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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第二章
153/174

フリーダム女

 「長政様も義父上もそんな目の上のタンコブのような言い草はやめてください!今は敵対しているかもしれませんが兄上はこうやって最低限の交流は計ってくれる方です!」


 「そうです!父上!織田だからとすぐに無下にしてはいけません!」


 「チッ。もうよい。はよう目録を言え!」


 浅井側の3人が問答し、持って来た物の目録を言うように促されると、丹羽さん竹中さんがオレの方を見て軽く頷いた。


 「では・・・まず一つは酒になります。いわゆる・・・澄み酒と言われる酒です。続いて日持ちはしませんが食パンにーー」


 「澄み酒・・・諸白酒か!?」


 「え!?あっ、確かそうとも言いますね。ただ、これは更に上級の酒だと思いますよ。よければ今飲まれますか?」


 「なんだと!?何と贅沢な!なんでそのような贅沢な物を贈る事ができるのだ!?そんな余裕もすぐに武ーー」


 「こら!赤尾!控えよ!」


 「大殿・・・申し訳ござらん」


 本当に情報封鎖ができてるんだとオレは思った。この人達ですら未だ武田をオレ達が討ったと知らないんだな。


 「とりあえず続けますね。3品目はーー」


 オレが持って来た物は酒、各種パン、女性物の化粧水やファンデーション、和菓子各種、砂糖、醤油、カップラーメンだ。


 未来だとこれを贈り物に送れば頭おかしい奴と思われるだろう。だがここは戦国・・・儀式的な事なんかは現代より厳しいだろうが品物にとやかく言う奴は居ない。居ないというより言えないだろう。だってパンはまだ分からないが、他は絶対に初見だろうからだ。


 実は信長さんに出発前にこの贈り物リストを作ってる時に言われた事がある。


 「義弟が自らの考えでワシに敵対心を持っているならば是非もなし。その真意を貴様は聞いて参れ。もし左兵衛尉が幅を利かせ義弟を黙らせているならば離間させよ。義弟は器量のある男だ。今一度織田と共に来いと分からせろ」


 「織田様が自ら手紙で書かれた方が早いと思いますよ?」


 「チッ。一度はワシに楯突いた男にそこまで優しくはせん。仮に義弟が織田に今一度戻ってこようともただでは許さぬ!同腹の妹、市をくれてやったんだ。それを返しもせず連れて居るという事は未だ迷っておる証拠よ。左兵衛尉と義弟の離間が成功すればほぼ無傷で近江が手に入る。その後の統治も楽になる」


 「まぁできるだけ頑張ります。もし成功すればオレも褒美貰っていいですか?」


 「ふん。それは成功してからだ。何かは敢えて聞くまい。大方の見当はついているがな」


 オレが何を求めているか知られている感じだったけど、とりあえずこんなやり取りがあり、品物など全てを一任されたのだ。しかもこれは非公式の場だ。信長さんも口にはしなかったがお市さんの事をかなり心配してるのは分かっている。ただ・・・


 「長政様!これを食べてください!昔一度食べた事あるのです!南蛮の米のような物と兄上は言っておりました!こんなに甘いパオンは初めてでございます!」


 「ふっ。市は相も変わらず困った姫じゃ」


 「姫と言えば茶々姫と初姫が見えぬが?」


 「五郎左!茶々と初は本丸に居る!それと今1人やや子が増える!」


 「なんと!?これは吉報だ!お館様にも伝えなくてはな!」


 茶々、初とくれば残りは江だよな!?確か史実では1573年生まれだから今年か。まだお腹は大きくなってないんだな。いやよく見れば少し大きいかな?


 「数々の季節の贈り物の礼を言う!後程、返礼致す!さぁ帰っていただこうか」


 「父上!いくらなんでもそれは無礼にあたりますぞ!?」


 「長政!お前は何もわかっておらぬ!お前はこいつらが持って来た品が分かるのか!?明らかに銭にもの言わせた数々じゃ!」


 長政パパはお金にもの言わせたって言ってるけど未来で1万円も使ってないんだが!?なんなら、化粧水が1番高かったんだが!?


 こんな時でもさすが信長さんの妹と思うところがあった。


 「これ!女!恒の血筋の者なら知っていよう?これは何に使うのじゃ!?こんなビードロ見た事もない!中身がただの水なわけなかろう!?」


 長政パパと丹羽さんがバチバチやってる横で池田マダムに化粧水の事を聞いている。


 「はい!これは少量を手に出していただきーー」


 シュシュシュ


 「おぉ!?なんじゃ!?水かと思っておったがネバネバするぞ!?」


 「それを手や顔に擦り込むと綺麗なお肌になれますよ」


 「おぉ!見事じゃ!これは唐物かぇ!?南蛮の物かぇ!?」


 「えっと・・・合田君!?」


 池田マダムもこの好奇心には着いていけないのか。オレも少し苦手かも・・・。


 「某が説明いたしましょう。それはとある所にありますーー」


 「おぉ〜!これはまた見た事のない白粉おしろいじゃな!?これはなんというものなのじゃ!?」


 あぁ〜・・・紛う事なき天上天下唯我独尊さんの妹だ。これ程までに人の話を聞かないフリーダム女を見た事がない。池田マダムも少し引いてるし・・・。オレはドン引きだ。


 「ふん。この通り織田の姫は相変わらず元気だ。分かったなら帰れ!」


 この状態でどうやって離間作戦立てればいいんだよ!?無理ゲーじゃないか!?


 これはもしここに里志君が居たとしても無理なんじゃないかなと思う。まず1番に思ってたより長政パパの権力がありそうだ。次に表立った武功話の少ない長政パパだがオーラは本物って事だ。最後は長政本人の自分の意思が弱そうという風に見える。


 あの家康さんよりぽっちゃりの我が儘ボディーだ。だが、腹立つくらいに顔だけはカッコイイ。

 これはイメージ的な話だが、浅井長政といえば気高く、細身、高身長のイケメンのイメージがあったが実際はそんな事はなかった。いや、イケメンではあるが。


 まぁ明らかに失礼な事ばかり言ってくる長政パパだ。脅しだけかけておこうかな。


 「えっとですね・・・」


 「なんじゃ三下が。誰が直答してよいと言った」


 クッソ!クソジジイが!


 「ほほほ。左兵衛尉殿が三下と言った相手は今や織田家では飛ぶ鳥を落とす勢いの新鋭の者ですぞ」


 「ふん。そんな事知らん!たかが新参か新鋭かは知らぬが貴様名はなんと申す?」


 「織田家 相伴衆 合田武蔵と申します」


 「聞かん名だな。それに無官の男なぞ大した事ない」


 ぐぬぬ!今こそ声を大にして言いたい!オレが武田を屠ったのだぞと!!


 「これ!合田!兄上に伝えてたもれ!妾は浅井の奥として最後まで小谷に居る!どんな形になれどこの地は離れぬとな!立派に務めは果たすと伝えてたもれ」


 これはダメだ。お市さんも帰る気なしか。もう離間はいいや。ただ言われたまま黙ってだけは帰りたくない。特にこのクソジジイだ。


 「お市様のお心、確とこの合田武蔵がお伝え致します。それと・・・浅井左兵衛尉久政さんよ。あんただよ!」


 「なっ・・・貴様なんという口ぶりじゃ!無礼じゃ!」


 こんな言葉が出るということはやはり戦国に慣れてしまったのだろうな。確かに無礼だろう。だがオレは気にせず続ける。慶次さんはやれやれ顔だ。丹羽さんは目を瞑っている。竹中さんはニヤニヤしている。あやめさんはオレの後方にて中腰で居る。


 「無礼はどっちだよ!官位がなんだよ!こっちは季節の贈り物・・・しかも相当上等な物を送り届けに来ただけだ!それを大した事のないだとか早く帰れだとか舐めてるのか?」


 「貴様・・・」


 プルプルしてる人を初めて見た。この事を顔真っ赤!乙!というやつなんだろう。


 「こちらは礼儀を以て尽くしました。それを仇で返すのは浅井家のやり方なのですね。朝倉よりやり手だと思い、このような事をしたわけですがお館様の間違いだったようですな」


 いやいや丹羽さんも煽ってるのか!?


 こんな時でもアタフタしている浅井長政・・・。むしろオレはこの長政の方にイライラする。


 その瞬間・・・少し前に武田と相対したからなのかオレは殺気というのが分かった気がした。左兵衛尉が刀に手を伸ばそうとしたのが分かった。抜けばマジでここで乱戦になる。


 スチャ シュッ


 竹中さんとオレの行動が被った。オレは刀のように腰にぶら下げていたレミントンm870を取り出し銃口を向けた。竹中さんは左兵衛尉の右手をチョップするかのように動いた。


 「己等・・・なんの真似だ・・・」


 「ほほほ。なんの真似?そちらこそなんの真似でしょうかね?それを抜けば我等がおとなしくなると?もし勝機を感じるならば叫び、人を呼ぶと良いでしょう。だが、あなたが疑問に思っている合田殿が構えている物の火が吐きますよ」


 「竹中様すいません。帰りましょう。ただ・・・最後に一つ・・・浅井新九郎長政・・・あんただ。親の言いなりも時にいい事もあるかもしれないけど、現状あなたが浅井家当主だろう?織田様はあんたをかなり褒めていた。器量のある奴だと。だがオレはそうは見えない。親の傀儡だ。当主なら自分の意見をちゃんと通せ!もし考えが変わるなら秘密裏に手紙でも書け!すぐに来てやる!」


 「長政!話を聞くな!」


 「ふん。頃合いじゃ!帰るぞ!」


 タイミングよく丹羽さんが掛け声を出した。そのままの勢いでオレ達は佐和山城に帰った。


 

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