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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第二章
145/174

格の違い

 「っぱこれよ!これ!あやめさんもどんどん食べて!」


 「はい!ありがとうございます!美味しくいただいでおります!」


 「池田さんも食べてますか!?遠慮しないでください!」


 「ありがとう!食べてるよ!合田君こそいっぱい食べないと治らないわよ!」


 チロチロリン


 「メールだ。誰かな?うん?いろはちゃん!?」


 「武蔵様!いろはから何が!?」


 「えっとね・・・平仮名だけか・・・要約すると、徳川家と飛鳥井家から夕方に来訪があるみたい。けど、できれば早目に帰ってきてほしい。謝る事があるって・・・」


 「いろはは何かしてしまったのでしょうか?武蔵様!どうか、いろはを追い出したりしないようーー」


 「いやいやどんな事しても追い出したりしないから!池田さん?早目に食べて戻ってもいいですか!?」


 「いいわよ!急用みたいだし」


 チロチロリン


 「またメールか・・・今度は里志君?えっと・・・正月最終日だから夜ご飯奢ってくれ!?はぁ!?俺と有沙は武蔵の配下だから部下を飢えさせるな!?はぁ!?」


 「面白い子達じゃない!部下とはよく言ったね。今日は田中君も来るんでしょう?本当の内輪だけで食事会なんかもいいんじゃない?」


 「まぁ池田さんがそう言うなら・・・寒いけどバーベキューとかどうですかね!?」


 「賛成!!けど、戦国の人ってお肉食べられるかしら?」


 「そこなんですけど、意外に肉に忌避感はないみたいですよ?ね?あやめさん?」


 「ここだけの話・・・野鳥なんかは食べたりしてる方は多いかと」


 「そうなんだ?これも意外な発見ね!じゃあ合田君達を先に送るから私がお肉の用意しておいてあげるわよ!」


 「ありがとうございます!お金渡してーー」


 「いいのいいの!これは私の奢りだから!気にしないで!」


 少し問答があったが、結局肉は池田マダムが奢ってくれるとの事。お寿司5人前のお土産だけ購入し戦国に向かう。


 「じゃあすぐに私も戻るからね!」


 「池田さん!すいませんお願いします!あやめさん行こう!」


 このところドアを潜る時必ずあやめさんと手を繋いで潜るようにしている。何故そうしだしたかは分からないが、気付けば手を繋いでいる。


 「ただいま!いろはちゃん!?居る〜!?」


 「お帰りなさいませ。合田様!すいません!」


 「いろは!正直に言いなさい!何をしてしまったの!?」


 「お姉ちゃんもごめんなさい。実は・・・」



 「はぁ!?バッティングか・・・で、その飛鳥井家の人が優先しろと?謹賀の儀の時にその飛鳥井家の当主の人見たし少し喋ったけどそんな偉そうな人には思わなかったんだけどなぁ〜」


 「申し訳ございません・・・」


 「いや、いろはちゃんにオレの予定言ってなかったし全然気にしなくていいよ。そもそもそんな使い番の誰か知らない人は武家がどうとか下女とかいろはちゃんに言ってきたんでしょ?そんな人に会う義理はないよ」


 「ですが、今後合田様に不都合がーー」


 「いろはちゃんは気にしないで!公家か公卿か権大納言か知らんけど、そんな人はオレが1番嫌いな人だよ。徳川さんは綿花の事もあるし、今後もお付き合いはあるだろうけど」


 「後・・・これを・・・」


 「なにこれ?パン腐らせたの?」


 「え!?あ、いや・・・その使いの方が土産だと私に頂きました」


 「はぁ!?こんなの食べると腹壊すよ!捨ててしまいなさい!パンが欲しいなら言ってくれれば買ってくるから!なんなら作り方教えるよ!ホテル食パンからチョコパン、メロンパン、焼きそばパン何でも買ってくるから!」


 「ありがとうございます。では、徳川様に会いになられるという事で構いませんか?」


 「いいよ!徳川さんと会うよ。もし先にその飛鳥井家の人が来たら教えてくれる?徳川さんと話してても教えてほしい。一言言わないとね?一応これでも新参だけど、この一帯では合田家って有名になってきてるみたいだからね。あっ、それと明日また商いの買い出しするから明後日くらいから営業しよっか!」


 「畏まりました。大殿様が蔵から全部持って行かれてどうしようかと思っていまして・・・」


 「まぁ天上天下唯我独尊の人だからね。みーんな土産と称したり、ビンゴゲームの景品に出したからね。けど、多分かなり知れ渡ると思うよ!これから忙しくなるよ!」


 「はい!頑張ります!」


 「最後に・・・はいこれ!寿司だけど食べていいよ!」


 「ありがとうございます!いただきます!」


 いや一応5人前買ってきたけど全部、いろはちゃん持ってったけど食べるのか!?食べてもいいけどさすがに食べきれないんじゃないの!?




 「ふっん♪ふっん♪これをこうやって・・・」


 「武蔵様!炭用意しました!!」


 「ありがとう!そこらへんに置いておいて!火起こしは時間が掛かるから先にバーナーで火点けておこうかな!」


 オレは先にバーベキューの用意をしている。葛城さんの息子さんのお古だが全然使えるやつだ。冬風が少し強い中のバーベキューだ。だが、岡部さんが作った家は素晴らしい。


 まず塀が高い。1番近い家は明智さんではあるが、まず見えない。もう一つの利点は風は吹いてはいるがそんなにだ。


 ブォォォォォーーーーーー


 「わぁ!?それ凄いですね!どうなっているのですか?」


 「これはこの缶の中にガスが入っているんだよ。そのガスの力で火が出ているんだよ」


 パチパチパチパチ


 「武蔵様!火が点いたようです!それにしても上質な炭ですね!」


 この時代にも炭はある。あるのはあるのだが、品質が悪い。そして物凄く高い事。炭を作るのが上手い人とかは冬は裕福になれるくらい需要があるのだそうだ。


 明日の買い出しリストに入れておこうと思う。下々の人はこの炭で冬を乗り越えてくれたらなと思う。


 「合田様!徳川様がお見えになられました!」


 「了解!いろはちゃん!客間に案内してくれる!?コーヒーと何か茶菓子用意してくれる!?」


 「畏まりました!合田様は砂糖なしでよかったですか?」


 「うん!徳川さんのコーヒーはミルクと砂糖多めにしてあげて!」


 「畏まりました」


 この時代の人はとにかく甘い物が大好きだ。本来なら日本全国で年間150キロ程しか輸入できない砂糖だが、オレが来た事により砂糖は商店に出せば秒で売れる品だ。なんなら、砂糖10キロで城が一つ建てられるんじゃないかというくらい高値で売れる。


 初日こそここらへん一帯の領民に売りまくっていたが、信長さんにかなり怒られたのだ。『砂糖は他国の貿易や懐柔の手札として取っておく』と言われたのだ。


 せめて少しでも砂糖を下々の人にも知ってもらいたいため、小さな冷凍バッグ・・・所謂ジッ◯ロックに入れて少量ずつ売っている。


 オレは知っている。信長さんの私室の茶道具が入っている、隠し棚のところにグラニュー糖が10袋が隠されていることを。


 「徳川様!お疲れ様です!オレに話があると聞きましたが?」


 「うむ。いきなり押しかけてすまぬ。実は我が三河の産物を武蔵殿に御賞味してほしくてな?」


 「食べ物ですか?」


 「とある三河の村・・・一部の者が栽培して収穫するのだが・・・武蔵殿からすれば捨てるような物やもしれぬが、滋養にいいと言われている葛粉だ。白湯に溶かして飲むと身体に良いと薬師に聞いてな?ワシも飲んでおるのよ」


 「あっ!聞いた事あります!こんなにいいんですか!?ありがとうございます!おーい!いろはちゃん!葛粉もらったよ!」


 「コーヒーとプリンです。葛粉は甲賀では生薬に使ったりもします」


 「へぇ〜?そうなんだ!これは夜にでも溶かして飲んでみようかな?冷蔵庫に入れておいて!」


 「畏まりました。では失礼します」


 「ってか、いきなりどうしたのですか!?お返しなにも用意してないんですけど・・・」


 「いやいやなんのなんの!これはほんの'友'としての贈り物だ!これからも困った時や織田殿に話しにくい事などあればワシを・・・徳川を頼って欲しい!その代わりワシの悩みなども聞いてほしいのじゃ」


 なんか友のところを強調してきたんだけど!?裏があるのか!?オレもこの時代に慣れてきた方だ。すぐに勘繰ってしまう。


 「いやまぁ、一緒に戦った仲ですし徳川様が友と言ってくださるのは嬉しいっすよ」


 「おーい!来たぞ!合田殿は居るよのう?」


 本当に偉そうな人だ。多分、飛鳥井家の先触れの人かな?


 「徳川様、ほんの少しだけお待ちいただいてよろしいですか?飛鳥井家の人が来ると言ってたのですが礼儀のクソもなくてですね。我が家のいろはちゃん・・・嫁の妹を下女扱いしたようでしてね」


 「ワシはいつまでも待とう。待たされるのは嫌いではない。コーヒーとやらを飲んでいよう。ゆっくりな」


 鳴くまで待とうホトトギスとは本当の事か!?


 「合田様、例の飛鳥井家の方が参られました」


 「いろはちゃんありがとう。下がってていいよ」


 オレは玄関にゆっくり歩く。威厳を持たせるためだ。


 「お初にお目にかかる。麿はーー」


 「いやまず飛鳥井卿と会うつもりはありませんよ。あなたがどこの誰で何の功績を持っているか、官位もあるかもしれないけど興味もない。家の者を馬鹿にしたようだし、そんな人、正直嫌いだ」


 「え!?あ・・・いや・・・ですが、卿は既にーー」


 「そんなのこっちの知った事じゃない。勝手にあんたが進めたんだろう?徳川様を差し置いて飛鳥井と会えと。そんな我が儘な人と会うほど暇じゃない。では失礼」


 オレはいつからこんなスラスラキツイ言葉が言えるようになったのだろうか。これも戦国に慣れたおかげかな?


 「ちょ、ちょっとお待ちなさい!飛鳥井様は其方にーー」


 オレは一切振り向く事なく徳川さんのところに戻った。


 「おや?早かったな?大丈夫なのか?聞くつもりはなかったが少し問答があったようだが?」


 「えぇ。オレといろはちゃんを馬鹿にしていたようなのでこれくらいで罰は当たらないかと」


 一応、従二位と従五位の件も聞いたけど、徳川と飛鳥井が争ってもいかないしこれは秘密にしておこう。


 「それで徳川様はーー」


 オレが徳川さんと話そうとすると、使い番?先触れ?の人が秘密にしておこうとした事を大声で言い放った。


 「麿こそは従二位 飛鳥井雅教卿の御供衆 鳥丸鷹之助ぞ!従五位下なんかに会うよりよっぽど有益ぞ!」


 「合田様!申し訳ございません!帰るように言ったのですが・・・」


 「ふむ。今、ワシの事を馬鹿にされたように聞こえたが・・・」


 「徳川様、すいません。追っ払ってきます。飛鳥井様本人は普通の人だと思ってたのですが家臣?の人はゴミですね」


 徳川さんは少し顔色変えたがすぐに元に戻った。


 オレはドタドタ玄関に向かうと、ちょうど飛鳥井雅教本人が輿に乗り到着したようだ。そして・・・


 「うむ。卿が到着した!其方も喜ぶ話しーー」


 ドゴォォォーーーン!


 「「・・・・・・」」


 オレといろはちゃんはビックリした。だって飛鳥井卿本人が・・・


 「馬鹿野郎めッッ!!!誰が偉そうに話していいと言った!?あん!?貴様は追放だ!父御のツテで面倒を見てやっていたが今日という今日は我慢ならね〜!!おい!此奴を捨ててこい!」


 いやいや公家か公卿だろ!?武将か!?この人は!?

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