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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第二章
144/174

沢彦和尚の青春

 パチン パチン


 「合田さん?痛くありませんか?」


 「はっ!大丈夫っす!」


 パチン パチン


 「若いのに凄いね?うん。傷も塞がったようだし大丈夫かな?後はこのテープを貼って、1週間もすれば完全に治るよ」


 正月明け、今日は1月4日だ。本当はまだもう少し後に抜糸だったのだが、自分で見た感じ完璧に皮膚がくっついているように見え、なんなら縫った糸が突っ張って少し痛かったため病院に来た。


 すると、先生も驚くもう抜糸しても大丈夫との事で、今に至るわけだ。


 昨日まで凄まじかった。まずは池田マダムと一緒に沢彦和尚にお酒の作り方をコピーした紙を渡したわけだが、とにかく質問攻めが凄かった。


 なんせオレ達も酒は作った事がないからだ。なんとかコピーした紙通り見様見真似でしてもらうように言って、何をするにしても銭は必要なわけで・・・・


 「この氷砂糖と梅とこの紙の酒を瓶に入れ、暗い所に置いて半年くらいかな?そのくらい経つと酒が出来上がります。それが昨日沢彦和尚が飲んでいた梅酒ですよ」


 「なんと!?そんな簡単に出来上がるのか!?いや、そもそもこの紙の酒とは・・・破れないのか!?」


 「あ、まぁ破れないですよ。これは作り方とか分からないので、とりあえず酒作りだけにしてください!」


 と、まずは果実酒・・・簡単に梅酒を作り、それを軍資金に充ててもらう事となった。そして、帰り際・・・


 「綾子殿?少しよろしいですかな?」


 「うん?どうされました?」


 「いや、今度お時間がある時に少し・・・茶でもいかがですかな!?」


 「お茶ですか?構いませんよ」


 「本当ですな!?拙僧は常に瑞龍寺に居ります!近いうち文をお出しします!所はどちらで!?」


 「あ、私の家はないからこの合田君の家でいいですよ」


 「なんと!?家がないと!?」


 「今はまだ・・・けど、合田君が建ててくれるのよね?」


 「あ、確かそんな話しましたね。はい。すぐに建てるようにしますよ」


 「合田殿!!その家の場所はお決まりか!?えぇ!?お決まりなのか!?」


 「ちょ!どうしたのですか!?」


 「いや・・・これは失礼・・・少し取り乱したようですな。その話は拙僧も信長殿に言い、噛ませてもらいましょう。銭も拙僧が個人的にお出ししましょう」


 こんなやり取りがあった。まぁ、恋愛素人のオレでも分かる。沢彦さんの宗派・・・確か臨済宗だっけ?その臨済宗が妻帯を許してるかは分からないけど今、沢彦和尚は恋してるな。


 

 「お疲れ様です!武蔵様!」「早かったわね」


 「あやめさん、池田さんお待たせ致しました!処置が終わりました!」


 病院には池田マダムとあやめさんが着いて来てくれている。何故、池田マダムまで来てくれたかと言うと、色々な人から貰った数々の美術品を換金しなくてはいけないからだ。


 オレが家に飾ってもいいけど、オレにはそのセンスがない。なら有効に役立てようと思ったのだ。池田マダムが教えてくれたのだが、一月に一度、刀や槍など古物オークションというのが開催されているらしい。


 「何か食べて帰る?」


 「そうしたいのは山々ですが、帰って先に選別しませんか?」


 「それもそうね。合田君はみんながお近付きになりたいのか、かなり色々な物貰ってたわよね?相当な金額になると思うわよ?それに武田信玄から貰った刀あったでしょう?パッと見だけど恐らく宗三左文字だと思う」


 「宗三左文字・・・有名ですか?」


 「宗三左文字は、鎌倉時代から南北朝時代頃に活動していた、左文字派が作刀した刀なの。左文字派は打った刀に『左』の一字を切ったことから、左文字と呼ばれるようになったのよ」


 「へぇ〜!さすが池田さんですね!」


 「けど、本物は焼失してるんだよ。けど、まあまあな数が作られているからまさか武田信玄の愛刀とは思われないでしょうね。私が鑑定書なんかも手続きしてあげるわよ」


 この鑑定書・・・実は意外にも簡単に作ってもらえるものなのだ。


 池田マダムに教えてもらった、※日本刀華保存会ってところが一月に一度、刀剣の鑑定会ってのをしているらしく、そこで鑑定書を貰えるらしい。ちなみに、この鑑定会は申し込めば一般人でも参加可能なのだそうだ。まぁオレは池田マダムにお願いするけど。その日本刀華保存会の会員に池田マダムが居るのだそうだ。


 なんでも、この団体?会?の中に元、文部科学省の人も居るらしくそれなりに信用されている鑑定書を発行できるみたいだ。


 この鑑定書があるのとないのとではかなり金額が変わるらしい。まぁこれは池田マダムに任せよう。


 「オレが2人に奢りますので寿司でも食べて帰りましょう!池田さんには今回の刀や茶道具など換金してもらう手間賃の先払いです!あっ、ちゃんと現金も渡しますよ!」


 「面白い事言うわね?今回は少し手間が掛かるから合田君の優しさに甘えようかしら!なんなら私のアトリエも評判になるかもしれないしね!」


 現在、池田マダムのアトリエには戦国時代・・・いわゆる安土桃山時代の物も多数あるが、海外の物も多いらしい。それが、オレが色々融通してるから戦国時代の物がかなりアトリエに並んできているみたいだ。


 この茶道具、着物、刀、短刀、屏風など歴史物蒐集家ではあのアトリエはまあまあ有名なところなのだそうだ。オレが現れてからメールでの問い合わせが5倍くらい増えているそうだ。


 「あやめちゃんも忍びなんでしょ?なにか要らない秘密道具とか売ってくれないかしら?」


 「秘密道具ですか!?例えば・・・水遁の術に使うものでしたら武蔵様の家に一式置いてありますが・・・」


 「え!?本当にあるの!?それはどんな物なの!?」


 池田マダムは多分、話の継ぎ合わせで聞いた事だろう。まさか本当にあるとは思っていなかったのかな?オレは出会った最初の頃忍術というのを目撃した事がある。瞬脚とか言ってた超移動や、どこからともなく現れる術だ。まさか水遁があるとはオレも思わなかった。


 「またお家に戻ればお見せ致します」


 「ちょっとそれはオレも気になるかも!あやめさんの術は凄いからね」


 「そんな褒められてもなにもでませんよ!クスッ」


 そんな和気藹々としながら回転寿司を食べるため店に入った。




 「漆原様!これはどうやって使うのですか!?」


 「うん?菊ちゃんか。それはね、ここを押すと映し絵が出るんだよ」


 「すごーい・・・」


 「ははは。可愛い反応だね」


 「里志〜?なに合田君の家の子をナンパしてんのよ!」


 「違うって!嫉妬してんのか!?」


 「ばか!」


 「有沙だって柴田さんと仲良さげじゃないか!?」


 「勝っちゃんの事?別に普通だよ?あの人、あんなに怖く見えるのにかなり優しい人だよ?里志の事を鍛えてやらないと私の事守れないだろうって言ってたよ?」


 「いや、確かに優しい人とは知ってるけど・・・」


 「えぇ〜!?里志こそ嫉妬〜!?」


 「チッ!なんでもない!」


 「漆原様、一ノ瀬様!失礼します」


 「うん?いろはちゃん?どうしたの?」


 「明智様がお見えになっております」


 「武蔵じゃなく?俺達に?」


 「はい。お二人の家の事と武器開発の加工場の件と先触れの方が言っておりました」


 「分かった!会うよ!今日は武蔵は夕方くらいまで戻らないから俺達は俺達で動こう。それにしても戦国時代の正月は短いな」


 


 〜いろは目線〜


 ふぅ〜。漆原様も一ノ瀬様も優しい方で気が楽だ。けど、私のような下賤な身分の者が合田家の応対役を任せられるとは・・・もっと頑張らないと・・・。


 「じゃあ、いろはちゃん!行ってくるよ!」


 「いろはちゃんもまだ正月なんだしゆっくり休みなよ?あっ、冷蔵庫にシュークリーム入ってるから消費期限今日までだったと思うから食べていいよ!」


 「一ノ瀬様!ありがとうございます!」


 「違う!名前で呼んでって言ってるじゃん!ね?」


 「は、はい!有沙お姉ちゃん!ありがとうございます!」


 「お姉ちゃんはいらないって!まっ、そういうことだからじゃあね!夜ご飯は正月最終日だし合田君に言って何か買ってきてもらおう!」


 「おいおい!いくらなんでも可哀想じゃないか!?」


 「だって、私達の殿なんでしょ?部下の要望は聞いてもらわないと!」


 「まっ、それもそうだな!後で武蔵にメールしてみるよ!」


 一ノ瀬様も漆原様も合田様ととても仲が良いご様子・・・こんな日々がずっと続けばいいのに・・・


 「御免!合田殿の家で間違いないか?」


 「はい。合田武蔵様の家ならここです」


 「うむ。某は徳川家の使い番にて。我が殿が合田様に話があると言っておられるのだが都合の方はいかがか?」


 「えっと・・・合田様は夕方には戻られると聞きましたが、お約束はされてますでしょうか!?」


 「そこは聞いていない。なら夕方に直接参っても良いだろうか?」


 「えっと・・・」


 「うむ。大丈夫だな。確と言伝を頼む。御免」


 どうしよう・・・夜のご予定聞いてなかったから答えられなかった・・・勝手に決められてしまった・・・


 「失礼するぞ!」


 今度は誰!?なんで1人の時にこんなに来訪があるの!?


 「はい!」


 「うむ。そこの女!ここは合田殿の家で間違いないか?まぁ今しがた聞こえたのだが徳川殿の使い番とも問答しておったようだが」


 「はい。合田武蔵様のお家にございます」


 「ならばよし。伝えてくれるか?麿は飛鳥井雅教様の使いである!ほら!たかが、下働きの女が頭が高いぞ?」


 「申し訳ございません」


 「飛鳥井家は代々、権大納言を継がれる家柄。その方がお高く口を聞くなどとは言語道断。これだから武家の家は下女まで教育が成ってないから嫌いなのだ。徳川家より早く会えるよのう?」


 「いやそれは・・・」


 「ほう?従二位の飛鳥井家を差し置いてでも、従五位下の徳川家を優先すると?」


 「そう言われましても・・・」


 「分かっていないようだな?お主は黙って麿の言う通りにすれば良いのだ。分かったな?まぁ、ただというわけにはいかないであろう?これをやろう。わざわざ麿が京より持ってきたパオンのかけらをやろう。其方では一生口にできぬ物だぞ?では夕刻に参るからな」


 どどど、どうしよう・・・しかもパオンのかけらって・・・今朝食べた食パンの方が何倍も美味しそうなんだけど・・・あの人は合田様とは会った事ないのかしら!?


 とにかく!合田様にお伝えしないと!めいる!めいるをしよう!


 

※ 日本刀華保存会


架空の団体です。

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