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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第二章
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動き出す元亀最後の年

 オレはまだ仕事を休んでいる。サボリと言われるかもしれないが、これは社長命令だ。ただ自分自身でもサボリだろうと思っている。だって体はもうなんともないからだ。


 戦国でも現代でも正月は終わった。今日は1月10日の水曜日だ。明日からオレも仕事復帰となる。ちなみに戦国の方は既に仕事を開始している。


 まず、例のバーベキューをした次の日に信長さんからこっぴどく怒られた。まぁ理由は分かるだろう。食いしん坊になった信長さん。


 『家臣等がバーベキューをする事に対しては何も言わん。だが、何故内緒にしたのだ?別にワシは貴様等なんぞとは食いたいなぞこれっぽちも思わん。思わんが、一言くらいあってもいいんじゃないのか?』


 要は呼ばれなかった事に拗ねているのだ。口調こそアレだが、扇子パタンパタンしてたから結構マジのやつだったと思う。今後は必ず声を掛ける事にしよう。 だって、羽柴さんや明智さんなんかは意味もなく登城させ、半日放置させられたらしい。

 徳川さんに関しては鷹狩りに一緒に行こうと誘いドタキャンしたらしい。よっぽどバーベキューしたかったんだと思う。


 そして、その信長さんが拗ねて、やっと復帰したかと思ったら、直後に各々に命令があった。まずは公家の人達には『ワシを通さず武蔵と連絡を取って良い。必要な物は具に言い、早くに発言力をつけるように』と言っていた。


 要は権力を早く取れという事だとオレは思っている。後、やはり武田信玄撃破の報は言うなとの事だ。現代ではsnsなんかで秒で広まるだろうがここは戦国時代。まぁ徳川家の人が京で言い広めれば分からないがそれはないだろう。


 徳川家の者が京に行くメリットがない。そして武田軍。武田軍はわざわざ負けたと言いふらしたくはないだろうから向こうは向こうで情報封鎖してるだろうと思う。だからオレの読みでは通説の通り槙島の戦いは年内に起こるんじゃないかと思っている。


 次に有沙さんと里志君だ。この2人は武器開発、既存の武器のグレードアップをする事となった。明智さんとだ。鉄砲は言わずもがな。テルミット爆弾も言わずもがな。


 既存の武器のグレードアップとは弓矢だ。弓矢をボウガンに入れ替えている。一長一短だがボウガンの方が修練が早い。信長さんもかなり喜んでいた。


 次に田中さんだ。田中さんにはまずオレの岐阜の家を改造してもらう事にした。断熱材や断熱シートを貼ってもらうためだ。寒い家は嫌いだ。


 「僕はみどりと一緒に尾張 株式会社 田中建設でも作ろうかな?ははは!」


 「ならオレが出資者になりましょうか!?ははは!田中さん!よろしくお願いします!」


 と、こんなやり取りがあり始まった家の改造。信長さんはまだ田中さんの可能性に気付いていない。寧ろ3人ともやってる事は凄いが、オレは田中さんを推したい。末端の人間のより良い生活は田中さんに掛かっているからだ。


 そうそう。甲賀村からそれなりに人がやって来た。小川さんや小泉さん達、主要な人達始め100人程がやって来た。


 これこそ住むところがないため、急遽テントを購入し寝泊まりしてもらっている。冬の外は寒いだろうから石油ストーブ、電気カーペット、布団をちゃんと渡している。ポータブル電源もフル稼働だ。


 最後はオレだ。オレは例のバーベキューの次の日に人海戦術を使い正月明け早々に大量の買い出しだ。戦国では恐らく有数の資産家と言えるくらいにお金はある。


 だが、現代の方は少し心許ない。だから骨董品や刀だけではなく古今東西、価値の変動が少ない金、プラチナをオレは欲している。


 この時代、南蛮の人達はプラチナを偽物のシルバーと言って捨てていたとネットで見た。捨てるくらいなら少しこちらがお金を渡し買い取りすればいいと思い、商人が集まる堺の今井さんにお願いしたのだ。


 「南蛮商人に偽物の銀があれば安く売ってもらうようにお願いします。今井様には必ず代金を支払いますので!」


 「偽物なんか集めてどないすんねや?」


 「あれは偽物なんかじゃないんですよ!上手く事が運べば今井様が居る堺納屋衆に献金してもいいと思うくらいですよ」


 「誠か!?任せんかい!千はんや津田はんにも言ってすぐに用意してやるさかいに!」


 今井さんは話しやすい。少し大阪の人みたいに気が早いようには思うけど。まだ会った事ないけど、千利休、津田宗及も動いてくれるなら展開は早くなるだろう。


 

 そして、池田マダムはとりあえずオレと一緒に商いをしてもらう事となった。池田マダムも戦国時代で自分のお金が欲しいとの事。言ってくれれば蔵一つ分くらい持ってってくれていいのだが・・・


 「このままいけば合田君もどこか城持ち武将になるでしょう?あのお金は使えないわよ。その城持ちとなった時は私も城下に大きい屋敷を建ててね!」


 「オレが城持ちすか!?いやまぁ、男なら一国一城をと言いますが・・・」


 「ははは!武蔵がどこかに城建てるなら俺はその城の支城の城主にしてくれよ!」


 「里志がそう言うなら私ももう一つ支城を建てて、女性初の城主になろっかな〜!この世界でその城は後世では三つ子城とか呼ばれたり!?合田君!楽しみにしてるよ!」


 「それならば私は武蔵様の影で働くクノイチの頭領になりましょうか!」


 「いやいやあやめさんまで何言ってるんだ!?」


 「おっ!さすが!武蔵の奥さんだな!〜城の裏番長的な!?」


 あやめさんはこの所オレ達現代人の話にもよく入ってくる。話し方も現代人と遜色ないくらいだ。その理由として、漫画をよく読んでいるからだ。もっぱら田中さんが持ってきた昭和の任侠漫画をよく読んでいるけど。



 まだ分からない未来の目標をみんなが語り合い、笑い、恐らくこの世界では元亀最後の年となるであろう1573年がやっと始まったような気がした。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >私は武蔵様の影で働く女クノイチの クノイチ=女(女という漢字は“くノ一”と書くことから生まれた言葉)ですから、「女クノイチ」だと意味が重なっています。
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