渡せば黙って1人で飲んでいた。


 「婆ちゃんただいま!爺ちゃんただいま!」


 時間は夜中の1時・・・早く寝ないと明日もしんどいやつだ。


 案の定次の日は、起きた瞬間から疲れが溜まってる嫌な日だ。


 オレは戦国時代用のバッグから財布を仕事用に入れ直そうとした時、戦国時代用のバッグに見慣れない物と紙が入っている事に気付く。


 「なんだ?またじいちゃんか!?」


 いつもの独り言。爺ちゃんの写真を見るが、頭によぎったのは生前、爺ちゃんがよくオレに小さな嘘を言い、オレが信じてしまった時に口笛をよく吹いて誤魔化しているような風景が見えた。


 恐る恐るバッグを確認すると・・・


 「なんだよこの文字!?ミミズが張ったような字で分からないよ!?」


 明らかに戦国時代の誰かが書いた手紙らしき物だった。そして、木箱が入っていたがその中身は御守りだった。オレは手紙をスマホのカメラで撮影し、困った時の親友頼み・・・里志君に解析をお願いするメールを送りバイトに向かった。


 いつも通り変わらない仕事をこなし、業務が終わった。ただこの日は葛城さんも同じ時間に上がるため、早く信長さんを喜ばせたいため例のキャンプ用具の事をお願いした。


 「葛城さん?よければ例のお願いなんですが本日とか難しいですか?急にすいません」


 「え?今日?まだ纏めてないし、倉庫に入れっぱなしなんだけど、合田君が出し入れするならいいわよ?」


 「大丈夫です!自分でどうにかしますのでよろしくお願いします!」


 オレはさっそく葛城さんの家に行く事にした。葛城さんは嬉しい事にオレを送迎してくれるとの事。住所を言い、オレは大急ぎでチャリで帰る。そして時間差で迎えに来てくれる事となった。


 帰ってすぐに携帯のメールに気付いたが今はそんな余裕がない。里志君のメールは後で見る事にしよう。


 葛城さんは程なくして家に来てくれた。


 「まぁ!?立派な家ね!?お母様のご実家だったのよね!?」


 「はい。オレから見ればばあちゃんの家ですけど。っていうか本当に急にすいません!」


 「いいのよいいのよ。旦那は出張で居ないし、息子は東京に出て、私1人なのよ」


 これはあれか!?フラグか!?いくらオレでもさすがに・・・いやここはワンチャン!?


 「・・・・・」


 「変な事考えないでね?こう見えて私、空手黒帯だからね?」


 「え!?いやいやそんな変な事考えていません!」


 なんとなくすごいオーラを感じたんだよ!葛城さんを甘く見てはいけない。


 そんなこんなで葛城さんの軽四に乗せてもらい出発する。場所はバイト先から3分の少し大きめな一軒家だ。


 それからの行動は早かった。倉庫に案内され、夜だからあまり音は立たないでと言われはしたが倉庫の物は何でも持って行ってくれとの事。車の後ろに乗せていいと言ってくれたのでオレは使える物なら何でもの精神で車に色々詰め込んだ。


 さすがに多少は遠慮しないといけないけど葛城さん曰く・・・


 「本当に処分するの大変だから、なんなら全部持って帰ってくれてもいいんだけど」


 と言っていたので遠慮なく貰う事にした。と言ってもお金は払うけど。とりあえず30万は持って来ている。これでも足りないと言われれば・・・来月に払うしかないよな。


 たくさん荷物はあったが、大きな荷物はテントくらいで、後は鍋やコンロ、ランタン、ガスバーナー、トーチ、寝袋。そして1番期待していたリチウムイオン充電池式ポータブル電源だ。しかもソーラー充電も付属してるモデルだから向こうでやり方さえ言えばオレが居なくても明るい夜になるはずだ!


 「葛城さんの息子さん凄すぎだろ!?リッチすぎだろ!?」


 「あら?私の息子がリッチだって?」


 「あっ、すいません!独り言が癖なもので・・・」


 「いいのよ。息子は何でも形から入ってすぐに飽きる子なのよ。あっ!その端っこにある発電機も持ってっていいわよ?旦那が夜釣りで使うとか言って携帯発電機らしいけど煩くて使えないって言って、ずっと倉庫の中に入りっぱなしなのよ」


 「え!?マジすか!?ホ○ダじゃないですかこれ買えば20万は余裕で超えると思いますよ!?」


 「いいのよいいのよ。使ってくれる人の方が道具も喜ぶはずよ、待って発電機を使うならそこにある燃料携行缶も必要よ」


 「ポリタンクでは駄目ですか?」


 「この発電機の燃料はガソリンだから燃料携行缶無いとガソリンスタンドで購入すら出来ないわよ」


 さすが葛城さんだ。これはかなりの収穫だ。とはいえ燃料携行缶は1つなので向こうで使うならばあと2~3缶は必要だな。


 「鯉のぼりとか野球道具とかは置いています。後は買わせていただきます。葛城さんの車パンパンになりましたが・・・すいません。後、これなのですが・・・」


 オレは封筒に入れた30万を全部渡した。すると葛城さんは中を開けて驚いた顔をしていた。


 「合田君!?この大金はどうしたの!?あなたお金ないって言ってなかった!?」


 「はい。オレの使える全財産です。こんなにいただけると思ってませんでしたのでどうか貰ってください!!なんならそのお金でも足りないくらいかと・・・」


 そこからこんなに要らない、貰って下さいを繰り返したが結局は10万だけ貰ってくれる事になり、その代わり・・・


 「合田君の彼女!絶対に紹介しなさい?約束よ?」


 「え!?あ、は、はい!必ずいつか紹介します!」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 葛城さん、良い人だ。 本人は処理費用無での大量不良品処分の積もりなんだろうけど、必要としてる側からしたら有りがたいよなぁ。 普通に揃えようとしたら一体幾らかかったのやら。 其にしても葛城さ…
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