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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第一章
130/174

懸かれ柴田の苦悩完

 「殿ッッ!!!お帰りなさいませ!!」


 「我が君!お帰りなさいませ!」


 「ただいまです!みんな揃っているようですね」


 「合田様すいません!皆に寿司をお出ししたのですが・・・・」


 「は!?もうこんだけしかないの!?」


 「はい・・・1人何個とは聞いておらず特に何も言わずにお出ししたのですが・・・申し訳ございません!」


 「いやいや、いろはちゃんが謝る事じゃないし、怒っているわけではないから!驚いているだけだから!」


 これが合田武蔵の隊の者か・・・。元は甲賀の草だった奴達と聞いている。だが草があんな笑顔を人前で見せるか?草は感情を殺す訓練から始めると聞いている。


 「我が君!ワシは50個食べましたぞ!!」


 「小川の馬鹿めが!ワシは52だ!」


 「な、なにを!?小泉め!実は55個だ!」


 「ふん。騙されおって!ワシは57だ!まだまだヒヨッ子だな!」


 この2人はなんて奴だ。我が柴田家でこんな事すれば切腹とは言わぬが1ヶ月雑用をさせてやるのだが・・・


 「2人とも食い過ぎです!いや食べるのはいいんですけど、竹中様も後で来るし、なんなら柴田様も居るんですよ!?みんなを労う為の寿司ですけど・・・あぁぁぁ!?なんでタコばっかこんな残ってるんですか!?」


 「食感が苦手なのですじゃ!」


 「同じくワシは見た目が・・・」


 「あぁもう!サーモンだけなくなってるし・・・。里志君?ごめん。ちょっとサーモンとマグロだけ買い足ししてくるよ。この場は任せていい?」


 「あ、あぁ。いいけど大丈夫か?俺も行くぞ?」


 「いいよ。いいよ。動画のために柴田様と話すんでしょ?少しつまみながら食べててよ」


 「分かった。気をつけてな」


 合田は側勤めがするような使い走りを自らするのか。


 「武蔵様!私も!」


 「いいよ!あやめさん!行こう!」


 なんと!?まさか妻と買い物に行くのか!?恥ずかしくないのか!?


 「ま、まさか!?鬼柴田・・様・・・」


 「草がどうした?今暫くはこの漆原と一ノ瀬殿の護衛となった柴田だ。合田と仲が良い2人だ。其方等とも顔を合わす事が多くなるであろうよ。気にするな」


 「は、ははぁ〜!」


 別に某の配下ではないからそこまで気にはしなくてよいのだがな。まさか!?まさか・・合田は草に舐められているのか!?それならばあの軽口も分かる。


 これから共に織田家を支える男だ。今度同じ場面を見れば某が上下を教えてやらねばなるまい。


 「漆原様と一ノ瀬様ですよね!?あのテレビ電話なる物の向こうに居た・・・」


 「そうです。確かみどりさんでしたよね!?」


 「はい。合田様の格別の配慮にて家の雑用を任されております。皆様はこちらの静かな部屋に・・・」


 「ありがとうございます。あっ、田中さんが会いたいって言ってましたよ?直接は聞いてませんが顔にそう出てました」


 「田中様・・・」


 なんと!?田中とは誰だ!?田中という奴とこの側勤めの女は恋仲なのか!?ここでも某は負けているのか!?田中・・・確か電気なるものを作った男と風の噂で聞いた・・・だが暫く顔を見せておらんと思うが・・・。田中め!許せん!まだ会うた事はないが許せん!


 「こ、これはなんだ!!?」


 「あっ、寿司は初めてでしたか?確か、なれ寿司とかは鎌倉時代ぐらいからありませんでしたか?鮒寿司とかは近江で有名だったような・・・」


 「何でもいいじゃん!お腹空いた!食べようよ!柴田様も早く座りましょう!」


 「ただいま!買って来たよ!」


 「おっ!!我が君!ワシはまだまだ100くらいは食べられますぞ!」


 「いやもう食べなくていいから!まだ食べたいならラーメンでも食べてください!いろはちゃん、ここは任せるよ!いろはちゃんも好きな時に食べていいからね!」


 「あれ?柴田様どちらへ?」


 「いや、某が上下というものをだな」


 「いやいや、オレの家はこれでいいんです!みんな仲良くです!これだけは譲れません!気にしないでください!柴田様の喋り方は気をつけるように言っておきますので!」


 不思議だ。他の諸将の家でもこんな家はないと思う。草にどれ程優しくしたところで陰で愚痴を言われ、最悪は色々盗まれるやもしれぬというのに・・・。いかん!いかん!某の仕事は護衛だ。


 「おっ!サーモンばっかじゃん!食べていいのか!?」


 「私はマグロ食べたい!!」


 「いいよ!好きなだけ食べて!オレも食べる!あっ、みどりさん!これ!田中さんからの手紙だよ!みどりさんも一緒に食べる?」


 「あっ、いえ。私は手紙を読んでから・・・」


 ぐぬぬぬ・・・田中とやらはこんなに愛してくれる女子が居るというのにどこをほっつき歩いておるのだ!何故この場に居てやらないのだ!


 「合田君はサーモン好きだったよね?はいこれ。これは里志の。あやめちゃんのは合田君が取ってあげてね!柴田様は色々いれてますよ!」


 「か、か、かたじけない」


 「後はお酒です!合田君!お酒どこ?」


 「蔵に入ってるから取ってくるよ」

 

 このような夜飯は初めてだ。ここはお館様の言う通り学ぶところだ。まずは某は適応しなくてはならぬ。


 「美味い!やっぱサーモンは裏切らないや!柴田様も早く食べてください!」


 「う、うむ。いただこう・・・なっ!?こ、これは・・・」


 「美味しいですか?今食べたのはブリって魚です!」


 「いや、魚と米は言わずもがな・・・この黒い汁がなんとも言えん」


 「醤油ですか?確かこの時代ではたまりって言われてましたかね?」


 「なんと!?これがあのたまりなのか!?某は初見だ!このまま飲みたいくらいだ!」


 「いやいや体に悪いですよ!?おーい!武蔵!醤油ないの?」


 「え!?醤油?あるけど?」


 「柴田様はお望みだってー!」


 「了解!」





 もう食えぬ・・・たらふく食ってしまった・・・。それに・・・


 「キャハッハッハッ!里志〜!!ビールもう一本!」


 「有沙!飲み過ぎだって!」


 「そうだよ・・・さすがにもう渡せないよ!?これだって商品なんだよ!?」


 「合田君もそんな事言わないでよ〜!全然飲んでないじゃん!」


 「いや、有沙もまだビール2本目だぞ!?」


 漆原の妻は他の男が居るというのにこのように乱れるのか・・・。破廉恥だ!


 「奥方殿・・・もうその辺にしておきなさい。漆原殿も心配だろう」


 「「「え?」」」


 某はおかしな事言ったのだろうか・・・邪な考えではなく純粋に心配して言ったのだが。やはり人の妻の事は何も言わない方がよかったか・・これはまずったか・・・。


 「奥方じゃないですよぉ〜!!それに意外!!柴田さんって心配もする人なんだ!?1番に『ワシの酒が飲めぬのか!!』って怒りそうな感じがするのに!!」


 「おい!有沙!!言葉気をつけろ!!!柴田様!有沙がすいません!!!」


 「酒に呑まれる者は酒を飲んではならぬ。それに酒は嫌いな者、弱い者も居る。お館様もそうだ。強要するのはよくない。池田殿や五郎左は飲ませる事が多いが某はそんな無粋な事はせぬ。酒は自分の勢いで飲むのが美味しいのだ」


 「「「へぇ〜!!!」」」


 3人が3人驚いておるがなんもおかしな事は言ってないぞ!?何をそんな関心するのか・・・それに某は皆にはそんな風に見られているのか。これを訂正せねば嫁ができぬのだな!?


 元来、某はおべんちゃらは嫌いだ。だが、洒落の通じぬ者ではないのだが、ここ最近では誰も某に洒落を言う奴が少なくなった。つまらん男ではないとは思っていたのだが・・・。


 「まぁ!とにかく食べて飲みましょう!柴田様!戦の事聞かせてください!」

 

 まずはこの若人のやる事、言う事を学ぶ。奇跡だとしても武田を屠ったのはこの若人達だ。

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