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ドア開けたら戦国時代!?  作者: デンデンムシMK-2
第一章
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信玄の快進撃

 「なんじゃと!?馬場が討たれたじゃと!?ゴッホ ゴッホ・・・誰にじゃ!」


 「織田軍 合田武蔵と名乗る者に鉄砲で・・・申し訳ありません!!!」


 「織田軍の合田武蔵じゃと?聞かん名だな。そんなに敵は大軍だったのか?」


 「いえ・・・敵は寡兵でした。一言坂にて、しかも高所を我等が抑えていましたので無理をせず徐々にすり潰していたところ・・・敵の鉄砲が止み、抜剣したので弾がないのかと思いーー」


 「あの馬鹿者がッ!時間を掛ければワシが向かうと言うておったものを!!」


 「馬場様は・・・馬場様は織田の連射する鉄砲と鉄の棘を奪う事ができれば更に武田軍は強くなるとの事で・・・それに燃え広がる焙烙玉も手に入れようと・・・」


 「その話は聞いておらん。詳しく申せ」


 「ーーという次第であります。見た事のない上方の鉄砲、足留め、焙烙玉とどれも我等のとは毛色が違いました」


 「チッ。それで織田の隊は何人くらいだった?」


 「70名程かと」


 「70名・・・そんな少ない隊に・・・面白くないところで死んでしまいよって・・・うん?70人・・・おい!長篠から逃げた隊が居たと言っていたであろう!?あれもそれくらいの人数だったな!?」


 「長篠城ですか!?確かにそのくらいでした。まさか!?」


 「あぁ。これで線が繋がった。ずっと引っかっておった。その織田軍は必ず殺す。準備して致せ。すぐに進軍致す。馬場の弔いじゃ!浜松の支城を全て落とす!まずは二俣城だ!山県と秋山にも伝えておけ」



 〜浜松城〜


 「帰ってきた!殿!!本多様が帰って来ました!!」


 「忠勝!!よくぞ無事で!!織田方もよくぞ無事だった!大久保!内藤!大儀である!まずは泥を落とせ!その後すぐに報告をーー」


 「殿・・・合田殿がやりましたぞ」


 「あぁ。某も横目ながら見ましたぞ」


 「はて?何をやったのじゃ?」


 「合田殿!自分から言うか?」


 「いやいや、そんな・・・本多様からお願いします」


 オレは確かに馬場信春を討った。だがそんな喜ぶほどであろうか?武田はもっと名前が知れた人が多く居る。山県、秋山、仁科、穴山、木曽、海野、内藤、小山田ともっともっと他にも居る。


 馬場信春も大概だと思うけどこんなにみんなに大きく言うことか!?


 オレが疑問に思っていると慶次さんが耳打ちして教えてくれた。


 "絶望の中見えた小さな光の武功だ。それを武蔵、お前が捕まえたのだ。今日この場は流れに身を任せ。これで士気はかなり上がるぞ"


 確かに昨日まで徳川軍は士気なんかあったものではなかった。聞かされる落城、敗走報告ばかり。そして、二俣城が陥落する恐れがあるために家康さんがとりあえず出陣したのを皮切りにさっきの戦が始まった。


 「合田武蔵殿が武田軍の重臣 馬場信春を討ち取りましたぞ」


 「待て!待て!今なんと言った!?」


 「馬場信春を合田殿が討ち取りましたと」


 「いや待て!待て!それはなにかの間違いではないのか!?」


 クッソ!家康さんよ!?ちゃんとオレが鉄砲で殺したから!なんなら慶次さんが介錯したんだぞ!?


 「ほほほ。疑いなさるなら・・・合田殿?例の脇差しを」


 「それとこちらの方も。私の首からぶら下げていたアクションカメラになります。ちゃんと武蔵様の勇姿が映っているかと。近々DVDなるものに保存して私の家宝にするつもりです」


 いやいやあやめさんや!?なにを言ってるんだよ!?しかもいつのまにそんな物を覚えたんだよ!?


 「は・・はは・・・はぁーっはははは!!勝つる!これで勝つるぞ!!合田殿!!よくぞやってくれた!とにかく刻も刻じゃ!!すぐに飯の支度を致せ!酒も出せ!!」


 終わった。やっと戦が終わった・・・かなり疲れた。これが正直な気持ちだ。


 

 浜松のオレに充てがわれた部屋に戻ると若い女性が手拭いと桶に水を張ったものを手に持ち現れた。まぁ体を拭いてくれるあれだ。さすがに断って現代の風呂に入ってきます!とは言える雰囲気ではなく身を任せることにした。


 あやめさん?そりゃあ、あやめさんに拭いてもらいたいよ?けどそれはあやめさんも疲れているだろう?別室にて同性の人に同じ事をされているだろうと思う。これはこれでオレの役得だ。


 「お疲れ様でございます。御身体を清めさせていただきまする」


 「あ、あぁ。すいません。ありがとうございます」


 オレはあまり意識しないように返答をした。こんな時にでも・・・いやこんな時だからだろうか・・・命を危険に晒されたからだろうかオレの愚息が・・・


 「武蔵様!御着替えをお渡しするのをーー」


 オレが甲冑を脱がされボクサーパンツ一丁になっている時に部屋着に着替えたあやめさんがオレの部屋にやってきた。まだ2分と経っていないのになんていう早業なのか・・・。しかもお風呂に入ったかのようないい匂いがしてるんだが!?


 「ここから先は私が」


 「い、いえ!奥方様にそんな事させられません!これは私の仕事です!」


 「だからこそです。これは古今東西、武蔵様が生まれる前から合田家への奉公は私の家系が代々紡いできたのです。下がりなさい」


 いやいや古今東西って・・・なんであやめさんはそんなムキになるんだよ!?たまにはオレも他の女性に・・・。


 「武蔵様!?武蔵様も私の方がーー」


 これはアレだ・・・返答を間違えると大変な事になる・・・。馬場信春も大概だった。信長さんも紫色っぽいオーラが見える時がある。だが今のあやめさんはそれをも凌駕してるように見える!


 「あのう・・・側仕えさん?オレなんかのためにありがとうございます。ここから先は大丈夫ですので。あっ、これよかったらどうぞ。飴玉です。甘いですのでみんなで食べてください」


 「畏まりました。ありがとうございまする。いただきます」


 それからあやめさんに丁寧に身体を拭いてもらった。


 だがやはり愚息が収まらないため、他の城詰めの人に飯の用意が出来たと廊下から伝えられたが、あやめさんに忘れ物がある。すぐに戻りますと伝え、一度現代に戻った。かなりあやめさんは怪しんでいたけど。


 だがそんな違和感を見せることなくオレは3分程で戻ってくる。まぁ察してほしい。オレは早打ちだ。ベッド下にあるとあるグラビア女性の本を想像してだ。


 「おかえりなさいませ。何を忘れていたのですか?」


 「え!?あ、いや勘違いだったんだ!気にしないで!ははは!」


 なんとか誤魔化し大広間に向かった。

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