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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第二章
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戦国時代の女は強し

 買った!買った!今井さんがかき集めたプラチナをオレは現代の貴金属買い取りセンターに売り、800万近く持っていたわけだが、またもや残金400万と少しになった。


 まず密林通販サイトでチャージ式クレジットカードで約200万円分のレトルト食品及び戦国時代でのオレのお店の主力商品、缶詰各種をロット単位で購入したのだ。


 到着は明日だが置き配にしているためオレが居なくてもいいだろう。


 そしてあやめさんと2人でガソスタ周りだ。携行缶を山程購入し、これまた人海戦術だ。ジムニーに載せれるだけ載せて、軽トラに積み替える。そして、商品の到着を待っていたら今日の商いができないため、スーパーで朝っぱらから色々購入し、気付けば現金で200万ほど使ってしまったわけだ。


 他にも田中さんからの要望品の電動工具類一式と、有沙さんから新たに提案された兵器・・・ラジコン爆弾を作りたいからと言われ、電池式の安いラジコンを購入しまくった。


 それに個人的に興味があった工業用ドローンだ。これはオレの部隊・・・つまり甲賀隊みんなの安全を守るため今後、戦になっても斥候を出さなくてもこのドローンで偵察ができるからだ。


 後は今後いつ誰が来てもいいように贈り物用のガラスコップやお皿、甲賀隊の女衆の人達のためにシャンプー、トリートメントはもちろんのこと、化粧水やハンドクリーム、はたまた薬類なども購入している。


 戦国時代の女性は総じて強い。先日、仕事終わりにちょこっと戦国時代に向かった時の一幕だ。


 「合田様!お疲れ様です!」


 「あっ!くめさん!お疲れ様です!どうしました?」


 くめさんという女性は甲賀村に住んでいた女性だ。六角配下の時代に旦那さんを亡くしたらしく貧しいながらなんとか暮らしていたそうだ。40代半ばくらいの方だが、オレの家で下働きと言えば言葉悪いが雑用をしてくれている1人の女性だ。


 「本日はこちらで夕餉を取られますか?」


 「あぁ〜・・・どうしよっかな・・・」


 「まだ取られてなかったのですね!?本日は私の当番でして、よければお取りになっていただけませんか!?」


 「そうなんですね。分かりました!いただきます!」



 「うっ・・・」


 「どうされましたか!?お口に合いませんでしたか!?」


 出された物は肉じゃがらしき物だった。ジャガイモと肉は分かる。料理本を見ながら作ったのだろう。


 「・・・・・・」 「・・・・・・・」


 あの優しいあやめさん、いろはちゃんですら無言だ。


 味は・・・甘い。そう。ただ甘いだけなのだ。塩味がまったくない。イモと肉の砂糖漬けを食べているような感覚だ。正直食えたものじゃない。だが・・・真剣に作ったのだろう。くめさんの目がキラキラしてるのが分かる。ここは嘘でも美味いと言わなければ・・・


 「美味い!はい!かなり美味いですよ!」


 「まぁ!?良かったです!実は味見を小川の爺にしてもらったのですが『甘い!これならば我が君も喜ばれるだろう!』とお墨付きをいただいたのです!」


 なんだと!?小川さんがこの元凶か!?この甘いだけの物をオレが喜ぶと思っているのか!?


 「おーい!合田!居るのか?」


 「え!?佐久間様!?尋ねてくるなんてどうされました!?」


 「いや、京の知り合いの家に観賞用に植えてあるものなんだがこれは食えるのかと思ってな?お?見た事のないものだな」


 あの佐久間さん・・・例の事件がありオレはまだ心許していないが佐久間さん自身はもう何も思っていないようで普通に話しかけてきたりする。だが家を訪ねられるのは初めてだ。しかもこれはチャンスだ。三方ヶ原の仕返しにこのクソ甘いだけの肉じゃがを食わせてやろう!


 「よければどうです?佐久間様も」


 「おっ!いいのか!?」


 「いいですよ!くめさん!重臣の佐久間様だよ。お膳に入れてもらえる?あ、ちなみにそれは唐辛子ですよ。辛味が欲しい時とかに少し刻んで入れたりすれば食べれますよ」


 「そうかそうか!女!ワシのも頼む!」


 「・・・・・・・」


 「聞こえぬのか?」


 「嫌です」


 「「は!?」」


 オレと佐久間さんがハモった。いくら身分関係ないとオレの家では言ってるけど、あの織田家宿老、筆頭家老の佐久間さんだぞ!?その人を相手に拒否るのか!?さすがのオレでもそこまで直では言えない事だぞ!?それをくめさんが!?


 「こんな事言える立場ではないことは重々承知しております。打首と言うならば如何様にも受けます。ですがこれは私が合田様にと作った物でございます。合田様に平らげてもらいたく・・・」


 「そうか。一昔前のワシならこの場で無礼だ!と言って斬っていただろう。だが今は違う。他所の家の飯を食うとはこちらが無礼だったな。おい!女!こちらこそすまんかった。ワシは帰るから気にするな!」


 おい!くめさん!?オレの仕返し作戦をなんでぶち壊すんだよ!?それにこれをオレに食べろと!?鍋パンパンの砂糖が焦げた真っ黒い甘いだけの肉じゃがを!?


 

 と、このような一幕があった。戦国時代の人は女性でも考えを曲げる事は絶対にしない人も多い。くめさんがその最たる例だ。ちなみに例の肉じゃが・・・未来の冷凍庫に入れてある。


 涙ながらに頑張って、よそってもらった分は食べた。だがとても食い切れなかったため、未来でも食べると言ってあの時を切り抜けたのだ。



 「よし!荷物も揃ったしあやめさん!行こう!」


 「は、はぃ・・・」


 やはり車は怖いみたいだな。なんならまだまだ車購入してあやめさんにも運転してもらいたいんだけどな。


 

 ブォンッ


 オレはエンジンをかけてゆっくりクリープで納屋に入る。

何回行き来しても不思議な感じだ。納屋に入れば戦国時代に通じるんだから。


 「おぉ〜!!」「殿ッッ!!」


 「待ちわびましたぞ!!」


 「え!?黒川さん!?小川さん!?小泉さん!?ってかなんでこんなに人だかりが!?」


 「ははは!車だったか?それに乗りたいという奴が多くてな?一回5文で話はつけてある!さぁ!武蔵!俺も乗せろ!」


 「はぁ!?慶次さんは何勝手に話つけてんだよ!?」


 「できる男と言ってほしいね!さぁ!爺!あんたからだ!」


 「馬鹿野郎!ワシは爺じゃない!みんなみんな爺、爺と呼びやがって!」


 「あぁ!もう!分かった分かった!後ろにある荷物をみんな運んで!その後乗せてあげるから!!」


 「「「オォーーーー!!!」」」

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