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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第二章
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いつもの日常

 岐阜に戻った後、残りのゴールデンウィーク中は久しぶりに、いろはちゃんやあやめさんと商いの方に力を入れる事とした。


 まずなんと言っても、オレが売る物を待ってる人が多いことだ。最初に売れると思って缶詰から商売を開始したわけだが、それは今でも朝一ですぐに売り切れてしまう。


 100個用意しようが、200個用意しようが関係なくすぐに売り切れてしまう。


 「すいません・・・缶詰は本日売り切れになりました」


 「なんでぃ!いつ来ても缶詰は買えないんだな」


 「申し訳ございません」


 いろはちゃんの謝る声が聞こえる。だが仕方がない。今日だって箱で購入した色々な缶詰400個と用意したのに1時間と経たずに完売なのだ。


 「御婦人様!大変お似合いですよ!」


 伊織さんの方は食べ物ほどではないが、足軽頭の奥さんやネットで調べればヒットするであろう織田家親族衆の女の人達に現代の服を売っている。そこそこ好調のようだ。


 いっぽう、池田マダムの方は袋ラーメンを横で作って、一杯4文とこれまた3軒隣の豆腐屋と同じ値段で売っている。


 未来なら食品衛生がなんたらとか柵が多いだろう。だがここは戦国時代・・・カセットコンロで作り、紙皿に入れて渡すだけだ。


 しかもこれがかなりの好評である。


 「おう!往来の者よ!俺は織田家の池田恒興である!らあめんの味は保証致す!怖がらずに食べに来い!」


 池田マダムには甘々な池田さんも加わりオレ達が居る区画だけ一際賑やかになっている。


 「幸ちゃん!?ラーメン3人前お願い!!」


 「はい!!」


 丹羽さんからつけてもらった池田マダムの護衛の幸さん・・・気付けば岐阜にまで来てずっと池田マダムの横に居る。その護衛までも商いに従事しているのだ。


 特にこの幸さん・・・初日には大目玉をくらっていた。缶詰は然る事ながら、カセットコンロに砂糖の袋、服、シャンプーや石鹸など見れば毎度沈黙したり大声出したりと忙しい人だった。だが、1日経てばこの通り・・・


 「そこの殿方!!チラチラ見るだけではなく食べにおいでなさい!今生味わった事のない食べ物だと保証するよ〜!」


 少し男勝りな言い方だし、口調もそうだが戦国時代らしい強い女性の呼び方が功を奏している。


 「おう!武蔵!帰ったんだな!」


 「あっ!里志君!有沙さん!柴田様!」


 「やっほ〜!あ!ラーメン売ってるんだ!私も食べて行こうかな!池田さん!3杯お願いできますか〜?」


 「あら?有沙ちゃんじゃない!オッケー!」


 「武蔵!聞いてくれ!とうとう船が一隻できたぞ!」


 「嘘!?マジで!?ってか早くない!?」


 「ははは。田中さんが動画をダウンロードして、みんなで見ながら作ったんだよ!後は、エンジンと軽油を更に持ってくれば量産できるぞ!それにしてもこの時代の大工衆の人達は凄いぞ!」


 里志君が熱弁して教えてくれた。ほぼほぼ寝ずの突貫工事をしていたようで、船の製作に取り掛かった人数は200人にも及ぶらしい。美濃奥地にて人海戦術で持って来た木の数々・・・里志君や有沙さんが塗り方を教えたFRP塗料、エンジンの取り付けは田中さんの必死な仕事だったようだ。


 「もう走らせたの?」


 「あぁ。那古屋でスロープ場を作り近場だけだけど既に走らせた。問題ないよ!田中さんに関しては、みどりさんと2人でクルージングしてたしな!田中さんはこれから船の本とか持って来て更に勉強して大型船とかも作ってみたいって言ってたぞ!」


 「やっぱ田中さんってすげーや。後でお礼と何か持ってってあげようか!」



 「あら?今日は商売してるんだ?」


 「噂をすればです!田中さん!ありがとうございます!そしておめでとうございます!」


 「ふふふ。漆原君から聞いたようだね。ようやっとだよ。いやぁ〜、それにしてもこの時代の大工の人達は熱心で凄いね〜!」


 タイミングよく田中さんの登場だ。みどりさんも横に居る。しかも手なんて繋いだりして・・・激しく爆ぜろ!


 それからみんなでラーメンを食べながら船の事を熱弁された。なんでも、既に2隻目を製作しているらしく早目にエンジンを購入してほしいとの事・・・


 「この時代で作ることに意味があるとは分かるのですが、持ってこれるくらい入り口が広ければいいんですけどね」


 「うん?なら武蔵君のお爺さんにお願いしてはどうなんだい?よく夢とか見てるって言ってなかった?ズルズル〜!池田さん!この三平ちゃん美味しいですね!」


 「あら?田中君はみどりさんの手料理が嬉しいんじゃないの?」


 いやサラッと田中さんはなに言ってるんだ!?爺ちゃんにお願いって・・・


 「そうだぜ?武蔵はよく婆ちゃんとか爺ちゃんの夢見るんだろう?仏壇に手合わせてみてもいいんじゃないか?」


 「里志君までなに言ってるの!?」


 「いやほら・・・俺達が作ったとはいえ、あの信長様は大きければ大きい方を好む人だろう?やはり未来のプロが作った方が間違いないんじゃない?」


 「そうよ!合田君?私も安倍晴明様にお祈りしてみるから言ってみようよ?入り口が広がるなら圧縮機や掘削機とか持って来たいんだよね〜」


 「いやいや有沙さんは何を作る気なんだ!?」


 「温泉を掘り当てたいし、圧縮機があれば弾だって何でも作れるんだよ!」


 聞いたオレがバカだった。


 「分かった!分かったよ!今日の夜に仏壇に手でも合わせてみるよ!多分何も起こらないとは思うよ!?」


 「「「頼むよ〜!」」」


 クッソ!田中さんも里志君も有沙さんもハモりやがって!


 

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