表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第二章
135/174

池田マダムの商売人顔

 「ななな、なんですか!?ここは!?」


 「え?オレの家すけど?もう少しすれば引越ししてしまうかもしれないですけど」


 「いやいやそんな事ではありません!」


 「和尚!燃えております!何か得体の知れぬ物が燃えております!」


 「あ、それストーブですよ。外は寒いでしょ?暖房は電力消費が大きいからエアコンはつけてないんですよ」


 「合田様、お客様ですか?」


 「いろはちゃん、おはよう。いいよ。オレが連れて来ただけだから、いろはちゃんは今日はゆっくり休んでていいよ」


 「なっ!にょ、にょ、女人殿!!その霰もない御姿で出歩くのではございませぬか!?やめなされ!合田殿!この年端のない女人をこ、こ、このような姿で働かせておるのか!?」


 「えっと・・・雲斎さんでしたっけ?うちではみんなこんな感じですよ?」


 いろはちゃん・・・オレが持ってきた現代の半袖短パンという出立ちだ。オレは寒いのが嫌いだ。だから石油ストーブを20台持って来ている。断熱材も断熱シートもない木造家屋。隙間風でだけでも寒い。だから、石油ストーブをジャブジャブ使い暖めている。どうも、この暖かい部屋は、いろはちゃん達戦国の人は暑いらしく真冬でもこのような姿なのだ。


 現代人のオレからすれば普通の真夏の格好だ。


 「雲斎!ここは合田殿のお家です。拙僧達が口を挟むに値しません」


 「まぁそう言っていただけると助かります。とりあえず客間へどうぞ」


 「武蔵様?私がお茶でも・・・」


 「そうだね。あやめさん?蔵から何種類かの酒と、茶菓子でも用意してくれる?」


 「畏まりました」


 そうこう玄関で話していると池田マダムが起きたみたいだ。


 「う〜ん。合田君おはよ・・う・・あ!?お客様だったかしら!?ごめんなさい!」


 「あっ、池田さんおはようございます!」


 「な・・なんと・・・美しい・・・」


 「「「え!?」」」


 思わず、オレ、池田マダム、雲斎さん3人がハモった。


 「あ、いえ。お気になさらず。拙僧、瑞龍寺の僧 沢彦宗恩と申します」


 「えぇ〜!?沢彦和尚様ですか!?」


 一際大きく驚いた池田マダム。確かにオレでも知ってるくらいではあるけどそんなにか!?


 「如何にも。拙僧がそうではありますが、どこかでお会い致しましたかな?」


 「いやいや初見です!合田君!沢彦さんも知り合いなの!?」


 「いやいや、領民にお酒を振る舞っていたので少し話し込みまして・・・これから少し酒の事を話そうかとーー」


 「私も同席していい!?いいよね!?」


 「え!?あ、まぁいいですけどどうしたのですか?」


 「なにやら拙僧に興味がお有りのようですな?どうぞご一緒に合田殿のご講義をお聞きしましょう」



 「いやぁ〜実に美味い!沢彦和尚!この梅酒なる物は今生味わった事のない酒です!」


 「雲斎!静まりなさい!合田殿に失礼ではないか。合田殿、すまない。雲斎は拙僧が育て上げた門徒でしてね?いやそれにしても実に美味い。酒精もさる事ながらこんなに甘い酒があるとは・・・」


 「沢彦さん?良ければこちらもどうぞ!」


 「あ、いや、申し訳ない。いただきまする。それにこの乾き物といいましたか?まさか柿の種をこのように加工できるとは・・・いやはやこの愚僧の知らぬ事ばかりで・・・」


 多分盛大に勘違いしている。柿の種と教えたけど、本当の柿の種と間違えていると思う。それに・・・


 「いや・・・女人殿にお酌をされるとは・・・煩悩が・・・」


 これだ。沢彦さん・・・坊主だから仕方ないかもだけど女性に慣れていないな。


 別にそこまで厳しくしなくてもいい気はする。坊主になれば女は抱けないわ肉は食えないわで大変だろう。けど、それをみんな守れば猪や鹿で畑は荒らされ、寺の跡取りは居なくなるのじゃないかな?


 「これが当初言っていた清酒です」


 「「これはッ!?」」


 「まさか!?諸白酒・・・」


 「え!?諸白酒!?いやまぁそんな大した物かどうかは分かりませんが間違いなく皆様の酒より澄んではいると思います」


 「合田殿!!この作り方を是非にっ!!」


 「別にいいですよ。ただ、これの作り方を教えたからと言って、オレもこれは売りますよ?」


 ここからは商売の話だ。金は必要ないと思ってはいたが、これから人が増える。つまり、やはり金は必要だ。


 「いやそれはいくらで売る予定なのですか!?武家相手にですか!?」


 「いや、武家にも売ったりはします。けど、オレは1番は領民の人達に売る予定です」


 「合田君?ちょっといいかしら?」


 オレがそう言うと池田マダムが耳打ちしてきた。


 "酒の利権は合田君が思ってる以上に大きいわよ。しかもこの清酒の作り方とか教えると命を狙われるレベルになるわよ?"


 "え!?そんなにですか!?"


 "えぇ。特にこの時代の僧とは酷いと私は思う。この沢彦さんはそう思えないけど。だから、その利権に私達が食い込むのよ!私に任せてもらえないかしら?悪いようにしないから!"


 "分かりました。お任せ致します"


 「なにか・・・不都合でも?」


 「いやいやいや!オレだけでは力不足ですので!この池田綾子さんがこれより話を仕切ります!なんとこの池田綾子さん!池田恒興様の縁戚の方ですよ!」


 「なんと!?あの三郎殿の乳兄弟の池田殿の御縁戚とな!?」


 「一応そうです!けど今はそんな事は置いておきましょう。私もお酒の作り方は分かります!ですので、私が教えます!その代わり売れたお酒の利をこちらに渡してもらうのはいかがですか?もちろん他の誰にも製法は教えません。つまり瑞龍寺がこの酒を独占できるのです。天野酒?諸白酒?古い!古い!と来年には言えるようになるでしょう」


 池田マダム・・・社長並みに経営手腕があったのか!?商売人のような顔なんだが!?


 「これはこれは・・・女人殿と言えどやはり血筋ですか・・・戦人のような顔付きですな。我等は坊主。銭儲けの為にと思われるやもしれませぬが、我が瑞龍寺は弱気者のためにーー」


 「あぁ、それは今年中に変わりますよ。坊主だから金儲けしてはいけないと心情的には思うでしょうけど、やはり生きるには銭が必要ですからね。寄付や布施だけで生きる事は難しい。念仏唱えて暮らせるならオレもそうしてます。悪いようにはしません。ここは池田さんやオレ達に巻かれてみませんか?」


 気付けばオレ達が詰問してるみたいになっていた。


 「この感じは三郎殿が桶狭間で今川公を討った時のような・・・」


 「え?なんですか?」


 「いやいやこちらの事。では拙僧は合田殿に全て任せていいと?」


 「正確には酒に関しては池田さんです。オレは弱者の方達の面倒です」


 「お任せ致します。よろしくお頼み申し上げます」


 意外にも早く話は纏まった。さて・・・オレは帰ってネットで酒作りのプリントしてコピーでもしてこようかな。これで池田さんもこちらでお金稼ぎできるしな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ