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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第二章
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足利幕府の抵抗

 オレは今正座させられている。させられているというか、自らそうしているだけではあるのだが・・・。


 五ヶ庄本陣の床几に座り、その横には勘九郎君までいる。信長さんに関してはオレが持ってきたお土産のお好み焼きを器用に食べながら問われている。


 「はふっ はふっ うむ。相変わらず美味いな。ゴホンッ・・・そちが武蔵の住む世界の女豪商か?」


 「は、は、はい!や、山中由佳と申します!!」


 「うむ。先に手土産を渡してくれたな。これはいったい何する物ぞ?」


 オレと社長が来たのは夜だ。ちなみに池田マダムはいない。本当に2人だ。その社長が信長さんと謁見している。珍しく社長がビビっているように見える。


 信長さんが手にしている物は一つは間違いなくドローンだ。しかも、オレが使っているドローンより確実に高性能ぽい見た目だ。右手には金色に輝く懐中時計を握っている。


 社長は他にも巨大なバッグに色々詰め込んで来ているみたいだ。なんなら今ここで信長さん相手に商売始めるかのような勢いだ。


 「ほぅ?これが武蔵の持っていたものの大きいやつか。これはなんと精巧で雅だな。岐阜のとけいなる物と似ておるな。こっちは匂いのある水か。良い匂いがしておる」


 その他、香水、花差し、クッキー、造花、万年筆、コーヒーセットと色々な物を持って来ていた。


 「これらは地位のある方に今後商いができないか考えております」


 「よかろう。仕える事を許す!だが、暫くは此奴の下じゃ。我が軍は女とて使える者は使う。仕えたいと思う者も有能ならば誰であろうが許す。じゃが、女の豪商の者は初めてだ。基盤ができるまで武蔵の下にいろ」


 「分かりました!合田君!よろしくね!」


 「え!?オレの下ですか!?」


 「ふん。貴様の世界では女が上であろう。だがここではお前が上だ。商いの事を色々聞き、色々教えてもらえ。逆も然り。皆の者!集まれ!」


 信長さんが話を纏めると、ちょうど里志君、有沙さんが到着したみたいだ。そして気が付かなかったがここには、お歴々の方々が勢揃いしている。それは何故か・・・


 「父上・・・」


 「黙っておれ。


 うむ。よう参った。集まったな。これより・・・織田勘九郎の誠の初陣ぞ。明日・・・勘九郎の軍配で総攻撃を開始致す」


 「お、おめでとうございまする!」


 「おぉー!!将軍を倒し、新しき時代の幕開けですな!」


 みんなのおべんちゃらが凄い。勘九郎君は少しタジタジしているな。


 「見ての通りまだ何も分からぬ倅だ。以前、不発ではあったが初陣を済ませてはあるが、あれは初陣でない。誠の初陣は今回がそうよのう?のう?権六!」


 「はっ!勘九郎様の初陣は今回でございます!」


 「のう?長秀?」


 「はい!明日こそが初陣日和になるかと!」


 「サル!お前もそう思うよのう?」


 「はっ!間違いないかと!将軍には勇退していただき、新しき覇者はお館様に移り、京公家、公卿にはこの山中女豪商が相手仕ると・・・素晴らしきお考えかと!」


 これは酷い・・・なんという強権・・・なんという有無を問わせない質問・・・。


 「ふん。本質を知るのはサルだけか。皆の者!覚えておけ。作戦を伝える!第一陣はーー」


 オレも羽柴さんの言葉を聞き考える。本質・・・本質とはなんぞや?と・・・。確かに贈り物で釣るというのは有り得るだろう。だが、今更京都の公家連中を取り込まなくても織田家の京都での地位は確立されているのではないだろうか。


 「第二陣は美濃衆ーー」


 それにしても今更勘九郎君の初陣とは・・・ここに関しては大幅に歴史が変わったんだな。まぁどれだけ変わろうとこの世界は別の世界になると分かってはいるんだけど。


 「武蔵!」


 それにしても社長から渡されたドローンがそんなに嬉しかったのか、片手で埋むようにドローンを箱事持って、上手いこと話してる信長さん。


 「おい!武蔵!」


 鷹狩りも大好きな信長さんだし、何かドローンで新しい遊びを見つけそうだな。


 ゴツン!


 「話を聞かんか!このたわけが!」


 「痛っ!あ、すいません!」


 「ふん!由佳と申したな?お前と此奴の力で毛利と上杉に贈り物を早急に考えておけ!品は任せる」


 「え!?毛利と上杉ですか!?」


 「ここで毛利に動かれ、上杉に動かれると面倒だ」


 「分かりました」


 「お前と漆原、一ノ瀬はワシと共に来い。田中と由佳。綾子は・・・見えぬが、お前等3人は勘九郎と共にいろ。馬廻りにお前達も守るように言っておいてやる」


 「分かりましたありがとうございます」


 信長さんがそう言うと本陣後ろの目隠しされてるところに消えた。そこはオレでも許可がないと入れないところだ。


 「ふぅ〜・・・里志君、有沙さんおつかれー」


 「いやぁ〜、さすが武蔵だな!随分と慣れてきてるんだな」


 「まぁそれなりに長い事戦に参加してるからね」


 「俺は緊張しまくりだ」


 「確か・・・合田君の同級生の・・・」


 「あっ、社長すいません!こっちが同級生で親友の漆原里志君と、一ノ瀬有沙さんです!」


 顔はオレの肩に刺さった矢の件の病院で見た事あるはずだけど、話した事はなかったよな。


 オレは里志君、有沙さんの紹介をし、この戦の事を話し合う。まず毛利と上杉への贈り物の件だ。これは社長に任そうと思う。どう考えてもオレはキャパオーバーだ。オレは里志君達と戦に行かなければならない。それプラス贈り物を揃えるのは無理だ。


 「こやって甲冑着てるところみるとカッコいいわね!」


 「はい!?なに言ってるんですか!?」


 「ふふふ。見違えたよ!って事よ!合田君!絶対に死なないでね!私も私なりに頑張るからね!'合田社長!'」


 確かに信長さんはオレの下に社長をと言っていたけど、社長本人もそれを気にしていないのかオレを茶化してくる・・・。


 まぁ死なないでね!と言ってくれたがオレは死ぬつもりはない。むしろオレの部隊は誰1人として死なすつもりはない。卑怯と言われてもなんと言われようともアウトレンジ作戦がこのオレの部隊だ。


 接近されれば下がればいい。まぁだが今回に関しては圧倒的だろう。いったい何人くらい兵隊がいるのだろうか・・・信長さん本隊が到着して軽く3万は超えているんじゃないかと思う。対する将軍が居る槙島・・・よく居たとしても5千がいいところか・・・


 オレが将軍の立場なら降参してるだろうな。



 翌る日早朝に目が覚める。オレ達未来組はゲルテントにて快適なキャンプ・・・とは言わないが、そこらへんの足軽さんよりかはいい夜を過ごしたと思う。


 「武蔵!漆原!一ノ瀬!こちらへ来い!」


 「「「はい!」」」


 朝からご機嫌の信長さんだ。


 「見てみろ!どうじゃ!昨日、由佳に使い方を聞いたのだ!最新鋭の空撮ドローンと呼ぶらしいな!よんけぇー撮影らしいぞ!どうじゃ!いいだろう?クハハハ!!見てみろ!槙島の連中を!慌てふためいておる!」


 信長さんが上機嫌な理由・・・ドローンを操縦しているからだ。社長が確か夜に呼び出され、何か音は聞こえてはいたけどまさかこれとは・・・。


 しかもかなりドヤ顔だし。


 「さ、さすが織田様でございます!」


 「ドローンは中々私達でも操作が難しいのに!」


 里志君も有沙さんも何か分かったように持ち上げている・・・。


 「ほぅ?この画面とやらを見てみろ!石を投げてきよる!将軍の・・・これは奉行衆の1人か?勇ましくドローンに石を投げてきよるぞ!当たるものか!ワシのドローンは特別じゃ!フハハハハ!!!」


 ガチャン!!


 恐らくBluetooth接続してるのであろうモニターには奉行衆?と呼ばれる人が石を投げてきていたが、信長さんは当たらないと言っていたが、まさかの直撃・・・。


 オレと里志君、有沙さん、その他織田家の戦国武将ズの人達・・・その1人、オレ達の護衛役でもある柴田権六勝家さん・・・その柴田さんが『おはよう!』とオレ達に挨拶をしたと思えば、超超超不機嫌になっている信長さんを一目見て

・・・


 「う、うむ!我がテントに忘れ物をしたようだ!漆原!一ノ瀬殿!また後でな!」 


 と、逃げやがったのだ。謎に未だオレの隊に居る竹中さんに関しては、陣旗を捲って一瞬の間に踵を返す早業だ。

 

 「お・・・お、おお・・・おのれ・・・ワシの最新式のドローンを!!ワシの茶道具一式と交換してやったあのドローンを・・・」


 信長さん大噴火寸前な件について。


 これ程激怒してる信長さんを見たのは初めてだ。しかも一つ分かった事・・・信長さんがマジギレの時って口数が少なくなるのだなと思った。


 あの奉行衆の人は終わっただろうな。今オレがあの人にアドバイスするとすれば・・・全力で逃げて!!だろうな。


 オレは見てられなくなって、オレの部隊で秘密で運用していたドローンを持ってきた。社長が贈り物で渡したドローンは恐らくマジで高級なやつだと思う。明らかに大きさも違ってるし。だが、オレのもそこそこの値段したやつだ。


 「織田様!よければオレのですが代わりにお使いください!」


 「クックックッ・・・武蔵!お前の城持ちはこのドローンで確約された。あの奉行衆めを今から爆殺してやる!有沙!お前特製の一段と強い爆弾をこれに装着させろ!」


 あぁ〜・・・オレのドローンを神風アタックさせるのね・・・。


 「どうぞ!装着致しました!このドローンで飛ばせるギリギリのダイナマイトです。導火線も長くしております」


 「武蔵!これは操作は同じか?」


 「は、はい!」


 「一族皆根斬りぞ」


 信長さんの怖い言葉と同時に有沙さんが導火線に火を点けた。


 ブォーーーーーン


 信長さんは無言でそれを操作し、カメラにはさっきの奉行衆の人の他にも人が集まり、こちらに石を投げてきている。


 「・・・・・・・・」


 少し不気味なのが信長さんが無言だ。


 「5 4 3 2 1」


 有沙さんのカウントダウン・・・


 ドッガァァァァァァァーーーーン!!


 「勘九郎!旗を下せ!進軍開始致す」


 「は、はい!父上!」


 信長さんは本当は時間差で出撃予定だったのだと思う。だって甲冑とか着ていないし。けどその信長さん・・・先頭で駆け始めた。


 「遠藤!遠藤はどこだ!」


 「はっ!ここに!」


 「ワシの具足を持って来い!奉行衆め!許さぬぞ!!武蔵!漆原!有沙!遅れるでないぞ!!」


 突如始まる突撃・・・なんとなく・・・なんとなく分かった気がする。桶狭間の時はオレは居なかったし、金ヶ崎の時も居なかったから分からないけど、多分こんな感じでいきなり一騎駆けのような事を信長さんは度々していたのだろうなと思った。


 その背中を必死に追い掛けるオレ達・・・里志君は丹羽さんから貰った馬に必死にしがみ付き、有沙さんは柴田さんが何故か愛馬の白馬をプレゼントしてくれたみたいで笑顔で駆けている。オレはというと・・・


 「お、おい!武蔵!?なんで笑顔なんだ!?」


 「里志君ももう少しすれば分かるよ!信長様の世界を見てみたいと思わない!?オレはそう思う!だからずっとあの人の背中を追い掛ける!オレ達が作るのじゃなく信長様の作る未来が見たいんだよ!」


 オレは自然と信長様に心酔していたようだ。プレミアムチモシーをたらふく食べたであろう黒王号・・・それでも信長さんの小雲雀号には及ばない。だが、オレはこの黒王号で駆ける!

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