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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第一章
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歴史は繋がるのか?

 使えるコネ、人脈はフルに使うのがオレだ。残念ながら現代の方では里志君しか頼れる友達は居ないけど。その里志君も今や彼女如きに現を抜かす奴に成り下がってしまった。


 オレは敢えて昨日は1日行かなかった。そして今日・・・この後だ。


 「田中さんお疲れ様です。また来週よろしくお願いします」


 「あら?武蔵君はもう上がりかな?」


 「はい!終わりました!」


 「そうか。女とばかり遊んでたんじゃだめだぞ!?もしあれなら・・・今度僕を誘ってくれてもいいからな!?ははは!冗談だよ!おつかれさん!」


 絶対に冗談ではないと思う。自分の女すら危ういオレが現代でセッティングできるわけないだろ!と思う。


 オレは先日あやめさんが割ってしまった湯呑みセットを持ちドアを潜る。この湯呑みセットは1万円だが・・・まあ正確には9800円だけど。これを買った事により給料日からまだ1週間と経っていないのに給料は半分を切った。


 現代の物を持って行き、誰かに買ってもらわないと向こうのお金も手に入れないといけないからな。


 いつもの戦国時代用のバッグには一袋500gの砂糖、5個。石鹸10個を入れた。ネットで戦国時代ではこの二つが貴重と誰かが書いた事を目にしたからだ。いくらで売れるか分からないけど。


 後はいつものお菓子各種だ。みんな酒が欲しいと言ってたが酒は高い。あれは給料日の時だけだ。言ってもお菓子でもみんなかなり喜んでくれるけど。


 「お邪魔します」


 「来たか。今宵の土産はなんだ?」


 出迎えはいつもの池田さんだ。むしろここをオレの部屋にしてくれるのが助かるのだけどな。


 「今日はサイダー味の飴玉1袋です!どうぞ!」


 「おぉ!また初めて見る物だ!感謝する!お館様はすっかり良くなった!待っているから早く行け」


 池田さんはご機嫌になりオレは信長さんの私室に向かう。城の人はみんなオレを見ると頭を下げてくれる。現代ではあり得ない光景だ。


 名目上は相伴衆?らしく顔パスで部屋に入る。


 トントントン


 「武蔵か?入れ」


 「失礼します」


 「その感じはだいぶよくなったように見えますね」


 「うむ。既に昨日から調子は良かったが完全に治った。これ程咳病が早く治ったのは初めてだ」


 「良かったです。これお土産です」


 オレは持って来た石鹸と砂糖を出した。


 「うん?なんぞこれは?いや・・・これは砂糖か!?こんな質の砂糖は初めて見るぞ!?」


 オレの思った通りだ。まあネットの誰かの記事で覚えただけだけど。


 「この一袋とこっちの石鹸1つはお渡しします。残りは買い取ってもらう事は難しいですか?」


 ここでまた空気が変わったのが分かった。


 「ほう?値を敢えて言わず、ワシがいくらで買うかと問うておるのか?ん?」


 「す、すいません。そんな意味ではなく・・・。先日言ったように家を建てさせてもらいたいのでお金稼ぎをしないといけないので・・・」


 「なんぞそんな事か。先般の咳病の褒美で家くらい建ててやろう。だがそれだけではワシの沽券に関わる。だが貴様がなにに喜ぶか分からぬ。言え!望みはなんだ?」


 太っ腹すぎだろ!?まだ褒美くれるのか!?


 「では・・・なにか茶道具とか欲しいのですが・・・恐らく未来では破格の値段が付くと思うのです。これらを仕入れるのにやはりお金が必要なのです」


 「うん?銭を得るために茶道具が欲しいのか?誰ぞある!瀬戸の茶器を持ってこい!」


 「お待たせ致しました!これへ」


 いやいや蘭丸君早すぎじゃね!?5秒と経ってないぞ!?


 「うむ。ご苦労!武蔵!これなんかどうだ?その未来でどのくらい価値があるかはワシも分からぬ。だがこれはワシが手掛けた地元の事業でな?那古屋より程近い瀬戸で焼き上げた物だ」


 「うは!?織田木瓜紋入りの急須と湯呑みですか!?これが欲しいです!!かっこいい!なんなら自分で使いたいくらいですよ!」


 「そうか!そうか!格好いいと申すか!貰っておけ。売るなり使うなり好きに致せ。それでだ。これより先は真面目な話しだ」


 真面目な話とはなんだ!?


 「なんでしょうか?」


 「将軍はワシを亡き者にしようと奮起しておる。武田はその将軍の動きに呼応しておる」


 第二次信長包囲網の事だよな。初めて情勢の話しを聞いたが、今ってかなり苦境に立っているんだったよな。


 「大丈夫ですよ。織田様は負けません」


 「そういうところをワシは信用しないと言ったであろう?未来がどうとかそんな話は信用しておらぬ」


 いや待てよ?そもそもオレが何か歴史の事象に入ると歴史は変わるのか!?それともよく聞くパラレルワールドみたいに色々な未来が枝分かれしてそれはそれと未来が作られるのか!?


 「すいません。オレの知ってる未来ではこの事は武田の西上作戦と呼ばれています。信じられるかは別としてかなり苦境に立たされるでしょうが織田徳川家が勝ちます」


 「うん?タヌキがか?」


 「確認したい事がございます。よければ大々的に徳川様に手紙を送ってくれませんか?内容は他愛ないない事でかまいません。ただ、手紙の名目としては、かなり重大な機密を書いた手紙と装ってくれませんか?」


 「なにをする気だ?」


 それからオレは今思っている疑問。オレが居る歴史は変わるのかと言う事だ。この手紙を送ってもらい、現代に帰り、ネットで歴史の事象を調べ、この事が書いてあればオレは下手に歴史に介入できない。歴史が変わってしまうからだ。


 「意味が分からぬ。ではワシ等はその歴史という決まった事をしているというのか!?」


 「そういうわけではありません!歴史とは作るものです!ただオレが居るのは紛れもない約500年程未来です!その未来と今ここが繋がってるのか分からないのです!」


 「そんな事明白であろう」


 信長さんは然も簡単に答えた。


 「貴様が居る未来とやらの歴史に貴様の名はあるのか?もしあるのならば同じであろう。名が無いのならば別の未来とやらではないのか?」


 「え!?オレですか!?」


 「ふん。貴様をただの相伴衆として終わらせると思うてか?貴様は今後他の面でも働いてもらう。名が残らぬ働きをさせるつもりはない。使える物、使える者は何でも使う。将軍、浅井、朝倉、武田・・・」


 ポーカーフェイスで常にいるから分からないけどオレが信長さんの立場ならあり得ないくらいのプレッシャーを感じているだろうな。周りみんな敵ばかりなんだからな。


 ってかオレってば戦に参加させられるのか!?戦えるわけないんだけど!?



 オレはこの日泊まらせてもらう事にしている。明日、明後日休みだからだ。この2日であやめさん達の住む所や、あの女と決着を付けないといけないからだ。


 充てがわれた部屋に入りあやめさんを呼ぶ。


 「あやめさん居る?」


 「はっ。ここに」


 「こんばんわ。はいこれ!この間と同じ湯呑みだよ」


 「そ、そんな申し訳なくーー」


 「いいから!いいから!貰ってほしい!手滑らせて割ってしまったんでしょ?」


 ここでオレは事実を聞く。


 「実は、よしの様に割られてしまいました」


 「は!?なんで割られないといけないの!?これ1セット9800円もするんだぞ!?弁償だ!弁償させてやる!」


 オレはドタドタ大きな音を出しながら城下に向かう。途中信長さんとすれ違ったが気にせずに向かった。


 その信長さんがこの後起こる出来事を収拾してくれる事となる。



 オレが怒り心頭に城を出て例の飲み屋に向かった。クッソ重い信長さんから貰ったお金を全部持ってだ。勢いよく持って出たが正直後悔している。マジで重いからだ。


 だが、そんな言葉を口にすればカッコ悪いため気力で歩いた。


 「合田様・・・」


 「あやめさん、もう少し待ってね?居るんだろ?入るぞ」


 オレはあまり使わない低い声にて入る。そこにはガラの悪そうな男2人と例の女が居た。


 「あら?来たのね?てっきり来ないかと思ったよ。その持っている物は何かしら?」


 「約束の金だ。織田様から許可は貰った。領内に住むのは人身売買に当たらないそうだ」


 「へぇ〜?信用ならないわね?それに・・・あんた等確認しな」


 そう言うと男2人がオレとあやめさんを縄で縛り始めた。


 「ちょ!やめろ!やめろって!」


 「きゃ!な、なにするのよ!!」


 「よしの様!短刀ですが業物を持っております!」


 「銭だ!見た事ないくらい持っている!それにこの男は見慣れぬ物を多数持っております!」


 「ふん。全部お出し!!ふ〜ん?草のあんたに似合わない短刀ね?貰ってあげるわ」


 こんな時だがオレは心の中でガッツポーズをした。残念ながらそれは信長さんから貰った短刀だ。見つかればどうなるか知らないぞ!?使えるコネは使うオレだ!卑怯と言われても気にしない!


 だが・・・・


 「それは返せ!飴玉や本はやる!だがスマホは返せ!」


 「へぇ〜?これは初めて見るね?おいお前達は見た事あるかい?」


 「いえ」 「初めて見ました」


 「ふ〜ん。これも貰っておくわ」


 「おい!待て!金の約束だろ!?ちゃんと持って来たじゃないか!」


 「キャハハハ!あんた程ちょろい男は居ないね?あたいを誰だと思ってるんだい?あたいは必要とされる場所に向かい、報酬が良ければその地の領主の味方になる!織田には散々稼がせてもらったわけさ!滝川様には悪いが最後は貰える物を貰ってとんずらさせてもらおうかしらね?」


 「は!?なに言ってんの!?」


 「案外回転の早い男かと思ったけど、そうでもないようね?おい!この男の召物も脱がせ!堺でも見た事のない南蛮の服だ!高く売れる」


 「よしの様?次はどちらへ?」


 「武田が動く。総動員でだ。既に別働隊が戦っているかもしれないね?あたいはこの情報をいち早く織田に渡したがこれといった褒美もなく援軍を出したようだけど少なかった。遠江は騒がしくなるだろうね」


 クッ・・・一言坂の戦いの事言ってるのか!?これならもっと歴史勉強しておけば良かった・・・。もしかすればオレが来た事で既に何か変わって来ているのか!?


 「では三ツ者に先に話を付けておきましょう。旧知の知り合いがおります」


 「助かる。頼んだよ。これをあんたに褒美として渡そう」


 「え!?いいのですか!?」


 「いいさ。好きに使いな」


 女が渡したのは信長さんから貰った短刀だ。盗みそれを平気で貰う男・・・狂ってる・・・。


 「よしの様!私はどうなってもかまいません!せめて合田様は逃がしてください!」


 ドンッ


 「誰にそんな口利いてるんだい!前々からそうだ!少し覚えが良いからって厚遇されて!事ここに至って逃がすと思うてか!?おい!あんた!分かるね?酔った男が喧嘩をふっかけ刀傷沙汰になった。あやめはこの男を守ろうとしたが惜しくも及ばず2人は死んだ。あんたがその男を斬った」


 「よしの様の事を聞かれるかと?」


 「甲賀に戻っていて今はあんたが切り盛りしているって事にしなさい。咎が構いなしと言われればあんたも信濃で合流しなさい」


 「はっ」


 いやいやマジで言ってんのか!?こんな事で殺されるのか!?


 「合田様!!」


 あやめさんがそう言うと縛られてた縄を解きオレを逃がそうとオレの縄を解こうとする。

 

 トゴンッ!!


 「馬鹿めが!草如きがこの男にほだされたか!?」


 いや今あり得ない音がしたぞ!?あやめさん大丈夫か!?


 「あやめさん!!!」


 バァァァンッ!!!


 すると勢いよく店のドアが開かれた。というか、勢いよく開けすぎてドアが吹っ飛んでいた。

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