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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第一章
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武蔵からのプレゼン

 オレは荷物を持ち戦国時代へ戻る。池田さんは部屋には居らず、池田さんの部屋横の廊下には滝川さんが正座していた。


 「え!?滝川様!?なにしてるんですか!?」


 「いや、其方を待っていたのだ。先には謝罪の一つも言えんかってな。すまなかった」


 「いや、そんなの気にしてないのでかまいませんよ!そうだ!これです!その頬っぺの青タンのところにこの湿布貼ってください!」


 「うん?なんだこれは?」


 「気分的なものかもしれませんが痛み止めみたいな薬です!」


 「いやいかん!薬なぞ高価な物はそう易々と出すな!」


 この時代は薬が高価なんだよな。これも価値観の差だな。


 「オレが居る世界では薬は高価な物もありますが万人でも購入できる世界なのです。だから気にせずにどうぞ!」


 「そういう事ならば・・・いただこう。お館様とも話したのだが其方はあやめに何か思う事があるのだろう?」


 滝川さんは急に変な事言い出した。まあ、図星なんだけど。


 「そそそそんな事ありませんよ!!なに言ってるんですか!?」


 「いや良い。今ので分かった。そして其方が女に慣れてないのも分かった」


 クッ・・・・一言で滝川さんに看破されるとは滝川さんも中々やるな!?


 「あやめは其方の下に付けよう。お館様からも了承を得ておる。好きに使え」


 「え!?あ、は、はい!ありがとうございます!後、これもよければどうぞ!ここの蓋を半分開けて湯を注ぎ少し待てば食べられます!」


 「ほう。これがお館様が気に入っているらーめんとやらか。夜飯に食うとしよう」


 滝川さんはこの時代で前田さんの次に物腰柔らかい人だ。もし現代風に例えるなら滝川さんが社長の会社とかに就職したいなと思う。


 オレは一度自分の部屋に行き、あやめさんの様子を見る。部屋に入ると起きて座っていた。


 「おはようございます」


 「合田様、この度は大変ご迷惑をーー」


 「あぁ!そんなのいいからいいから!顔とか大丈夫ですか!?これ、ロキソニン湿布です!滝川様にも渡したけどよければ使ってください!殴られたところに貼れば痛みが取れますよ!」


 「いつもすいません。ですがこれは合田様に。私如きにはもったいのうございます」


 「だからそんな遠慮しないでください!ってか使ってほしいのです!」


 「は、はぁ〜。では遠慮なく使わせていただきます。ありがとうございます」


 「他にも切り傷にはこの抗生物質が入っている軟膏を塗って、喉が痛いとか風邪気味の時はこの薬を!織田様が家建ててくれるそうだから保存しておいてください!」


 「何から何まで申し訳ありません」


 「後日試したい事があるのですが構いませんか?城の人が少ない時にですけど・・・」


 「なにをされるのですか?」


 「いや、多分ですけどあやめさんはオレの世界に来れると思うんですよね」


 「え!?本当ですか!?」


 「確実ではないけど多分・・・。まあ時期を見て試したいのでまたその時お願いします。前田様や織田様のところに向かいますので失礼します」


 オレはまず前田さんに礼を言いに激安焼酎を持って向かう。


 「ってか、前田さんの部屋ってどこだよ!?」


 オレが1人でツッコミを入れた所にタイミングよく蘭丸君が歩いて来た。


 「蘭丸君!少しいいかな?」


 「気安く呼ぶでない!ワシはお館様の小姓である!」


 は!?小学校低学年の子くらいなのにこんな偉そうなのか!?


 すると、後ろからめっちゃ柄の悪い男が蘭丸君を吹っ飛ばした。


 「馬鹿たれが!お館様の大切な客人であろうが!そんな事では小姓なんぞ務まらぬであろうが!いや、相すまぬ。俺は森勝蔵長可。蘭丸の兄です」


 いやいや見た目の割にめっちゃ礼儀正しいんだが!?


 「あ、すいません。合田武蔵と申します。よろしくお願いします。前田様の部屋はどこかなと思いまして」


 「こちらにございます。あなた様も前田様ほどではございませんが身が高い・・・是非今度暇な時にでも一手、手合わせ願いたい」


 「いやいや勘弁してください!オレは武闘派じゃないんです!」


 これまたオレより少し歳下くらいの見た目だが、喧嘩売られてるような気分なんだが!?


 森勝蔵・・・宇佐山で亡くなった森可成の息子だよな。やんちゃなイメージがあるけど今の感じではそこまでは見えないな。血の気は多そうに感じるけど。


 

 「前田の兄貴!合田殿がお見えです」


 「勝蔵!ご苦労さん!悪いね!で、武蔵君?どうした?」


 今思い出したがこの人も大概な歳の差婚した人だったよな。いつかその極意を教えてもらいたい。


 「これ、色々なお礼です。焼酎ってお酒です!」


 「おぉ!酒か!これは良い褒美だ!うむ!では更に俺からも礼を返そう!明日の鍛錬は俺と同じ鍛錬をしよう!そうすれば例の想い人も応えてくれるやもしれんぞ!?」


 「いや想い人って・・・」


 「ははは!隠さなくとも分かる!武蔵君の反応を見れば城に詰める下女からお館様まで、みーんな分かると思うぞ?お館様相伴衆が草の女を助けるために乱波者、上忍が居るところに1人で乗り込んだのだからな?ははは!」


 いやいやあれは成り行きでそうなっただけなんだが!?


 「前田の兄貴!なら例のあれはこの方が!?」


 「あぁ!勝蔵も中々だが度胸ならば武蔵君が1番やもしれぬぞ?寸鉄も持たず・・・あっ、確か短刀は持ってたのだったか?まあ無策にもよく行ったもんよ!是非、織田軍の斬り込み隊も見習ってもらいたいもんだ!」


 なんか、かなり褒められてるんだが!?そんなつもり微塵もなかったんだけど・・・。


 それから少しの間茶化され、社交辞令だろうがヨイショヨイショされ気分が良くなってきたところでオレは信長さんの部屋に行く。初めて軍事の事に口を出すためだ。


 「失礼します」


 「うむ。入れ。なんぞ?差し入れか?」


 「いやすいません。今日もカップラーメンとカップ焼きそばだけです。同じ物ばかり申し訳ないです。安物ですが非常食にでもどうぞ」


 「こんなに良いのか?クハハハ!貴様を見ればなんと矮小な事に悩んでいるのかと思ってしまう」


 何の事言ってるんだ?


 「少しお話がございます」


 オレは里志君に聞いた事を信長さんに伝えた。特に火縄銃の方はすぐに覚えたから分かりやすく伝えたつもりだ。そして火薬の方は効率的な燃焼をさせる火薬があると。


 「ほう?貴様は吹っ切れたのか?なんぞウジウジしていたように思うが?」


 「いえ。正直分かりません。もしオレが何かした事でオレが知る歴史が変わっても大きな変化は起こらないのじゃないかと勝手に思ってます」


 「続けよ」


 「はい。だからまずは火薬の生成を教えようかと思います。ちなみにこの火薬はオレの知る歴史では時代を300年程先取りした事になります」


 「面白い!光明が見えるとはこの事か?武田と野戦をしてはならぬ。だがここでワシが徳川救援に向かえば喜んで朝倉共が出張ってくるであろう。その火薬とやらはすぐにできるのか?」


 「すいません。すぐには・・・。分かりやすく紙か何かに纏めて持ってきます。他にも軍事的に作れそうな物だったり改良できそうな物を持って来ます」


 「うむ。良きに計らえ。その物によって貴様の今後の進退が決まるであろう。誰ぞある!」


 「はっ!」


 「遠藤か。三の丸にある蔵を一つ開けい!」


 「は!?」


 「聞こえぬのか?蔵に入っておる瓶を此奴に渡せ!」


 「全部ですか!?」


 「あん?貴様は全て言わぬと分からぬのか?」


 「は、はい!すいません!直ちに!」


 瓶?なんだ!?なんか骨董品でもくれるのか!?


 「後もう一つ。先日の砂糖や石鹸なのですがいくらで売れそうですか?」


 「あれは貴様の世界では手軽に買えるのか?興味本位で聞くが椎茸なんかは銭は如何程なのだ?」


 「砂糖は然程高くありませんよ?業務用なら・・・20キロ1万円くらいでオレが働いている店にあったような・・・」


 「えぇぃ!訛りが酷い!にじゅーなんちゃらとはなんだ!?」


 チッ。この時代の単位が分からないし慣れ親しんだ言葉は急には変えられないのに・・・。


 「6歳の女の子供の重さくらいの砂糖が・・・向こうの世界のオレの俸給で15個くらい買えます」


 「なに!?そんなに買えるのか!?朝廷に賄賂として渡せるではないか!」


 いや給料全部を砂糖に全ツッパとか無理無理!しかも平気で賄賂とか言うなよ!?


 「ちなみに椎茸に関してはうろ覚えですが原木にキノコの菌を付着?させてる物が売ってあるので必要なら持ってきますよ?普通に食べたいだけならスーパーに普通に売ってますよ」


 「なんだと!?椎茸を育てられるのか!?」


 「え!?あ、はい!未来では育てられてますよ?」


 「遠藤ッッッ!!!遠藤はまだかッッ!!チッ。弛んでおる!武蔵!着いて来い!」


 信長さんは不機嫌そうな顔をしてるが声は逆に機嫌が良い時のトーンでオレに着いて来るように言った。


 城詰めの人達は信長さんの事があまり分からないのか道を開けて頭を下げる。途中、明智さんとすれ違い明智さんも一緒に来る事になった。


 案内された場所は三の丸?と呼ばれる平屋の建物が建っている場所だった。そこは遠藤さんが必死で中に入っている瓶を取り出しているところだった。


 「お館様!?」


 「遠藤!遅い!いつまで待たせる気だ!弛んでおるのではないのか!?」


 「まぁ!まぁ!お館様!遠藤殿も息を切らして頑張っているようですし、ここは穏便に」


 明智さんのファインプレー?により遠藤さんは胸を撫で下ろしていた。


 「ふん。まあ良い。武蔵!中を見てみろ」


 「瓶の中ですか?失礼しまーーえ!?お金!?これ全部お金!?」


 「ふん。わざとらしくせんで良い。あの砂糖と石鹸は織田が全部買ってやる!値はこの蔵にある銭全てだ!足りぬとは言わせぬぞ?」


 「ほほほ。これはこれは、お館様が武蔵殿にどれだけ期待されておるかの表れですな?ですが、些か多すぎるように思いますが?」


 「その回りくどい話し方をやめろと何回も言っている。聞きたい事があるならば聞け!」


 オレも明智さんのこのネトーっとした話し方は嫌いだ。


 「これはすいません。京暮らしが長い故にこのようになってしまいました。権謀術数。京では内情を悟らせるわけには参りませんからな。何か武蔵殿に密命を?」


 「此奴・・・未来の鉄砲を教えると言った。それに火薬の作製方法が分かりまだそんな時も経っておらぬ。だが此奴の居る世界では廃れた火薬だと言った。無煙火薬なる物を此奴は作ると申した」


 「ほうほう。未来の鉄砲?それはどのような物で?」


 「此奴が言うには弾を真っ直ぐ飛ばす方法。飛距離が倍になる。火薬ができるならば殺傷範囲の広い焙烙玉も作れるらしい。ワシはそのためならばいくらでも銭を出す」


 「納得致しました。ではその鉄砲の鍛治共にはーー」


 「ふん。お主しか居るまい?まずは此奴が生成方法を紙に記すそうだ。具に連携し、早急に使える物としろ。良いな?誰にも気取られるな」


 「畏まりました」


 信長さんと明智さんは勝手に納得して帰って行ったけど・・・オレはどうすればいいんだよ!?こんなに沢山のお金どこに置いておけばいいんだよ!?


 「合田様?どちらにお持ちすれば?」


 「すいません。実は家がないので・・・織田様が作ってくれるとは言ってくれたのですがーー」


 「え!?ではあの城下の家は合田様のですか!?」


 「はい!?いえ、まだ見てないし何も言われていないので分からないのですが・・・」


 「間違いないでしょう。新たな家臣が増えると聞いておりませんし。では家が出来れば運ぶようにしておきます。よろしいですか?」


 「あ、はい。すいませんお願いします。ありがとうございます。これ、よければどうぞ。ポッケに一つしかなかったですがサイダー味の飴です」


 「これは・・・先日池田様が持っていた物と同じ砂糖玉ですね!?実は食べてみたかったのですよ!池田様は中々他人に物をくれる方ではなくてですね・・・あ!いえ、つまらぬ事を申しました。この事は秘密に・・・」


 初めて遠藤さんと話したけど、かなりのお喋り好きな人だな。嫌いじゃない。むしろ好感を持てる。


 「ははは。今度袋事もって来てあげますよ。ちゃんと秘密にしておきますのでご安心ください。では、よろしくお願いします」

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