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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第二章
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謹賀の儀3

 「遠藤!誰もここに入れるな!」


 「はっ!」


 「織田様?いきなりどうしました!?余興とは!?」


 連れて来られた場所は宝物庫かな?信長さん自身もあまり入るところを見ない部屋だ。というか、信長さんの私室の隣にある部屋だ。


 「まずは・・・ここにある品はお前には古臭い物と見えるやもしれぬが、唐物、シャム、南蛮の物だ。好きなのを選べ。浜松の褒美じゃ」


 「え!?選んでいいんですか!?」


 「さすがのワシでも未来とやらでは何が価値があるかは分からぬからな。本人に選ばせる方が1番理に適っている。遠慮はいらん!」


 まさかまさかだ。刀、西洋の鎧、木箱がたくさん、掛け軸に屏風、花瓶?そしてかの有名な地球儀みたいなのもある。


 「ありがとうございます!どれどれ・・・へぇ〜!貴族が着るような服もあるんですね!やっぱ刀が・・・いやいや間違いないのは茶入れとかの方がーー」


 「遅い!はよう選べ!」


 いやいやゆっくり選ばせてくれよ!?せっかく優しい上司かと思ってたくらいだぞ!?


 「これにします!」


 「ほう?意外だな?てっきり、貴様はこういうのを選ぶかと思ったんだがな」


 そう言って信長さんは鷹の剥製?を手に持っていた。


 「いやいや要らないっす!!凄い綺麗な剥製だとは思いますが使い道がないです!」


 「そうか。これはワシが若い時に父御から譲り受けた鷹だ。それをとある者に言って蝋で腐らぬようにしてもらったのだ。こいつは中々に賢かったやつでな?ひと段落すれば貴様も鷹狩りに連れてってやろう」


 いやその鷹が凄いとは分かったけど、別に鷹狩りに行きたいとは一言も言ってないんだが!?


 「あ、ありがとうございます。楽しみにしておきます」


 「ふん。それを渡せ。フロイスから貰った南蛮の服だ。皆の前で渡してやる。それで貴様がどれほど重用されておるか分かるであろうよ。それと・・・びんごげえむとやらをやる!一ノ瀬が絶対に楽しいと言っておった」


 「え!?ビンゴゲームですか!?カードとかは!?」


 「これであろう?一ノ瀬と漆原がダンキーで買ってきたとか言っていたぞ?」


 これまた用意周到だ。たしかにダンキーの黄色い袋に入ってる。ビンゴゲームのセットだ。


 「景品はどうしますか!?」


 「ワシに任せておけ。悪気はないが貴様が城に持ってきたビードロの湯呑みや上質な布を用意してある。それと貴様が商いで売っている食い物だ!あやめの妹に言い、蔵の物全て貰ったぞ。銭は渡してある」


 は!?蔵の物全部だと!?オレがどれだけ動き回った持って来たものだと思ってるんだよ!?はぁ〜・・・また年始早々から買い出しかよ・・・。


 「分かりました。ルールとか・・・決まり事とか分かりますか?」


 「知らん!よって、貴様に進行を任せる!皆が喜ぶびんごげえむとやらにせよ!成功すれば貴様の名は売れ、商店の名も売れるであろうよ!ははは!」


 無茶振りだわ。

 


 オレと信長さんが部屋に戻ると急にみんなが静かになる。その後ろを着いてくる遠藤さんの手には南蛮の服と武田信玄から貰った刀が持たれている。


 オレが南蛮の服を貰った理由・・・簡単だ。怪しまれずに未来で高く売れそうだからだ!種銭が心許なくなってきたし、ちょうどいい軍資金くらいになってくれる事を祈る。池田マダムに買い取ってもらう事はもうできないから、どこかで売らないといけないな。


 「ってか、有沙さん?里志君?なんでまたビンゴとか教えたの?」


 「うん?いや、なんか面白い余興はないかって聞かれたからビンゴなら分かりやすくていいと思ってさ?それに数字の勉強にもなるだろう?あ、景品は武蔵の持ってきた物が良い!と言ったのは有沙だぞ!」


 クッ・・・その案は有沙さんだったか・・・。


 「面白いでしょ!いろはちゃんのお店も繁盛するかもしれないし、名前も売れる!商品も知って貰える!良い事ずくめでしょ!キャハッ♪」


 キャハッ♪じゃねーよ!オレがどれだけ動いたと思ってんだよ!しかもどんだけ酔ってるんだよ!?


 「一ノ瀬嬢?そろそろ酒は辞めた方が・・・」


 「なーに?勝っちゃんも飲みたいの?はい!どうぞ!酎ハイだよ!」


 「なっ・・・そ、某がお、女子に・・・しかも護衛という立場で酒を貰うなど・・・」


 「いや、柴田様?別に未来では酒くらい女からも普通に貰いますよ?有沙は少し酔いすぎですが別に飲んでかまいませんよ?」


 このところ気になるところがある。有沙さんと柴田さんとの仲だ。里志君は気にしていないようだけど、オレは少し気になる。


 有沙さんと柴田さんのやり取り・・・他のみんなもビックリしてる顔だ。なんせオレもビックリしてるからだ。


 「おい!一ノ瀬!お前が考えた余興の前ぞ!あまり酔いすぎるなよ!ふん!頃合いじゃ!武蔵!始め!」


 「は、はい!」


  オレは信長さんの横に立ちみんなに静かにするように言ったがこれが中々静かにならない。


 遠藤さん筆頭の小姓の人達が景品の酒や缶詰、コップやタオル、服とか色々持って来ているからだ。


 「さ、里志君!手伝って!」


 「お、おう!」


 「みなさん聞いてください!これより決まり事を説明致します!」


 クルクル数字が書かれているボールを回す。そして出て来た数字の所を捲るだけだ。現代人なら誰でも分かる事だろうが、この時代の人はそう簡単にはいけない。


 まず数字が分からない人も居る。この謹賀の儀に呼ばれている人はそれなりの家柄の人だから教養はある人が多いが、アラビア数字は未だ織田家でも一部の人しか分かっていない。


 「ちょうどいい余興だろう?これよりこの数字を織田家では常用する事と致す!皆は知らなくて当然!この余興の中で覚えると良い。後ろの品は皆に行き届くように考えている!案ずるな!これより騒ぐやつは手討ちぞ!」


 あ、うん。何気に信長さんが1番楽しみにしてるんだな。とりあえず・・・始めようか。

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