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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第一章
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どこかと繋がった便所

 「き、き、貴様ッ!!!!急に現れ、よりによってここで、く、糞を漏らすかッ!?臭っ!!手討ちじゃ!即日手討ちじゃ!!」


 「池田様!?何事で・・・うわっ!臭っ!!」


 「すぐに此奴を引っ捕えよ!」


 オレは頭の理解が追い付かない。オレ、ウンコしたかっただけなのに漏らす事になるし大河ドラマみたいなおじさん達が居るしここはどこよ!?ばあちゃんの家だろ!?


 ただ一つ言える事は・・・このままならヤバイという事。


 オレはスリ足で右手にあるばあちゃん家の便所と同じドアを開き逃げた。


 「逃げるつもりじゃ!早う捕らえんか!!」


 「は、はい!おい!逃げるーー」


 相手が言い終わる前に間一髪・・・ドアに入るがそこはさっきまで居たばあちゃんの家だ。心なしか天井の縁に飾ってあるばあちゃんとじいちゃんの遺影が笑ってるように思う。


 「ばあちゃん!?じいちゃん!?あれはなんなんだ!?あそこはどこだったんだ!?ウンコ漏らしてしまったんだぞ!?」


 「「・・・・・・・・・」」


 もちろん応えてくれるはずがない。


 「オレは疲れているのだろうか・・・ってあっ!?」


 気づきたくない現実だ。オレはウンコ漏らしだ。しかも少し下痢気味だ。昼に飲んだヤク○トが効きすぎたか!?


 オレは急いで風呂に入った。嬉しい事に風呂だけは普通の風呂だ。昔は五右衛門風呂だったらしいが改装したらしい。そして汚れた廊下の自分のブツを雑巾で掃除をしてこの日は寝た。


 ちなみに次の日の朝、小をしたかったが怖くてトイレに行けず、下品だが風呂で用をした。


 「あの便所は時間がある時に要確認だな」


 1人で呟くとまたもや遺影のばあちゃんが笑ってるように見えた。


 ばあちゃんの写真を前にちゃんと手を合わせて仕事に向かう。車がないからチャリでだけど。


 「ばあちゃん!じいちゃん!行ってくるよ!家汚してごめんよ!日曜にちゃんと消毒掛けもするから!」


 そう言い田舎のホームセンター【みんなのABC】に向かった。オレのバイト先だ。


 ちなみに仕事内容だが品出しやお客さんに商品説明だ。あまり頭は良くないが悪すぎる事もないため仕事内容はすぐに覚えた。今は先輩に木材の切断方法なんかを教えてもらっている。


 「武蔵君!今日から一人暮らしなんだろ!?頑張れよ!遊びすぎるなよ!」


 そう言うのはオレを教えてくれる先輩のバイトリーダー田中さんだ。雇用形態は本当にバイトらしい。年齢は聞いてないが恐らく50代半ばだと思う。ただ凄いのはこの店のヌシの田中さんとみんなに呼ばれているのだ。


 雇用歴も長く全ての仕事を熟せるスーパーバイトリーダーだ。


 「はい。正確には昨日からですが頑張ります!」


 「うん!若いのは良いな!あまり女ばかり連れ込むなよ!?ははは!」


 「田中さ〜ん!」


 「はいよ!じゃあ、今日はお客さんから木材加工頼まれたら1人でやってみな?分からなければヘルプボタン押すとすぐ駆けつてやるからな!」


 朝から満面の笑みでそう言い、呼ばれた方に向かって行った田中さん。オレに女を連れ込むなと言っていたがあの人はオレと同じ臭いがする。暗にお前は俺を裏切らないよな!?と言われているようだ。


 田中さんは絶対に魔法使いだ!


 仕事は普通にやり終えてこの日は終わった。何も問題なくだ。母ちゃんからメールが入っていた。問題ないかい?風邪引いてないかい?などオレを気遣ってくれるメールだ。問題ない!大丈夫!とだけ返信しておいた。


 自炊しようと心掛けてはいるが2日目にしてコンビニ弁当である。チャリ通勤になり体力のないオレは早々に挫折だ。オレに自炊は無理だ。


 そしてここでオレの能天気が発動する。昨日の出来事を忘れて小をしようと思い普通に便所に入った。ドアを開けた瞬間に思い出した。


 「あっ!ヤバっ!」


 「なっ!?貴様ッ!!昨日の!どこに隠れてやがった!?こんな事もあろうかと今日は縄を用意した!逃さぬぞ!!」


 オレは捕まらないようにまたドアを閉めた。


 「ったく!なんなんだよ!?便所にも行けないのか!?」


 ここでふとばあちゃんを見る。やはり微笑んで来ているように見える。


 「ばあちゃん・・・ただいま。トイレに行けないんだけど!?」


 「・・・・・・・・」


 やっぱ疲れているんだろうな。まずあそこはどこなんだ!?見た感じ武士だよな!?刀持ってたよな!?


 疑問に思えば思うほど謎が深まる。そして一つ作戦を立てた。


 「襲われるなら襲われないように先にオレの正体を言えばいいんじゃね!?」


 また1人で呟いたが今度はじいちゃんの顔が呆れた表情のように見えた。


 「よし!まずは怪しい者じゃない!トイレに行きたいだけですがオレの家のトイレを開けたらそこに繋がってるだけです!」


 気が付けば一人で口上の練習をしていた。

 いや待てよ!?捕まえたいというなら何で追いかけて来ないの!?まさかSF的な何かか!?


 考えても結論が出ないため、家の横にある小さな倉庫からじいちゃんが生前仕事で使っていたヘルメットを被りトイレに向かう。ちなみにじいちゃんは大工さんだ。


 オレはドアを開け、投げ捨てるように手紙を放った。うん。小心者だからやはり手紙の方が間違いないかと思い手紙にしたのだ。


 「なっ!?また貴様か!?」


 「誰かは存じ上げませんがその紙を見てください!怪しい者じゃないんです!!後でまた来ます!話を聞いてください!」


 「恒興ッ!!煩いぞ!何を遊んでおるのか!!」


 「お館様・・・・」


 「うん?はて?貴様何者ぞ?」


 オレは上半身だけ向こう側に出して手紙を放り投げたわけだが、向こうの世界のこの部屋の主の更に上のお館様という人が現れた。


 うん。頭の悪いオレでもこれで線が繋がった。昨日この人は『池田様!』と呼ばれていた。そして今『恒興!』と呼ばれている。池田恒興・・・織田信長と乳兄弟だった人だよな!?そしてその人がお館様様と呼ぶのは・・・


 「何者かと聞いておるッ!!答えぬか!ならば斬るまで!遠藤!ワシの刀を持てい!」


 いやいや斬るまでの時間早すぎだろ!?2秒と経ってないぞ!?喋るまで間合いをくれよ!?


 オレは必死で声を荒げる。それと同時に我慢していたションベンも漏らしてしまった。


 「怪しい者ではありません!あなたも手紙読んでください!」


 ジョボジョボジョボ


 「ふん。見苦しい奴めが!小便漏らしが怪しくないだと!?そこに直れッ!!!」


 オレとした事が!?うんこの次はションベン漏らしか!?いかん!いかん!


 「し、失礼します!絶対に斬らないでください!後程参ります!」


 そう言い、ドアを閉めた。


 冷や汗かきながらばあちゃんを見る。やはり昔見た優しいばあちゃんの微笑みのように見える。

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