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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第二章
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安倍晴明 最後の力

 「爺ちゃん、婆ちゃん!天国でオレの事見てるかどうかは分からないけどオレ今、戦国時代で頑張ってるんだ!みんなと!」


 「「・・・・・・・・」」


 オレはさっそく帰ってみんなに言われた不思議な力を持っていると思われている爺ちゃん婆ちゃんの写真に向かって手を合わせている。


 何故か自分自身ですら何か起こる事を期待している。だが、もちろん何も起こらない。当たり前だけど。


 「武蔵のお爺さん!お婆さん!俺からもよろしくお願い致します!」


 「私からもこの通りです!」


 一緒に帰って来た里志君、有沙さんもこの通りだ。だが、何も起こらない。


 「私からもお願いしようかしら?合田君のお爺さんお婆さん!車とか持って行きたいからお願いします!」


 「いやいや池田さんまで何言ってるんすか!?」


 「え?だって車持っていけたら便利じゃない?運搬車だっけ?だってあれ遅いでしょう?」


 「いやまぁそうですけど・・・」


 「なんでなのか知らないけど、合田君のお爺さんならなんとかしてくれそうな気がするのよね〜!会った事もないけど、なんかそう思うのよ・・・あら?」


 「武蔵・・・なんだか・・・眠く・・・」


 「私も・・・」


 バタンッ


 「ちょ!みんな!?どうしたの!?」


 里志君、有沙さん、池田マダムが急に倒れた。オレは慌てて3人に向かうが・・・・


 ピッカーーーーンッ


 すると急に明るくなり、そこには爺ちゃんと婆ちゃんが居た。


 「がははは!どうだ!武蔵!ワシ陰陽の力が使えるんだぞ!」


 「爺ちゃん!婆ちゃん!!」


 オレは懐かしく思い走って2人に抱きつこうとしたがそれは叶わなかった。すり抜けたようになったのだ。


 「これは武蔵の意識の中に入り込んでいるだけよ。それにお爺さんは陰陽なんか使えないからね」


 「婆さん!それは言いっこなしだと言ったではないか!?武蔵を驚かせてやろうって!?」


 チッ。死んでも嘘吐く爺ちゃんかよ!?少し信じてしまったじゃねーか!


 「呑気なものですね。私の力も無限ではないのです。早くしてください」


 爺ちゃん婆ちゃんの他に知らない人が居る・・・


 「不思議な顔をしていますね。私が安倍晴明です。この世界に通じる元凶と言いますか・・・その節はすいません」


 はぁ!?安倍晴明!?有沙さんが言ってたやつか!?マジか!?


 「ってか、安倍晴明様!?顔色悪いですよ!?大丈夫ですか!?」


 「実は・・・かなり無理をしています。術をこんなに短期間に連発するのは初めてでして・・・この合田友蔵氏が煩くて煩くて・・・」


 「おい!ヘボ陰陽師!なにが煩いじゃ!可愛い孫の願いくらい聞いてやりたいと思うのが普通だろうが!もう少し頑張りやがれ!」


 「爺ちゃん・・・・」


 「お前達の活躍はヘボ陰陽師を通してたまに見ているんだぞ!?あの女は車を持って行きたいそうじゃな。ツベの大きな女は特殊な機械だったな。漆原は船か」


 「本当に見ていたんだ・・・」


 さっきのやり取りが爺ちゃんの口から出てきてオレは驚いた。


 「合田殿!早くしてくだされ・・・」


 「ふん!本当にキツそうな顔じゃな!ヘボ陰陽師!確か漆原の入り口は変えられないと言ってたな!?ならワシの家の入り口を大きくせい!しがらみもそのままでいい!そうすれば枝分かれは多くならんだろう!」


 「簡単に言ってくれますね。どのくらい大きくすれば?」


 「そうだな。納屋は使ってなさそうだからな。納屋の入り口くらいか?」


 「・・・・・・・」


 「ヘボ陰陽師!おい!どうした!?安倍!?」


 バタンッ


 爺ちゃんと安倍晴明が迫真のやり取りをしていると急に安倍晴明が倒れ込んだ。

 

 「約束は果たしましたよ。合田殿・・・もう本当に力が残っておりませぬ。これで貸し借りはなしですよ」


 「よく聞いてくれた!武蔵!見ての通りじゃ!ヘボ陰陽師にワシの大きな大きな貸しをお前にあげたんだぞ!これからもワシを崇め讃えよ!がははは!じゃあな!」


 「あっ!ちょ!爺ちゃん!?婆ちゃん!?」


 ピッカーーーーンッ



 何がなにやら分からない感じに終わった。安倍晴明は本当にしんどそうな顔をしていた。ってか最後に言ってた納屋を入り口にって・・・本当にそうなったのか!?


 「うん?あれ!?俺どうしたんだっけ!?」


 「里志君!爺ちゃん達に会ったよ!」


 「え!?嘘!?どうだった!?おい!有沙!起きてくれ!池田さんも!」


 とりあえず本当に願い事が叶ってしまった・・・。これから更に大変になる気がする・・・。



 帰ってきたばかりだが、4人で納屋に向かう。オレ達が出入りしている里志君達のラボがある隣にあるトタン屋根の納屋だ。爺ちゃんが使ってた工具やらなんやらが入っていたと記憶してるが・・・


 ガラガラガラ・・・・


 「うん?なんだ?忘れ物か?」


 「あれ?慶次さん!?あれ!?里志君!?池田さん!?」


 そう言えば例の柵があるとか言ってたっけ?って事はこの入り口は魔法使いしか通れないのか!?


 「どうした?あやめなら蔵を整理すると言って外に居るぞ?」


 「う〜ん・・・」


 「俺達が通れない事以外は別に普通だな。ってか向こうの入り口が大きくなっただけで、仮にここに車持って来たとしても入らないんじゃない?」


 「あっ、里志君。オレもそう思う。池田さんはどう思います?」


 「試してみないと分からないわね。けど、なにかの超常現象で車が通ったとすれば・・・この部屋が壊れるわね・・・」


 「田中さんの出番・・・かな?」


 「うん。私もそう思う」


 オレ達4人は意見が一致した。みどりさんと夜ご飯を食べてる最中だが田中さんに無理矢理お願いして、廃材で車1台停められるくらいの小屋を簡単に作ってもらった。


 「えぇ〜・・・さすがに僕も疲れたよ。明日じゃだめなのかい?」


 「そんな事言わずに!!バイトリーダー!お願いします!」


 「みんな田中君ならできると思ってお願いしてるのよ」


 最初渋っていた田中さんだが池田マダムの田中君ならできると思ってという言葉を言うと動いてくれた。


 「そうか!そうか!僕ならできると思ってくれてるならばやらないといけないな!なんと言ってもリーダーだからね!みどり!少し待っててくれるかい?」


 「次郎様!かっこいい・・・」


 みどりさんは田中さんにゾッコンみたいだな。


 ものの1時間も経たずに簡単に小屋を作ってくれた。本当に簡単に廃材を鍵で固定しただけの小屋だ。むしろこんなのでいいと思う。そして、こちら側の戸をその小屋に固定すると・・・


 ピッカーーーーンッ


 「「「「「うをっ!?」」」」」


 全員がビックリした。発光したと思ったら小屋の中が現代の納屋の中が見える。


 「これは成功でいいのかしら?」


 「池田さん!車借りていいですか!?まず池田さんが運転して納屋に入ってください!」



 オレ達は何回もみんなが交互に運転して納屋から戦国へと行き来するよう試してみたが・・・


 「私もだめ。漆原君も一ノ瀬さんも田中君もだめ。後は合田君だけね」


 チッ。田中さんは魔法使いじゃなくなったという事か。


 「武蔵!俺は信じてるぞ!先にラボの入り口から向こうに行ってるからな!」


 里志君はオレなら行けると確信して先に向こうで待ってるようだ。そして意を決してゆっくり納屋に車を入れる・・・


 「きゃぁ〜!!」


 あやめさんの声がした。どうやら蔵の整理が終わったようだ。


 「ほら!成功した!やったじゃん!」


 「本当に凄い現象ね!」


 既に池田マダムや有沙さん、里志君達が向こうで待っていて、その横であやめさんが大嫌いな車を怖がっていた。


 「なんだ!?なんだ!?」


 「殿!?!?それはなんですか!?」


 「なんぞ音が鳴っておりますぞ!?」


 「小川さんに小泉さん!これは車という乗り物ですよ!」


 それからまた大変だ。みんなが乗りたい乗りたいと言って騒ぎ出したのだが、この車は池田さんの車だ。傷付けてもいけないからオレの車に今度乗せると言い、この日は帰った。


 ちなみにあやめさんも一緒に来ると言ったので連れて帰る事にした。


 「本当に入り口の拡張が成功したんだな。良かった良かった!」


 「里志君は他人事だと思って呑気だな。けど、これで更にやれる事が大きくなったよ」


 「もう遅いし今日は私は帰るね。明日からまた仕事だしね」


 「そうですね。池田さん!色々ありがとうございます!」


 「ふふふ。私は毎日が楽しいわよ!また週末にお邪魔するわね!あっ!それともし車買うなら由佳ちゃんの会社で買ってあげてね!社員だから安くしてくると思うわよ!」


 お金もあるし・・・また近々今井さんからプラチナ送られてくるはずだし・・・買ってやるか!

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